ホーム  >  対談一覧  >  第51話『人間にしか見分けられない価値』

Conversation対談

2024.01.08

第51話『人間にしか見分けられない価値』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

「いつものあれ頂戴」「こちらでよろしかったですか?いつも定期購入ありがとうございます!」が当たり前

  • 安田

    中小企業のシステム化ってどこまで可能だと思いますか?
    ほとんど属人的という会社もまだまだ多いですけど。

  • それは会社によると思います。

    生田
  • 安田

    人件費は高くなっていくし、採用コストも高いし、すぐ辞めちゃうし
    中小企業こそシステム化が必要だと思うんですけど。

  • とはいえ属人部分をゼロにすると他社と差別化できなくなっていきます。
    そうなると大きな会社には絶対に勝てないです。

    生田
  • 安田

    だけど人に頼りすぎるビジネスも中小企業には厳しいし。そもそもいい人材が集まってこないですから。

  • 重要なのは「この人に頼みたい」「この会社に頼みたい」「この会社で働きたい」という理由をいかに作るかですね。

    生田
  • 安田

    やっぱりそこに行きつきますよね。

  • そう思います。

    生田
  • 安田

    でもその3つは相反するものだったりしませんか。あまりにも属人的だと働く人は大変で。
    だけどお客さんはそこに魅力を感じているし。

  • そこを会社が決めなくちゃいけないんです。
    何を売りにして、どんな人を集めて、どういう価値を提供していくのか。

    生田
  • 安田

    そこを決めずにシステム化したらダメだし、属人化するのもダメだと。

  • 単に効率だけを求めていくと提供する価値が価格だけになってしまう。
    何も考えずに属人化すると社員が疲弊してしまう。どちらも中小企業は勝てないです。

    生田
  • 安田

    残しておくべき「属人的な仕事」って、どうやって見極めればいいんですか。

  • 「当たり前品質」と「魅力品質」を分けて考えることですね。
    その上で魅力品質は属人化してもいい部分です。

    生田
  • 安田

    「当たり前品質」と「魅力品質」ですか。

  • たとえば注文を受けて「いつものあれ頂戴」って言われた時に「あ、すいません、社内で確認します」とか言いつつ、2〜3日返事しないとかって論外じゃないですか。

    生田
  • 安田

    それは論外ですね。

  • 「いつものちょうだい」って言われた時に、誰が対応しても
    「こちらでよろしかったですか?いつも定期購入ありがとうございます」
    ぐらいは当たり前品質だと思うんです。

    生田
  • 安田

    おお!かなり当たり前のレベルが高いですね。

  • そのレベルじゃないともう生き残っていけません。だからそこはシステム化が必要なわけで。
    データベースを見れば誰でも一瞬で「顧客情報」「顧客対応」がわかるようにしておく。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • で、プラスアルファ、たとえば「来月に味を変えた商品が出ますので1回お試しください」みたいなことが言えたとする。
    それは魅力品質だと思うんですよ。

    生田
  • 安田

    ほほう。

  • そういう提案ができるのって企画や商品開発をやってる人の強みで。そういう部分は属人化した方がいい。

    生田
  • 安田

    そもそも企画部分はシステム化するのが難しいですよね。

  • 難しいですね。だけどその部分がないと当たり前品質が下がっていきます。

    生田
  • 安田

    なぜ当たり前品質が下がるんですか。

  • 組織としての当たり前品質はITを使うことでどんどん上がっていくわけです。
    つまり数年前まで魅力品質だったことが当たり前品質になっていく。

    生田
  • 安田

    標準がレベルアップしていくと。

  • そうです。だから魅力品質をどんどん生み出していかないといけない。

    生田
  • 安田

    そこもシステム化するわけにはいかないんですか。

  • そこは人間が生み出すしかないんですよ。

    生田
  • 安田

    どうして?

  • なぜなら「どう手を加えればより魅力的なのか」は人間にしかわからないからです。

    生田
  • 安田

    なぜ人間にしか分からないんですか。

  • 人によって価値と感じる部分が違うからです。
    たとえば空港には「動く歩道」があるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    ありますね。

  • 重い荷物を転がしてる人には便利ですよね。
    だけど伊勢神宮の正宮に行くには15分〜20分も歩いていくしか方法がないんです。

    生田
  • 安田

    そこに動く歩道みたいなのをつけたらダメってことですね。

  • 便利だけど、それはやっちゃいけない。なぜなら伊勢神宮の価値が毀損してしまうから。
    でもこれって人間にしか分からないんですよ。

    生田
  • 安田

    なるほど〜奥が深いですね。

生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル

※掲載されているすべてのコンテンツの無断での転載、転用、コピー等は禁じます。©Copyright Comdec. All Rights Reserved.