餌を間違えるな
生田さんは釣り好きですよね?
好きですね。
釣りと集客ってちょっと似てる気がして。
「魚が集まってるところに船で行くパターン」と「船の周りに魚を集めるパターン」があるじゃないですか。
基本的にはそうですね。だけどやっぱり魚のいるところに行く必要はあります。
船から餌を撒いて魚を集める映像を見ますけど。
どこで餌を撒くかが重要で。それを考えないとあまりにも効率が悪い。
なるほど。
そこは集客や採用も同じだと思います。
たとえば伊勢で人材を探そうとしても、まず伊勢という釣り堀の中に求める魚がいない。
いませんか。
どれだけいい餌を撒いてもマグロは釣れない。採用で言えば福利厚生や給与なんかの条件を良くしてもダメ。
マグロが釣りたいならマグロの生息地に行かないと。
まずはマグロが回遊しているところにいく。その上でいい餌を撒く。この順番が大事だと。
マグロが回遊する場所も一定じゃないので。
その日の海水温度とか、海中の酸素濃度とか、潮目を見極めてアジャストする。
これは集客でもまったく同じです。
潮目ってなんですか?
僕らで言うと2019年のコロナ前は「働き方改革」というベクトルがあったんですよ。
でも今はもうなくて。潮目が変わったわけです。
なるほど。今はどう変わったんですか。
今はDXとかですね。
潮目の変化はどうやって見極めるんですか? 集客には魚群探知機もないし。
集客で言うところの潮の流れは「お客さんがインターネットでどういう検索キーワードで調べるか」とニアリーイコールです。
あー、なるほど。
たとえば「冬だったらこういうことを検索するよね」とか。
「いまこういう言葉が流行ってるよね」とか。集客が上手な会社はそのトレンドをしっかり抑えてます。
トレンドに合わせた調整がすごく大事ってことですね。
調整し続けないとダメです。
1回効果が出たキーワードでずっと効果が出るとは限らないので。
ネットの集客って大変ですね。
大変ですけど便利でもあります。ネットは全部つながってますから。
たとえば「フルリモートワークで業務委託」という条件だったら、伊勢であろうが関係ないわけです。
なるほど。釣りと違って移動しなくていいわけですね。
三重県伊勢市に住んでいても、インターネットを使ってマグロを追いかけ続けることができるのが、今のビジネスですよね。
田舎で暮らしたい若者も増えているし。リモートじゃなくても採れそうですね。
生田さんもそのパターンですよね。
僕みたいな人はまだまだマイノリティですよ。
やっぱりいい人材を確保したいならリモートワークです。
そうなんですね。
リモートにするだけでターゲットが全国規模に広がりますから。
応募者の数は10倍以上になります。
そんなに増えますか。
増えますね。
伊勢で「kintone」というキーワードで募集しても、月に1件反応があるかないかですもん。
地方での採用にはリモートワークが必須だと。
都会も結局そうですよ。優秀な若者ほど出社したがらないので。
そうかもしれません。都会の通勤って満員電車がすごいし。
そもそも都心部に住んでないじゃないですか。
確かに。都心は家賃が高いですからね。片道1時間以上なんてザラですよ。
下手すると2時間越えとか。
じつは都心ほどリモートワークを好む傾向があるんです。
田舎だったら車でのんびり出社できますけど。
そこは勘違いしている経営者が多いかも。
そうなんですよね。
だけど餌を間違えるとターゲットは絶対に釣れないです。