普通逆では?と思いますよね
イーロンマスクの本は読みましたか?
読んでないです。あの上下巻のやつですよね?
そうそう。ジョブズの本と同じ人が書いているみたいです。
そこにすごく興味深い話が書いてあって。
どんな話ですか?
イーロンマスクの従兄弟が「ソーラーパネルを屋根に取り付ける事業」を立ち上げるんです。
だけど、なかなか上手く広がっていかなくて。
はいはい。
それで営業部隊に力入れるんですけど、マスクがそれをすごく嫌うわけです。
なぜですか。
営業力で売ろうなんていうのは、もう逃げだと。いい商品は営業なんてしなくても売れるんだと。
はいはい。なるほど。
営業なんて無駄なことをせず「もっといい商品を安く作れ」って、みんなクビにしちゃうんですよ。従兄弟も。
クビですか(笑)さすがマスクですね。
やることが極端なんです。生田さんはどう思います?良い商品を作れば売れると思いますか。
営業部隊なんて要らないし無駄でしかない。
まあ、一理あるかなとは思いますね。本当に突出していい商品は売れると思います。
へえ〜
0→1だと、ちょっと状況は違うかもしれないですけど。
0→1の場合は営業力も必要だと。
営業というか広報活動が必要でしょうね。
マスクの場合は自分で「こんな商品を作る」とか「こんなにすごいぞ」って、大風呂敷広げてPRするわけで。
普通の経営者はそんなやり方できないですもんね。あんなに有名じゃないし。
エンタメに例えるとわかりやすいんですけど。たとえば「ライオンキング」って今はあまり広告してないですよね。
そうなんですか。
はい。もうみんな知ってるので。
なるほど。もう広告の役割は終わったと。
そう。だけど劇団四季でも「バケモノの子」って、ずっと宣伝してるんですよ。
へえ〜
それは結局バケモノの子に商品力がないからですよね。
そもそもヒットの要素が足りないってことですね
そう。足りないんですよ。こんなこと言ったら劇団四季のファンに怒られそうですけど(笑)
でも、そういうことなんですよ。
商品力があれば広告は最低限で済んでしまうと。
本質的にはそうです。普遍的な法則というか。
初期の「背中を押すための広告」はいいんですけど、広告なしで走れる、営業なしで普及していくだけの「サービス力、コンテンツ力」がないと話にならない。
つまり商品そのものが良くないと、売りようがないと。
でもビッグモーターなんかは現場の営業力とテレビ CMだけでガンガン売ってましたよ。
だからサービスが悪いじゃないですか。商品価格の7割ぐらいが広告費なので。
確かに。ハズキルーペもテレビCMを買ってるみたいなものですもんね。
だから続かないんですよ。たとえばスターリンクに広告費用は乗ってないですよ。
イーロンマスクが人工衛星を飛ばして作ったインターネットですよね。
はい。広告を打たなくても商品自体に力があるので売れていく。
だけど重要なのは相互作用だと思うんです。新規事業が既存事業とシナジーがあるかどうか。
ここが一番重要。
商品力があってもシナジーがないとダメってことですか?
ダメだと思います。マスクが「これまじでいいぞ」って宣伝しても洗剤やモップは売れない。
なるほど。奥が深い。
社長か、会社か、既存の商品サービスか、どこかとシナジーがないと。やっぱり広まっていかないですよ。
いかにシナジーを持たせて「営業や広告を少なくする仕掛け」を作るか。
日本人の経営者はそこをおろそかにし過ぎてます。
アメリカや中国の会社は作る前に買えちゃうんです。「こんなコンセプトで商品を作ってます」って、商品やサービスが無い段階から世の中にガンガン発信するんですよ。
イーロンマスクもロケットが飛ぶ前から座席を販売してましたもんね。
テスラもそうですよ。もう存在するかのごとく売ってましたから。お金もそれで集めるんです。
でも日本人はそこがダメ。ブツを作ってから伝えに行きますから。