はい。コムデックの恒例イベントを伊勢でやっておりまして。基調講演をお願いしました。

そうですね。

じつは彼自身も中小企業の社長なんですよ。小西美術工藝社っていう。

国宝とか重要文化財の修繕・補修を業務にする企業です。
日本の文化や日本の伝統、日本の技術を大すごく事にしていて。日本が好きなイギリス人なんですよ、彼は。

そういう一面を知らない人も多いので、単に中小企業の悪口を言ってる人だと思ってる。
僕は好感を持ってるんですけど。

日本には素晴らしい商品やサービスがたくさんある。
グローバルでは評価されているのに国内では安いまま。それを変えていきたいんでしょう。

日本はずっと現状維持じゃないですか。それによって格差も開いていってる。そこを変えていきたい。
その1つの手段として「中小企業もイノベーションを起こしましょう」「生産性を上げましょう」という話。

生産性を上げるには「企業の統合整理」みたいなのは必要なのかもしれないと思います。

辛口なイメージですけど、割と正しいことを言っているのかなと思います。
ただ安田さんがおっしゃった通り「アトキンソンが嫌いだから今年は行かない」っていうクライアントさんもいました。

ほんの数名ですけど、いつも来てくれるクライアントさんで。結構びっくりしました。

分かれますね。

そうなんですよ。

日本もせっかくいいものをたくさん持っているわけですから。経営者が発想を変えていかないと。

やっぱり日本は社長が多すぎるんですよ。その大半が従業員の上位互換みたいな人たちで。
働き者なんですけど、やってることは従業員なんですよ。

企業組織になってない。
顧客価値だとか、組織能力だとか、従業員満足とか、そういうことを考えて会社を伸ばしていく専門家ではない。
現場の専門家がリーダーをしてるだけ。アトキンソンさんが嫌いな社長の大半は現場社長なんですよ。

ほんとそうなんですよ。

まずそういう発想がないです。教育されていないから。お金の教育、経営の教育がなされてない。

中小企業庁が「中小企業を強くする」っていつも言ってますけど。
彼らの施策って思考転換のための教育じゃなくて、甘やかしてお金を投下してるだけ。

そもそも働き者の社長で成り立っていたのは人口が増えてる時代の話ですよ。

人口が減ってマーケットがシュリンクしていく中で、下りエレベーターをがむしゃらに登ろうとする社長はもう無理なんです。
ビジネスモデルを変えてスキップしながら登っていく社長の方がいいわけですよ。
早く走れなくても下りエスカレーターを上りエスカレーターに変える力がある。それが経営力があるということ。