IT企業の「幸せにする」ことの究極とは…?
「デジタル化の次に来るもの」というテーマですが。
はい。
そもそもコムデックさんってIT企業なのに、デジタル化を終わらせちゃっていいんですか?
経営者はいろんな想いで事業をやってると思うんですけど。共通するのは「幸せになるため」だと思ってまして。
幸せになるため?
もしくは「幸せにするため」かもしれないですけど。
それは「社員を」ということですか。
社員を、それからお客さんを、ステークホルダーを、自分自身を。
なるほど。
幸せになるという意味でいうと、家族や友人も含めてだと思うんです。
利益を上げる目的も究極的には「幸せになるため」ってことですか。
そうですね。だけどデジタル化がどんどん進んでいくに従って、ふと我に返ったら「あれ?幸せだっけ?」みたいな。
ほう。それはどういう意味で。
デジタル化が目的化しちゃっているということですね。
生田さん言ってましたよね、「じつは生産性の低いIT企業がたくさんある」って。
そうなんですよ。
「そんなこと本当にあるのかな」という印象なんですけど。
実際そうですね。というかめちゃくちゃある。
なぜそういうことが起こるんですか?
2つ理由があると思います。ひとつは「IT企業がITを使っていない」というパターン。
何じゃそれ?って感じですね。
はい(笑)もうひとつはIT特有の下請け構造ですね。
下請けと聞いただけで厳しそう。
IT系には多いんですが、そういう組織の従業員さんって幸せじゃないイメージです。
そういう中抜き構造って、減ってきてませんか?
確かに、そういうIT企業はだいぶ減ってきてます。けど、まだまだ、たくさんの2次請け3次請けの委託構造があって。
つまり、お客さんのシステムをつくって作業効率を上げているのに、自分のところは後回しになってるってことですね。
それもありますけど、もっと根本的な問題もあります。
それはどのような?
システムをつくること自体が目的になっているということ。
それが目的じゃないんですか。
なんて言えばいいのか、仕様書どおりにやることが目的になってるわけですよ。
仕様書通りにやると何が問題なんですか。
上流が仕様を変えれば、納期は変わらないけど間に合わせなきゃいけない。だけど人間だから失敗するんですよ。
失敗するとどうなるんですか。
それがまた手戻りとなって戻ってくる。でも納期は変わらない、みたいなことが延々とくり返されているのが、某銀行のシステムだったりするわけです(笑)
なるほど。あの問題になっているやつ(笑)
あれに関わっている人たちって、めちゃくちゃ生産性が低いと思います。
その割に「なんでこんなに使いにくいの?」「なぜこんなところがアナログなの?」みたいなのがいっぱいあるんですけど。
やばいですよね。
なぜつくってる途中で「これを解消しよう」とならないんですか?
だから、それは価値基準じゃないからですよ。関わっているマジョリティが。
マジョリティは何が価値基準なんですか?
目の前にある仕様書どおりにつくること。
それが間違っていたとしても?
「エンドユーザーだったらこうだよね」とか「えっ、どう考えてもこれ黒でしょ」ってなっているんだけど、「白」って書いてあるから「白」とコードするわけですよ。
なんと!不誠実な仕事ですね。いや、ある意味、すごく誠実なのか(笑)
要するに思考停止状態になっているということですよ。
つまり仕様書どおりに作ることが、お客さんの業務効率を上げることより優先されると。
そうなんですよ。
しかも業務効率なんてぜんぜん考えず、言われた仕事をただただ人力でこなしているという。そういう感じですか?
そうそう。
それがIT企業の実態なんですか。すごいですね。
これはIT企業に限らないですけど、保守サポートってあるじゃないですか。
はい。作った後のメンテナンスですよね。
システムは止まったら困るので、保守がつきものだと思うんです。
そりゃそうでしょう。
だけど保守って「“保”って“守”る」と書くじゃないですか。
はい。
それも思考停止なんですよ。
守るのが思考停止ですか。
だって世の中が激しく変化している中で「こうつくりました」「このとおり使います」「それを止めないように保って守ります」って。
確かに。言われてみればそうですね。