> 対談一覧 > 第20話『人に依存するビジネスのススメ』
商売するか、商人でいるか
安田大企業の廉価版ですか。
はい。多くの中小企業がそうなっちゃってますよね。
生田
安田それはどういう意味で?
とにかく大きくしようとするじゃないですか。大きくしてもしょうがないのに。
生田
安田強迫観念みたいなものがあるんじゃないですか。成長し続けないと潰れてしまいそうで。
成長し続けることには賛成です。だけど単に規模を拡大するのは無意味ですよ。
生田
安田生田さんは大きくしたい願望とかないんですか?
ないですね。
生田
安田それは途中で変わっていったんですか?それとも元々大きくすることに興味がないのか。
もともと興味がないです。
生田
安田へぇ~。そうなんですね。
売上や社員数で大企業になる気は全くないです。
人時生産性がめちゃめちゃ高い企業にはしたいですけど。
生田
安田1人あたりの生産性が高いってことですか。
そうです。30人ぐらいの規模感で平均年収がキーエンスと同じくらい。そういう会社を目指してます。
生田
安田規模を大きくして、スケールメリットで1人あたりの生産性を上げるのはダメですか。
ダメだとは思いません。やるならとことん大きくしないといけないだけで。
生田
安田中途半端はダメだと。
ダメだと思います。
生田
安田「規模を大きくしないと生産性が上がらない」と思っている経営者は多いです。
多いですよね。でもその方向で生き残るのはかなり厳しいと思います。
生田
安田厳しそうですよね。
たとえばユニクロはそうじゃないですか。世界規模にまで顧客層を広げることで生産性を上げ続けてる。
だから社員にも高い給料を払えるわけで。
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生田
安田大きくするなら世界一を目指さなきゃいけないと。
世界一まで行かなくても日本ではトップじゃないと。
生田
安田コムデックは日本トップを目指してないんですか?
違う意味で目指してますね。ユーチューバーの東海オンエアって知ってますか?
生田
安田いえ、知りません。
私もべつにファンではないんですけど。今めちゃめちゃ人気なんですよ。
生田
安田東海オンエア?へえ〜
5~6人の集団だと思うんですけど。おそらく全員、年収1億超えだと思います。
生田
安田なんと!
チャンネルの収益が10億あったとしたら、5人で均等に割れば2億じゃないですか。
生田
安田そんなに人気があるんですか。
はい。コト売りとか情報売りって、少人数でも大きな売上が作れる時代なんですよ。
生田
安田大きくするメリットもありそうですけどね。
むしろ小さいほうがメリットがある。ONE PIECEに例えるならば新世代ですよ。
生田
安田ONE PIECEですか。
あ!読んでませんか?「四皇」とか言ってもわからないですよね。
生田
安田分かりますよ(笑)シャンクスとかですよね。ONE PIECEは読んでます。
よかったよかった。
もともと四皇って、カイドウと、ビッグ・マムと、白ひげと、シャンクス、でしたよね。
生田
安田そうです。
みんな規模がでかいじゃないですか。
生田
安田でかいですね。
それが変わっていってますよね。麦わらが四皇になって。
生田
安田ルフィのチームは小さいですもんね。いま何人なのかな。
15人もいないですよね。
生田
安田いなかったと思います。
そういう状態がいいんじゃないかなと思ってまして。
形のある商品を全国に届けようと思うと、工場やサプライチェーンが必要なじゃないですか。
生田
安田必要ですね。
だけど「僕らはここでこんなことをやっているよ」を日本中に届けるには、人数はいらないかなって。
生田
安田コムデックさんの事業って、売上と社員数が比例する気がするんですけど。
僕らの商売って、つくることも大事なんですけど、この数年やってきたのはメディア事業なんです。
生田
安田メディア事業?
コムデックラボというメディアを作ってまして。
生田
安田kintoneのノウハウを発信するメディアですよね。
そうです。
僕らはもともとkintoneをつくる事業だったんですけど、「つくった成果を日本中に発信する会社」に変わってきてる。
生田
安田なるほど。
情報とかコトっていうのは「大人数じゃなくても日本一になれる」と実感してます。
生田
安田個人で情報発信して影響力がある人って、今いっぱいいますもんね。
プロダクションに所属せずSNSやYouTubeを使ってフリーでやってたり。
プロダクションに所属しない方が自由だし、もっと稼げるし。
生田
安田プロダクションに所属するなら大手じゃないと意味ないですよね。
そうなんですよ。小さい無名のプロダクションってほとんど無力じゃないですか。
生田
安田それこそ大手の廉価版ですよね。
結局のところ「スケールかスモールか」というのは、「商売するか、商人でいるか」を決めることだと思います。
生田
安田商売するか、商人でいるか?
チェーン店としてスケールするか、大将として少ないスタッフと個人店をやるか。
生田
安田なるほど。
個人店って商売じゃないんですよ。マネジメントもなければ教育のカリキュラムもない。
生田
安田それだと大将がいなくなったら終わりませんか?
そうです。大将がいなくなったら終わり。他のスタッフも代わりが効かない。
生田
安田会社って、「誰が辞めても代わりが効くのが正しい」って言われてたじゃないですか。
言われてましたよね。だけどルールが変わってきたんです。
生田
安田代わりが効かないほうがいいってことですか?
代わりがいないから価値がある。人時生産性が高くなる。
生田
安田でもいなくなったら終わりですよ。
だからルフィのチームは1人を助けるために全員命がけじゃないですか。
生田
安田1人抜けたら大変ですからね。コックなんてひとりしかいないし。超属人化ですよ。
「人に依存して大きくしないビジネス」の典型ですね。
これからは絶対にそちらの方が利益を出し易い。生産性を高め易い。それが僕の実感です。
生田