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Conversation対談

2023.07.24

第27回『前提を疑える組織』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

「なぜ?」が大事

  • 安田

    決めたことを自ら疑える組織?

  • そうじゃないと、これから生き残っていけないでしょう。

    生田
  • 安田

    1回決めたことを、そのままやり続けるのは危険だってことですか。

  • 僕は毎日思うんですけど。「なんで赤信号を守らないといけないのか」って。

    生田
  • 安田

    生田さんは守らない派ですか?

  • 夜は守らないですね。まわりを360度確認して、リスクがなければ。

    生田
  • 安田

    車が来てなければ渡る?

  • はい。車を運転している時は信号無視はしないですけど。

    生田
  • 安田

    そういう人が多いですよね。歩行者の時は信号無視するけど車では信号無視しない。

  • 多いでしょうね。

    生田
  • 安田

    車がまったくいない道路で「赤信号を守る意味があるのか」ってことですよね。

  • はい。

    生田
  • 安田

    私もそれについては考えたことがあります。なぜ歩行者は信号無視するのに車はしないか。
    これはやっぱり罰金の大きさだと思うんですよ。

  • そうですね。リスクの大きさの違い。

    生田
  • 安田

    でも罰金の重さによって行動が変わるってことは、ルールを決めた人に行動をコントロールされていることになりませんか?

  • なるでしょうね。

    生田
  • 安田

    私は人にコントロールされるのが嫌なので、歩行者のときも「絶対赤信号は渡らない」と決めてます(笑)

  • なるほど(笑)

    生田
  • 安田

    他人に自分の行動をコントロールされるというのが耐えられなくて。

  • 安田さんは「絶対走らない」って決めていますもんね(笑)

    生田
  • 安田

    そうなんです。重要なアポイントに遅れそうでも絶対に走らない。
    だから予定よりもかなり早く出かけます。

  • 徹底してますね。ちなみに僕が言う「決めたことを疑う組織」というのは、存在意義ってことなんですよ。

    生田
  • 安田

    存在意義ですか。

  • たとえばコムデックの存在意義は「中小企業や経営者の困りごとを解決すること」なんですよ。
    だけど「困りごとってコロコロ変わるよね」ってことですね。

    生田
  • 安田

    なるほど。確かに課題は変わりますよね。

  • そうなんです。だから「言われた課題にはちゃんと答えました」なんてことには意味がなくて。

    生田
  • 安田

    日本の法律みたいですね。環境はぜんぜん違うのに法律だけ昔のままで。前例に則ってとか言っちゃって。

  • それと同じことがビジネスの場面でもよく起こります。
    「ここにこう書いてあります」とか。「先月○○って言ってました」とか。
    日本は「事実」を基準にしているので。

    生田
  • 安田

    事実はそうだけど、その通りやっても意味ないことってありますもんね。

  • 僕らの業界はとくにそういうことが多くて。「仕様書にこう書いてあります」とか。

    生田
  • 安田

    メガバンクのシステムもそれで大変なことになってます。

  • マイナンバーカードのトラブルとか。根っこは全部同じです。決めたことを疑わないから。

    生田
  • 安田

    でも、決めたことを変えるって勇気が要りますよね。
    大企業でも「いまさら実力主義とか言われても困る!」って人がたくさん出てきて。

  • そういう人はもう辞めてもらうしかないです。

    生田
  • 安田

    辞めてもらうしかないですか(笑)

  • 私もつい最近、家族手当を廃止しました。
    お子さん1人目に対して1万円、2人目からは5,000円×人数という手当だったんですけど。

    生田
  • 安田

    なぜやめたんですか?

  • 今は共働きも多いし「どっちの扶養なの?」ってなる。家族構成も多様化してるし、シングルも多いし。

    生田
  • 安田

    時代にそぐわないってことですね。

  • そもそも「家族がいる・いない」で給料を変えるっておかしいですよね。
    合理的な判断だと思えない。

    生田
  • 安田

    「貢献度は低いけど家族がたくさんいる人」の給料が高くなってしまいます。
    でも日本の会社はそういうウエットなことを重要視してきました。

  • 現代社会にはそぐわないと思いますね。

    生田
  • 安田

    「若い頃に頑張ってくれたから」ではダメですか。

  • もちろんリスペクトはあるんですけど。それを報酬にしてしまったら若い人がついてこない。

    生田
  • 安田

    確かにそうですね。

  • 「昔こうしてました」「こう言ってました」「こう書いてます」「こう教えられてます」っていう、当時の事実で物事を判断する日本人があまりにも多い。

    生田
  • 安田

    確かにそれは日本人の悪い癖ですね。

  • 「うちの会社は価値基準だ」と伝えてます。
    「お客様の困った」が変わったり、「自分たちのあるべき姿」が変わった瞬間に朝令暮改、君子豹変するのは当然だよって。

    生田
  • 安田

    社長として「この方針でいくぞ」って決めたことでも、時間とともに変わることがあるじゃないですか。

  • ありますね。

    生田
  • 安田

    そういう場合はどうするんですか?「黙ってついてこい」って感じですか。

  • いや、謝りますね。「あれ間違ってたわ、ごめん。こっち行くからついてきて」って。

    生田
  • 安田

    一応謝るんですね(笑)なるほど。

  • だって人生を賭けてくれていた人たちの時間を、ちょっと無駄にしちゃってるわけじゃないですか。そこに対する謝罪です。

    生田
  • 安田

    たとえば社員に「自分で決めろ」って言ったけど、決めてきたことが全くダメだから「やっぱり俺が決める」みたいなこともありますか。

  • それは山のようにあります。どんどん権限は委譲しますし、やってみてもらってるんですけど、最後にハンコを押すかどうかは自分が決めます。

    生田
  • 安田

    「決めたことを疑う」ことに関してですけど、レベルの問題ってありませんか?

  • どういう意味ですか。

    生田
  • 安田

    たとえば末端の社員までいちいち考えてたら、組織として効率が悪いじゃないですか。
    末端の社員は100パーセント盲目的についてこいって思いませんか?

  • 思わないですね。

    生田
  • 安田

    なんと!

  • 「100パーセントあなたの言うとおりです」「何を言われても付いていきます」みたいな組織は、ちょっと気持ち悪いです。

    生田
  • 安田

    そういう組織が好きな社長さんは多いですけど(笑)

  • 社長より目標の方が大事なので。
    目標が最も崇高であって、僕を飛び越えてもっと正しい判断ができるならやればいい。
    1次情報は現場の人間のほうが持っているわけで。

    生田
  • 安田

    社長の指示を盲目的にこなすだけじゃなく、「本当にこれでいいのか」って考える習慣をつけてほしいと。

  • そうです。とにかく「なぜ?」って聞かないと。ニーズとウォンツは違うので。

    生田
  • 安田

    その分スピードはちょっと落ちますよね。

  • 言った瞬間に動いて100%のクオリティが出せるほど、僕らの仕事は簡単じゃないので。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • 単純な仕事なら言ったとおりやってくれたら最大品質になる。
    でも複雑性が増せば増すほど、「なぜそれをやらなきゃいけないのか」という前提を考えないと。品質はすごく毀損すると思います。

    生田

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