お客さんはどこに価値を感じてくれるのか。働いている社員は何をやりがいにしてるのか。
クライアントが1000社になったら打ち止め?
その予定です。
あえて大きくしないと。
「1日100食しか売りません」という弁当屋さんがあるんですけど。佰食屋さんっていう。
知ってます。建築でもありますよ。「年間5棟しか建てません」という建築会社。
ありますよね。
大人気です。限定することによるブランドというか。
もちろん値打ちが出るというのもあるんですけど。それよりも目標が明確になるし、延々と規模を追いかける必要がなくなるし。
わかります。今は「スケールかスモールか」の二択を迫られる時代だと思っていまして。みんながスケールを目指す時代はもう終わりですよね。
スケールで勝てる企業ってほんの一握りだし、スケール企業のおこぼれではもう生き残れない時代です。新たな価値を生み出さないと生き残っていけない。
規模は大きくないけど「生産性が高く、ちゃんと稼げるし、社員もハッピー」という会社を目指さなきゃいけない。それが生田さんの考えですね。
はい。ただしスモールビジネスが難しいのは「どの大きさがベストなのか」って答えがないところ。
さっきの建築会社も5棟が正解なのか、15棟が正解なのか、30棟なのかって、答えがないですもんね。
そうなんですよ。お客さんはどこに価値を感じてくれるのか。働いている社員は何をやりがいにしてるのか。それによって答えが変わります。
いままでの延長線上では「答えを見つけ出せない時代」に入ってますよね。
間違いないです。
いまコスパじゃなく「タイパ」って若い子が言ってるじゃないですか。
若い子ほど「タイムパフォーマンス」なんですよ。
給料が増えるより、自由な時間が増えるほうを優先するそうで。
そういう人が増えてきてます。
いまの若い子は映画を早送りで観るそうです。
そうみたいですね。
アーティストさんはすごく怒ってるんですけど。音楽も早送りで聴いたり、サビの部分まで飛ばしちゃったり。
イントロが長いと、そこで離脱されちゃうそうです。
昔と違って今はすごい数の音楽が聴けるじゃないですか。
いまはサブスクですからね。
そうなんですよ。昔のレコードやCDって結構高かったですから。
マンガも読み放題だし。
音楽は聴き放題で、マンガも読み放題。到底時間が足りないわけですよ。せっかくの権利があっても行使できないというか。
そうなりますね。
で、結果的にどうなっているかというと、サビの部分だけを聴いたり。話題にはついていかないといけないし。
効率化の成れの果てですね。
ところがそんな若者の間で、逆に昭和の曲が流行り出してるそうです。
昭和の家電を集める子供とかもいますよね。
そうなんです。明らかに効率化の延長線上ではないところに、いきなりジャンプしてる感じがします。
これだけ新しいコンテンツがあっても、同じ映画を2回も3回も観たりするじゃないですか。同じ音楽をなん度も聴いたり。
しますね。
多分そっちのほうが安心なんですよ。
ジブリなんて何回もテレビで再放送してますけど。やると観ちゃいますよね。「またトトロ観ちゃった」みたいな。
それがいいんじゃないんですか。初詣みたいな感じで。
中小企業の生き残る道はそっちですよね。
そうそう。いかに「あなたにとっての伊勢神宮になるか」みたいな。定期的に会いに来てもらうとか、定期的に価値の交換ができる関係とか。
狭くて深い関係ってことですか。
世界の人口は増えてますけど、そっちはグローバルな戦いじゃないですか。
はい。
村で商売するとなったら人口は減っていくわけです。よりファン化してコミュニティをつくらないと。
【ファン化に関するサービスについてはこちら】
なるほど。
地方の中小企業は絶対そこに取り組んだほうがいいと思う。やってない会社が圧倒的に多いですけど。
地方は人口が少ないし、マーケットも小さいじゃないですか。
はい。
だからお客さんを逃がさないように、できるだけ間口を広げて、品ぞろえも増やして、値段も安くしちゃうんです。
やるべきことが逆ですね。それだと競争が余計に激しくなってレッドオーシャンまっしぐらですよ。
人口が少ない地方都市なのに商品数を絞って、週に3日しか営業してないスーパーとかが、人気だったりするんです。
わかります。わざわざ遠くから来てくれたり。
いまはネットで繋がってるし、離れた地域からわざわざ取り寄せてくれたり。
経営者の感覚としたら、やっぱり「マーケットを狭める」とか「お客さんを絞り込む」って怖いんでしょうね。
弁護士さんや税理士さんも、地方ほど領域を広げますね。
「どんな法律相談でもおまかせください」みたいな。
そういう弁護士さんがほとんどです。だけど儲かっている弁護士さんは「離婚専門の弁護士」とか「労働法専門の弁護士」とか。
絞ってるから見つけやすくなって、お客さんの方から来てくれるんでしょうね。
スマホ検索でヒットしやすくなるので。だけどお客さんが来ない弁護士さんは、来ないから余計に広げちゃう。値段を安くしちゃう。
99パーセントの中小企業経営者はそっちに向かっていってる気がします。