> 対談一覧 > 第95回『趣味が人不足を解消する時代?』
「仕事」になると途端に人気がなくなるのはなぜ?
安田半人前大工さんが大人気っていうニュース知ってますか?
いえ。半人前大工?
生田
安田いま建築関係ってすごく人不足で。特に大工のなり手とかめちゃくちゃ少ないんですよ。
はいはい。そういうイメージですね。
生田
安田人はいないし、材料は高いし。なかなか家が建たない。家を建てようと思ったらすごくお金がかかる。
全盛期の3分の1ぐらいしか大工さんがいなくなってると聞いたことがあります。
どうやって家を建ててるんでしょうね。
生田
安田今は家を建てる時にカンナをかけたり、釘を打ったり、ノコギリを引いたり、という仕事がなくなっていて。
工場で作ったパネルを自動釘打ち機でパンパン組み立てるだけなので。
なるほど。じゃあ昔の大工さんはどうしてるんでしょう。
生田
安田飲食店で内装を作ったりしてるんですって。飲食店って内装に結構こだわってるじゃないですか。
確かに。テーブルとかカウンターとか、お店ごとに現場で創作するんでしょうね。
生田
安田そうなんですよ。カウンターなんてミリ単位でぴったりサイズが合わないといけないから。
現地での寸法合わせ能力が必要な仕事ですよね。
生田
安田はい。まさに大工さんの腕が生きてくる仕事です。
でも大工さんになりたい人がどんどん減っていて。
その半人前大工が人不足解消につながってるんですか?
生田
安田そういうわけではないんですけど。あくまでも素人向けのスクールなので。
自分で家を修理したい、カンナやノコギリの使い方を覚えたい、って人が来るそうです。
なるほど。素人に大工のスキルを教える学校ということですね。
生田
安田そうそう。半分は座学で半分実演みたいなスクールだそうです。それが大人気みたいで。
当初20〜30人でやってたのが今や100人単位で集まるそうです。
習って何するんですかね?DIY?家の修理とか。
生田
安田家の修理はもちろんあるでしょうね。日本にいる外人さんは空き家を買って自分で修理するらしいですから。
そういう人も増えていくんじゃないですか。
新築は高くて買えなくなってますからね。
生田
安田本職じゃないのですごい技術じゃなくてもいいわけですよ。趣味で自分の家にデッキを作るとか。棚を作るとか。そのための技術を習得したい。
副業もできそうですけど。
生田
安田ちょっとした副業ならできちゃいますよね。隣の家をちょっと修理してあげるとか。
いいですね。趣味と実益を兼ねて。
生田
安田面白いなと思ったのは「プロとしてお金を稼げるスキルを身につけよう」って集めると全く不人気なわけです。
会社がお金払って研修に行かせても寝たりしますからね(笑)
生田
安田そうなんですよ。ところが参加者にお金払ってもらいながら、プロになれるわけでもない趣味的なスキルが大人気っていう。
プロフェッショナルとして生きていくには3Kだし収入もそんなに高くないし。
生田
安田そう。だけど趣味の延長ぐらいのレベル感でやるには楽しい仕事で。
でも分かるような気がします。
プロとしてワインをサーブするのは嫌だけど、仲間同士の飲み会でやるのは楽しいですからね。
生田
安田私は窓掃除が好きでして。プロ仕様の道具を買ったらめちゃくちゃ楽しいんですよ。動画見ながら勉強したんですけど。
楽しいんですか?
生田
安田今まで1時間半ぐらいかかってた窓掃除が20分ぐらいで終わる。めちゃくちゃ綺麗になるし。
なるほど。
生田
安田こういうのってプロに頼んだら結構高いじゃないですか。しかも成り手がいない状況だし。
そうですよね。緩い感じの副業でお互いサポートし合うとか。そこが繋がれば人不足も解消できるんじゃないですか。
生田
安田現場のお困りごとは解決できちゃうかもしれませんね。清掃会社のスタッフ採用にはつながらないでしょうけど。
趣味の延長でやった方がいいんですよ。好きなことをやって人から感謝もされて。
生田
安田それで給料までもらえるのに社員ではやりたがらないんですよね。
お金のために我慢して働いてるイメージですよ。それって雇う側も大変なんです。
やりたくない人間のモチベーションアップまでやらなくちゃいけなくて。
生田
安田確かに。
好きなことって継続できるし。ストレスも少ないし。
生田
安田人不足の仕事は趣味に置き換えていくのが正解なのかもしれませんね。