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Conversation対談

2023.03.27

第10話『価値の再逆転が起こる!?』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

教養や文化をもう1回再分配する

  • 安田

    「夕日を見たことがない子どもが増えている」っていう話。聞いたことありますか?

  • いえ。そうなんですか?

    生田
  • 安田

    そうらしいですよ。でも夕日ってなくならないじゃないですか。

  • ですよね。

    生田
  • 安田

    なぜ見たことがないかというと、夕日って意識しないと見えないそうで。

  • 意識しないと見えないですかね。

    生田
  • 安田

    たとえばお母さんが夕日を見ながら「きれいだね」って言うと、「夕日というのはきれいなものなんだ」という感性が育つそうです。

  • なるほど。そういうことですか。

    生田
  • 安田

    感性って最初からあるわけじゃなく、育てないとだんだん劣化していくそうです。

  • そう思います。常識と同じで感性って身に付けていくものですよ。人生を積み重ねた結果できあがる物差しみたいなもの。

    生田
  • 安田

    「夕日を見たことがない子供が増えてる」ということは、日本人の感性が劣化してるってことですよ。

  • 「感性」≒「教養」だったり、「感性」≒「文化」だったりすると思うんですよ。この教養とか文化が今めちゃめちゃ劣化していっています。

    生田
  • 安田

    ですよね。

  • お金の再分配は簡単なんですけど。感性の再分配って、めちゃめちゃ難しい。

    生田
  • 安田

    どういう意味ですか。

  • マーケティングをやって、インサイドセールスをやって、営業して受注して、ストック収入フロー収入があって、それを再分配するのはめっちゃ簡単なんです。

    生田
  • 安田

    いやいや。難しいですよ(笑)

  • まあ簡単じゃないのかもしれないですけど。でも仕事を通じて「教養や文化をもう1回再分配する」って至難の業ですよ。

    生田
  • 安田

    そんな会社はほとんどないでしょうね。

  • ないと思います。でもこれからは必要です。

    生田
  • 安田

    遺跡って、世界のどこに行っても壁画や装飾品があるんですね。上手に絵が描けるとか、きれいな装飾品をつくれるとか、昔は重要な役割だったんでしょう。

  • そう思います。いまは「お金にならないことには価値がない」と思っている人がすごく多いですけど。

    生田
  • 安田

    「絵が描ける?単なる趣味でしょ?」みたいな。

  • 「それ売れるの?」みたいな。

    生田
  • 安田

    「マネタイズはどうするんですか?」って、すぐに聞いてくる経営者がいますよね。

  • 多いです。

    生田
  • 安田

    マネタイズできないなら聞く必要のない話だと思っていて。

  • 「受験勉強に美術や音楽が必要ない」と思ってる人と同じですね。「まあ、受験には関係ないよね」みたいな。

    生田
  • 安田

    同じですね。

  • 要は左脳ですよ。データやデジタルの引力が今めちゃくちゃ強いので。「数値がこうなっているから、こうしましょう」みたいな。

    生田
  • 安田

    確かに。そのタイプの人ってデータやエビデンスを重視しますね。

  • 「ここのPVが少ないから、こういうふうに改善してコンバージョンをこうしましょう」とか。めっちゃ説得力があるんですけど。

    生田
  • 安田

    数字は嘘つかないイメージなので。

  • ただ、それだけだと大企業と同じ市場で戦うことになります。コモディティ化していく中で生き残れなくなる。

    生田
  • 安田

    生き残るには何が必要ですか。

  • やっぱり「自分たちだけの価値」みたいなのがないと。それって感性じゃないですか。

    生田
  • 安田

    数字やデータではない何かですよね。

  • 美術や家庭科から醸成される教養であったり文化であったり。右脳的な人間らしさって、そこから生まれてくるものだと思う。

    生田
  • 安田

    そうかもしれません。

  • 「AIが発展したら人間は何をするんだ?」って話になるじゃないですか。

    生田
  • 安田

    なりますね。仕事がなくなるとか。実際どうなっていくんでしょう?

  • お金にならないと思っていた落書きがまたお金になると思う。

    生田
  • 安田

    落書きがお金になるんですか?

  • なぜなら、お金になるアートはAIが短時間でつくる時代になるから。

    生田
  • 安田

    なるほど。お金にならないものが逆に価値が出てくると。

  • 「何をやったら価値になるのか」という部分が、すごい勢いで変わってきてる。

    生田
  • 安田

    今は国語・算数・理科・社会が主流ですけど。昔は音楽・美術・体育ってもっと価値があったんでしょうね。

  • 「裁縫ができる」とか、「上手に歌を歌える」とか、「踊れる」とか、「力持ち」とか。生活に直結した能力が重宝されてたはずです。

    生田
  • 安田

    理科や社会なんて生活に必要なかったでしょうし。有名な哲学者も「仕事もしないで勉強ばかりやって」とか言われてたかもしれません(笑)

  • 今お金になってるスキルなんて、昔は仕事として認められてなかった気がします。

    生田
  • 安田

    いつの間に逆転しちゃったんでしょう。

  • 資本主義の発明あたりじゃないですか。

    生田
  • 安田

    この先AIによって再逆転が起こる可能性はありますか。

  • あると思います。

    生田
  • 安田

    そこに対応していくにはどうしたらいいんでしょう。

  • やっぱり自分の特徴とか得意を活かすことじゃないですか。

    生田
  • 安田

    足の遅い飛脚なんて昔は絶対いなかったでしょうね。今は営業センスのかけらもない人が営業職をやってたりするけど。

  • それだけ感性が鈍ってるということですよ。

    生田
  • 安田

    ちょっと鈍すぎる気がします。

  • 資本主義社会では「こういう仕事があります」「給料はいくらです」って決めたものに、人をはめ込んでいくじゃないですか。

    生田
  • 安田

    そうですね。

  • その時代が長すぎて感性が鈍っているんだと思います。

    生田
  • 安田

    「得意なことが分からない」って人もいますもんね。ぜんぜん向いていない仕事をやっちゃってる人とか。

  • たくさんいますよ。そういう人たちはAI時代には淘汰されていくと思います。機能としての仕事ってAIが一番得意なところなので。

    生田
  • 安田

    やはりAIは人間のライバルになるんでしょうか。

  • ライバルという感じではないと思う。スマートフォンを使っているごとく全員がAIを使うようになるので。

    生田
  • 安田

    全員が?

  • はい。その上で二分されていくと思います。「AI×新しいことをつくる人たち」と「AI×指示どおりにやる人たち」に。

    生田
  • 安田

    AIの指示通りの人たちってどういう人ですか。

  • ウーバーイーツとか。タクシーのGOとか。「ここに行ってこれをやってください」ってAIに指示されたことをやる人たち。

    生田
  • 安田

    そういう仕事って増えてませんか。

  • これから先もどんどん増えていきますよ。

    生田

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