顕在ニーズより潜在ニーズを掘り起こす
相見積って顕在ニーズだから起こると思うんですよ。エアコンが壊れたからエアコン買いたいとか。
そうですね。確実にエアコンを買ってくれる顧客ではあるけど、当然、競合も出てくるわけで。
そう考えると潜在ニーズの掘り起こしって大事ですよね。
大事です。まだお客さんが「欲しい」とは気づいてないもの。そこを気づかせてあげる。
コムデックさんはそれをやってるんですか?
やってますね。
「キントーンを使いたい」という明確なニーズを持った人が来るわけじゃなく?
何らかの課題を持った人が来ます。そこから「キントーン」というニーズを掘り起こしてあげる感じ。
話を聞いているうちにキントーを使いたくなると。
「自分がやりたいのはこれだ!」って分かってくる感じですね。
なるほど。ちなみにニーズを掘り起こすコツってありますか?
伊勢に来たとき安田さん「マガタマサブレ」を衝動買いしてたでしょ。
しちゃいました(笑)他のものを買いに行ったんですけど買っちゃいました。
なぜ欲しくなったんですか?
缶のデザインがカッコよかったのと、あとは商品説明ですかね。
マガタマにちなんで硬めの食感にしているとか。食べてみたくなったのと家族に見せたくなったのと。
分かります。僕も時々買います。アレなんてまさに潜在ニーズの掘り起こしですよね。
サブレを買おうなんて思ってなかったんですけど。
観光地だから「何か買って帰るか」ぐらいのニーズはあって。
そのお財布の中の「潜在マーケットの掘り起こし」という戦略ですよ。
コムデックさんも同じような戦略なんですか。
うちの場合はBtoBなので課題から入るんです。
課題解決のための予算の中の「潜在ニーズ」を掘り起こす感じ。
たとえば今だったら「人不足」とか?
そうですね。「人が採れないから何とかしたい」とか。「人不足だけど何とかして利益を増やしたい」とか。
普通は「人材紹介会社」や「求人媒体会社」に行きますよね。
それが顕在ニーズ。だけどそれでは人不足が解消できないのでどうしようかと。
だったら「業務効率化をして人を要らなくしたらどうですか」と。
最低限の人数で回るようにしましょう。そのために何が必要で何が無駄なのかをまずは洗い出しましょう。
そのためには現場の情報収集が必要ですね。という順番です。
業務効率化を全く想定していない人も来るんですか?
想定してなかった人もいますし、「こんなことができたらいいな」というイメージを持っている人もいます。
なるほど。潜在ニーズにもいろんなレベルがあるわけですね。
はい。あまりにも遠うニーズは掘り起こすのが難しいです。
ほとんどの会社は人不足を採用で解決しようとするでしょうから。
そうですね。
課題は人不足なんですけど、それを「本人が想定してなかった方法で解決する」というのが、潜在マーケットを掘り起こす有力な方法かなと。
そのために意識してることってありますか。
wants(ウォンツ)とneeds(ニーズ)を分けて考えますね。
今すぐ欲しいのが「ウォンツ」で本質的なところまで深掘りすると「ニーズ」が出てきます。
なるほど。ウオンツではなくニーズ。
それをうまく引き出すには、お客さんの課題ヒアリングを丁寧にやらなくちゃいけない。
深いところまで聞いていくと、本人も気づいてない課題に行きついたりしますよね。
そうなんです。
たとえばライザップって、結構大きな潜在ニーズを掘り起こしたじゃないですか。
大きかったですね。
あれはどういう潜在ニーズを掘り起こしたんでしょう?
「痩せたいとは思っていたけどジムに行くことは考えてなかった人」を掘り起こしたんでしょうね。
これまでもジムはあったし、トレーニングして食事制限すれば痩せるに決まってるし、すごく新しい手法でもない気がするんですけど。
「必ず3ヶ月で痩せる」というのが新しいんじゃないですか。
コミットメントってことですか。
コミットですね。それが莫大な潜在ニーズを掘り起こしたわけですよ。
でも言われた通りの運動して、言われたものしか食べなかったら、絶対痩せますよ。
それで痩せないことは医学的にはあり得ないですね(笑)
それで痩せなかったら逆に病気じゃないですか(笑)
そこをコミットするだけで、あれだけ大きなニーズが掘り起こせると。
ライザップは大発明ですよ。
結局人はダイエット器具が欲しいわけではなく、走りたいわけでもなく、痩せたい!
なるほど。
ドリルやスコップが欲しいわけではなく穴が欲しいのと同じ。
このパターンって、いろんなところに使えそうですよね。
「売り方」や「見せ方」を変えるだけで潜在マーケットは掘り起こせます。
「8分どん兵衛」も潜在ニーズを掘り起こしてるんですか?不便になってますけど。
不便なんですかね?
不便でしょ。8分もかかるカップラーメンですよ。
いまは隙間時間の埋め方が多岐に渡ってるじゃないですか。
そうですね。隙間時間というものが無い状態というか。
じつは最近、移動のストレスを感じなくなったんです。
昔は新幹線で東京に行くのが面倒だったんですけど。今はスマホさえあれば仕事もできるし、映画も観れるし。
8分どん兵衛も不便だとは思わないと。
余裕で8分待てる世界になってきたのかなと。
確かにそうですね。東京→名古屋の1時間半も苦にならないですからね。
逆に30分だと逆にやることがなかったり。
マンガをゆっくり読むのに1時間半はちょうどいいです。
昔はパソコンも重かったし、立ち上がるまで面倒だったし。
今はパパパっと隙間時間でいろんなことができちゃう。
3分だと逆に短すぎると。
待たせることがデメリットじゃない世の中になってきてる。
逆に「待たせる」という潜在マーケットがあるんじゃないかな。
なるほど。面白いですね。