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Conversation対談

2024.09.23

第88回『日本酒とワインの違い』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

日本人にはワインと日本酒の教育が必要

  • 安田

    若者が日本酒飲まなくなって久しいんですが。

  • みんなサワーとか飲むんですかね。

    生田
  • 安田

    はい。サワーを飲む人が多いみたいです。ヨーロッパではお酒って文化と深く関わっているじゃないですか。

  • ワイン文化ですよね。もうコミュニケーションのベースですよ。

    生田
  • 安田

    ワインを飲まない人ってほとんどいないでしょう。ワインの知識がないと会話ができないとか。
    外交官もヨーロッパに赴任するときにはワインの勉強をするそうです。

  • 分かります。「ああワインも知らない人種なのね」ってなるから。

    生田
  • 安田

    ワインはぶどうの汁で日本酒は米の汁という違いはあるんですけど。ここまで差がついてしまった要因って何だと思いますか?
    売り方なのか。ブランディングなのか。

  • 圧倒的に格差がありますよね。

    生田
  • 安田

    あります。

  • 1964年に東京オリンピックを誘致した時の決め手は「シャトーディケムが帝国ホテルのセラーに入ってたから」と聞いたことがあって。

    生田
  • 安田

    そうなんですか?初めて聞きました。セラーに入っていてよかったですね(笑)

  • 最終ジャッジのミーティングが帝国ホテルで行われたそうなんですが。
    キーマンがセラーを見て「こんなワインがあるのか」って驚いた。

    生田
  • 安田

    こんなワインがある国なら大丈夫だと。信頼を勝ち得たわけですね。ワインは偉大ですね。

  • ヨーロッパの人にとっては特別なものなんでしょう。単なるアルコール飲料ではなく。

    生田
  • 安田

    天皇陛下がフランスに行った時にメドックの1級ワインが出てきたらしいんですけど。年代もののすごいやつが。
    ところが当時首相だった民主党の野田さんが行った時は4級ワインを出されたらしくて。

  • 露骨ですね(笑)

    生田
  • 安田

    どうせこいつには「味なんてわからないだろ」ってことなのか。
    あなたのことは「認めてませんよ」ってことなのか。

  • 日本酒はそういう使われ方をしないですもんね。やっても分からないし。

    生田
  • 安田

    そうなんですよ。ワインの知識がないと共通言語が生まれない。
    いいワインを出されても分からないし嫌味をされても理解できないわけです。

  • 日本酒はワインのように格付けとかもされてないし。

    生田
  • 安田

    価格の差はありますけど。ワインとはちょっと違いますよね。
    実は私も日本酒を飲み始めたのって40歳を過ぎてからなんです。

  • 僕も日本酒は飲みますけどワインからの移行組ですね。

    生田
  • 安田

    私もです。まずワインにはまり「ところで日本酒ってどうなの?」みたいな感じで。
    やっぱり和食に合うし「美味しいじゃん」と飲むようになって。

  • うんうん。そんな感じです。

    生田
  • 安田

    なぜ日本酒のイメージってこんなに低いんでしょうね。

  • たとえばラーメンって日本の1つの文化じゃないですか。

    生田
  • 安田

    はいはい。

  • ラーメン屋を海外で展開するときって、アジアではすぐに浸透したり、スタッフも集めやすいんですよ。

    生田
  • 安田

    ほう。

  • だけど欧米では大変らしいんですよね。

    生田
  • 安田

    それはスタッフ集めが?

  • はい。語弊があるかもしれないけど人種の憧れ度みたいなものが違う。
    アジアにおいては日本人って憧れられる存在で。日本食にも興味を持たれる。
    だけど欧米では「なんで日本人のレストランで働かなくちゃいけないの?」「なんで日本フードを提供しなきゃいけないの」って。

    生田
  • 安田

    ありそうな話ですね。

  • ワインと日本酒のブランド力の差にもそういうものがあるような気がします。

    生田
  • 安田

    しょせんは東洋の小国の飲み物だろうと。

  • そうそう。

    生田
  • 安田

    せめて国内ブランドは何とかしたいですよね。ワインのように自分たちの文化に誇りを持って。日本人はそこが弱い気がします。

  • それは教育の違いでしょうね。ブランドって啓蒙や教育とセットになっているので。

    生田
  • 安田

    ブランドと教育はセットですか。

  • 教育でいかようにも変わるので。

    生田
  • 安田

    確かにワインは文化の香りがしますよね。
    飲むワインの種類によってグラスの形を変えてみたり。コルクを抜く道具がカッコよかったり。

  • ワンカップ大関を飲んでるおっちゃんとはちょっとイメージが違いますよ。

    生田
  • 安田

    確かに。安くて便利な酒を追求し過ぎたんでしょうね。

  • 文化のイメージが微塵もないじゃないですか。そうやって自分たちで教育してきたんですよ。日本酒ってすごいポテンシャルがあるのに。

    生田
  • 安田

    ポテンシャルありますか?

  • 新政のNo.6なんてすごいですよ。フランスのコンクールでも評価されて。
    古酒をきちんとナンバリングしているのでビンテージとしての値打ちがあるわけです。
    そういう努力をちゃんとやっていけばブランドは作っていけると思います。

    生田

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