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Conversation対談

2023.01.11

第1話『IT企業は幸せじゃない!?』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

IT企業の「幸せにする」ことの究極とは…?

  • 安田

    「デジタル化の次に来るもの」というテーマですが。

  • はい。

    生田
  • 安田

    そもそもコムデックさんってIT企業なのに、デジタル化を終わらせちゃっていいんですか?

  • 経営者はいろんな想いで事業をやってると思うんですけど。共通するのは「幸せになるため」だと思ってまして。

    生田
  • 安田

    幸せになるため?

  • もしくは「幸せにするため」かもしれないですけど。

    生田
  • 安田

    それは「社員を」ということですか。

  • 社員を、それからお客さんを、ステークホルダーを、自分自身を。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • 幸せになるという意味でいうと、家族や友人も含めてだと思うんです。

    生田
  • 安田

    利益を上げる目的も究極的には「幸せになるため」ってことですか。

  • そうですね。だけどデジタル化がどんどん進んでいくに従って、ふと我に返ったら「あれ?幸せだっけ?」みたいな。

    生田
  • 安田

    ほう。それはどういう意味で。

  • デジタル化が目的化しちゃっているということですね。

    生田
  • 安田

    生田さん言ってましたよね、「じつは生産性の低いIT企業がたくさんある」って。

  • そうなんですよ。

    生田
  • 安田

    「そんなこと本当にあるのかな」という印象なんですけど。

  • 実際そうですね。というかめちゃくちゃある。

    生田
  • 安田

    なぜそういうことが起こるんですか?

  • 2つ理由があると思います。ひとつは「IT企業がITを使っていない」というパターン。

    生田
  • 安田

    何じゃそれ?って感じですね。

  • はい(笑)もうひとつはIT特有の下請け構造ですね。

    生田
  • 安田

    下請けと聞いただけで厳しそう。

  • IT系には多いんですが、そういう組織の従業員さんって幸せじゃないイメージです。

    生田
  • 安田

    そういう中抜き構造って、減ってきてませんか?

  • 確かに、そういうIT企業はだいぶ減ってきてます。けど、まだまだ、たくさんの2次請け3次請けの委託構造があって。

    生田
  • 安田

    つまり、お客さんのシステムをつくって作業効率を上げているのに、自分のところは後回しになってるってことですね。

  • それもありますけど、もっと根本的な問題もあります。

    生田
  • 安田

    それはどのような?

  • システムをつくること自体が目的になっているということ。

    生田
  • 安田

    それが目的じゃないんですか。

  • なんて言えばいいのか、仕様書どおりにやることが目的になってるわけですよ。

    生田
  • 安田

    仕様書通りにやると何が問題なんですか。

  • 上流が仕様を変えれば、納期は変わらないけど間に合わせなきゃいけない。だけど人間だから失敗するんですよ。

    生田
  • 安田

    失敗するとどうなるんですか。

  • それがまた手戻りとなって戻ってくる。でも納期は変わらない、みたいなことが延々とくり返されているのが、某銀行のシステムだったりするわけです(笑)

    生田
  • 安田

    なるほど。あの問題になっているやつ(笑)

  • あれに関わっている人たちって、めちゃくちゃ生産性が低いと思います。

    生田
  • 安田

    その割に「なんでこんなに使いにくいの?」「なぜこんなところがアナログなの?」みたいなのがいっぱいあるんですけど。

  • やばいですよね。

    生田
  • 安田

    なぜつくってる途中で「これを解消しよう」とならないんですか?

  • だから、それは価値基準じゃないからですよ。関わっているマジョリティが。

    生田
  • 安田

    マジョリティは何が価値基準なんですか?

  • 目の前にある仕様書どおりにつくること。

    生田
  • 安田

    それが間違っていたとしても?

  • 「エンドユーザーだったらこうだよね」とか「えっ、どう考えてもこれ黒でしょ」ってなっているんだけど、「白」って書いてあるから「白」とコードするわけですよ。

    生田
  • 安田

    なんと!不誠実な仕事ですね。いや、ある意味、すごく誠実なのか(笑)

  • 要するに思考停止状態になっているということですよ。

    生田
  • 安田

    つまり仕様書どおりに作ることが、お客さんの業務効率を上げることより優先されると。

  • そうなんですよ。

    生田
  • 安田

    しかも業務効率なんてぜんぜん考えず、言われた仕事をただただ人力でこなしているという。そういう感じですか?

  • そうそう。

    生田
  • 安田

    それがIT企業の実態なんですか。すごいですね。

  • これはIT企業に限らないですけど、保守サポートってあるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    はい。作った後のメンテナンスですよね。

  • システムは止まったら困るので、保守がつきものだと思うんです。

    生田
  • 安田

    そりゃそうでしょう。

  • だけど保守って「“保”って“守”る」と書くじゃないですか。

    生田
  • 安田

    はい。

  • それも思考停止なんですよ。

    生田
  • 安田

    守るのが思考停止ですか。

  • だって世の中が激しく変化している中で「こうつくりました」「このとおり使います」「それを止めないように保って守ります」って。

    生田
  • 安田

    確かに。言われてみればそうですね。

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