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Conversation対談

2023.07.17

第26話『人気者が社長を継ぐ時代』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

会社の人気者が社長のバトンを継いでいく

  • 安田

    生田さんは「顧客とファンの違い」って何だと思います?

  • 「お客さんを育ててファンにしたい」ってよく言いますよね。

    生田
  • 安田

    はい。多くの経営者が望むことです。

  • でも元々ファンになる可能性のある人じゃないと、ならないと思うんです。

    生田
  • 安田

    つまりファンは元々ファンだってことですか。

  • 前回「機能」と「意味」の話をしたと思うんですけど。
    セロテープのファンとか、ハサミのファンっていないじゃないですか。機能として使っているだけなので。

    生田
  • 安田

    「ハサミのファン」はいないですね(笑)
    「このメーカーのこのハサミのファン」みたいな人はいるかもしれませんけど。

  • そうなんですよ。それって最初からお客さんが「ハサミ」という機能を見てるのか、メーカーの考え方とかコンセプトを見ているのかの違いで。

    生田
  • 安田

    ファンになる人は「最初から決まってる」ということですね。

  • 情報提供することで「好きになってもらうきっかけ」を与えることはできると思います。

    生田
  • 安田

    後付けでのファン化も可能だと。

  • ただし、そのためには「ファン化プログラム」みたいなものが企業側に必要です。
    【ファン化に関するサービスについてはこちら】

    生田
  • 安田

    一生懸命サービスしているだけではファンになってくれない。

  • ただ「ファンになってほしい」と思っていても、それは無理な話で。

    生田
  • 安田

    どうすればいいんですか。

  • ギアを変えてあげるためのプログラムやコンテンツが必要ですね。あとは届け方も非常に重要で。

    生田
  • 安田

    届け方?

  • はい。YouTubeをやり始めて分かったんですけど。たとえば安田さんがアイドルだったとして。

    生田
  • 安田

    私がアイドルだったとして。

  • 安田さんに1,000人のファンがいて、CDを出したら2人に1人は買ってくれますと。
    そしたら500枚売れますよね。

    生田
  • 安田

    はい。

  • 1枚1,000円で500枚だったら売上が50万になるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    そうですね。

  • これは「CDという音楽を聴くツールを500人に提供しました」ということだと思うんです。
    だけど無料でYouTubeに公開しちゃうという方法もある。

    生田
  • 安田

    ほほう。

  • 無料でYouTubeに公開して、すごくゴージャスなCDを1枚作って、1,000人のファンのうち1名様に100万円で限定販売する。

    生田
  • 安田

    すごい戦略ですね。1000人の中に買ってくれる人がいるかどうか。

  • ファンは1,000人ですけど、YouTubeで配信したら1万再生とかするかもしれないじゃないですか。
    もっと無限の可能性があるわけですよ。

    生田
  • 安田

    確かに。

  • つまり届け方を変えるだけでファンを増やせるわけです。あとは発信主体も非常に大事ですね。

    生田
  • 安田

    発信主体ですか。

  • ウチはオウンドメディアで事例公開する時は「コムデック」でやってるんです。
    けどYouTubeの「kintone芸人」ではコムデックの名前をほぼ出してません。

    生田
  • 安田

    そうなんですか。

  • kintone芸人は「イクタとサタ」でやってます。

    生田
  • 安田

    それはどうして?

  • 結局「人推し」なんですよ。人にしかファンは付かないので。

    生田
  • 安田

    「会社にファンを付ける」って、難しいですもんね。

  • そうなんですよ。だけど中小企業は属人化を辞めちゃってるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    それはどういう意味ですか。

  • 「営業担当」とか「サポート担当」とか「○○課長」とか。
    要は、中小企業は名前を奪っちゃってますよと。「千と千尋」の話ですよ。

    生田
  • 安田

    ファン作りとは逆行してると。

  • そうなんですよ。
    中小企業は「ファン化したい」「ファン化したい」って言っているけど、やってることは顧客集めなんです。

    生田
  • 安田

    肩書きで寄ってくるのはファンじゃなくて顧客だと。

  • そういうことです。

    生田
  • 安田

    生田さんは「ファン」と「顧客」の違いを、どう定義してるんですか?

  • 「顧客は僕らの商品やサービスを購入してくれる人たち。
    僕たちの商品やサービスよりもいいものがあったら、そっちに行っちゃう人たち」と社員には言ってます。

    生田
  • 安田

    ああ、なるほど。

  • 「ファンは僕たちの商品やサービスを提供している“あなた”を応援してくれている人」と言ってます。
    だから「イクタ」「サタ」なんですよ。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • そして「イクタやサタがいるコムデック」なんですよ。順番が逆なんです。

    生田
  • 安田

    つまり「個人を際立たせていかないと、中小企業のファンは生まれない」ってことですね。

  • とくに僕たちはデジタル分野なので。
    複製が効くものじゃないですか。作って届けるだけだったらあまり価値になっていなくて。

    生田
  • 安田

    どういう価値を意識してるんですか。

  • 「〇〇さんがアドバイスしてくれてる」とか。「〇〇さんが困ったときに面倒を見てくれる」とか。
    「うちは〇〇さんに任せてる」とか。
    そういう役務に意味がくっついてくるんです。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • 納品したアプリはあくまでも機能でしかないので。
    「それをどう運用していくのか」という部分に意味がくっついてくる。だからやっぱり人を出していかないと。

    生田
  • 安田

    大きい会社だと商品ごとにファンを作ってますよね。
    「チョコボールのファン」とか「カレーヌードルのファン」とか。

  • チョコボールは「キョロちゃん」のファンとも言えます。
    大企業はお金があるのでキャラクターでファン化できるんです。

    生田
  • 安田

    確かに。

  • 中小はそんな予算もノウハウもないし、人でやっちゃったほうが早いんです。
    ただし、それは「サタがいなくなる」「イクタが死んだ」で終わっちゃう。

    生田
  • 安田

    個人にファンがつくとそうなりますよね。その人がいなくなったら終わり。
    だから大手は属人化を嫌います。

  • 誰が辞めても問題ないようにキャラにファンをつけるのが大手。でも中小はそれができない。

    生田
  • 安田

    リスクはあっても中小は人でファン化した方がいいと。

  • 中小企業にはそんな資金力がないので。人を推してあげたほうがいいよねっていう。

    生田
  • 安田

    社長が頑張って自分のファンを作るのはどうですか?

  • すごく重要ですよね。だから僕も自分でkintone芸人をやってるわけで。

    生田
  • 安田

    逆に「社員の誰か」にたくさんファンが付いてる状態って、危なくないですか?
    辞めて独立しちゃうとか。

  • いずれその人を社長にすればいいと思います。というか、そうなっちゃいますよ。

    生田
  • 安田

    機能性は劣るけど意味のあるムダですね。

  • いずれその人を社長にすればいいと思います。というか、そうなっちゃいますよ。

    生田
  • 安田

    お客さんに人気のある人を社長にしちゃうってことですか。

  • 「営業がうまい」でも「経営力がある」でも「ファイナンスの知識がある」でもなく、会社の人気者が社長のバトンを継いでいく。そういう時代ですね。

    生田

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