ホールの仕事ができるようになって、お金の計算も間違わない。そして“回し”の仕事もできる。
走攻守そろってきたわけです。

はい。そして、ちょうどその頃「アナログの極み」といわれた夜の世界にITが下りてくるんです。

今までのレジは「1万5,000円、チーン！レシート、ジジジジ……」みたいな感じだったわけです。
そこにIT が降りてきた。

パソコンとレジが一体化した、いわゆるPOSレジが出てくるんです。

POSレジを使えばテーブルマネジメントもできるし、電卓をはじく必要もなければ、ドリンクが入ったときに「正」の字を書いていく必要もないわけです。

そうなんですよ（笑）今まで紙とペンでやっていたのが、マウスやタッチになったわけです。
苦手な人からしたら「なんじゃこれ」って話で。

はい。僕はそこがすぐ出来ちゃって。

そうです。当時はアナログの店をいっぱい出していて。僕がPOSレジ普及係みたいなのをやったんですよ。

三重・名古屋で10店舗以上ありました。

最後に辞めたときは20店舗ぐらいあったと思います。

いや、IT責任者みたいな人は外部にいるんです。
けど夜は来ないし営業中にベッタリいるわけでもないので。僕がサポートしてました。

POSレジを通じていろんな店を見る機会が増えて。経験も積ませていただいて。
新たな店が鈴鹿にできた時に「おまえが店長としてやれ」と。23歳の夏でした。

給料は高かったです。固定で40万プラス利益の10％の歩合。だいたい月50万から80万ぐらいですかね。

超えました。しかも、お金を使う時間がないですから、どんどん貯まっていく。

じつはそんなに長くなくて。6か月ぐらいです。

辞めました、はい。店長になったら状況が変わってしまって。

いろんな人に足を引っ張られて、上司も僕を信用しなくなっていきました。
好きだった店長とも同じ立場になってしまったし。

いえ、そんなことはないです。ただ店長になると、更に上の人と人間関係を作っていく必要があって。
そういうのが得意じゃなかったんです。

単純にその人が好きだったからうまく付き合えたわけで。
年上と付き合うのが得意ではないし、上の人に取り入るのも苦手で。

そんなのやったことないですね。

出来ませんでした。

めちゃくちゃ面白かったし、結果も出してました。

みんなが止めに来ました。だけど「いや、辞めます」って。

決意が固かったというより、もう疲れちゃったって感じですね。

人間関係と、ずっと週6で働き続けることに。「このまま夜の仕事をやり続けていいのか」という不安もありました。まだ24歳だったので。

まず大学に戻ろうと思って教授にあいさつに行きました。
そのとき既に7回生で「お前はもう背水の陣だ」「ここまで頑張ったら卒業させてやる」って言われて。

そうですね。大学は中退しようと決めました。

いや、ぜんぜんないです。インターネットで「三重　システム開発」って調べたら、たまたま出てきたのがコムデック。

やっぱり夜の仕事って劣等感やモヤモヤがあるんですよ。同級生は卒業して普通に社会人やってるし。
「今なにやってんの？」って聞かれて「夜の仕事」って言いづらかった。

「俺はITやってる」って言いてぇ。みたいな(笑)
それと、やっぱりPOSレジとの出会いが大きかったです。

POSレジのおかげで“回し”をしながらレジができるようになって。
ぶっちゃけ僕の能力が高かったのもあるんですけど(笑)「すげえな」と思いましたね。

重要な役割にコストの高い人間を2人つける必要がなくなる。コストの高い人が1人で済むわけですよ。
「これからはITだ！」って思ったのが2008年ですね。

そうです。

額面15万円でした。手取り13万5,000円から、もう一度やり直しです。

お金は関係なかったですね。「昼働けるんだ」「ITできるんだ」ってことが嬉しくて。
どんどんプログラムを覚えて「ああ、面白いな」ってハマっていくわけですよ。

プログラムはめっちゃ楽しくて。システムの設計も楽しい。プロジェクトマネージャーも面白い。

「人を動かすほうが面白い」「仕事取ってくるほうが面白い」って、1年半から2年で、どんどん役割が変わっていきました。

はい。運命って不思議なもんですよ。