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Conversation対談

2023.02.27

第6話『コスパでもタイパでもない、何か』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

お客さんはどこに価値を感じてくれるのか。働いている社員は何をやりがいにしてるのか。

  • 安田

    クライアントが1000社になったら打ち止め?

  • その予定です。

    生田
  • 安田

    あえて大きくしないと。

  • 「1日100食しか売りません」という弁当屋さんがあるんですけど。佰食屋さんっていう。

    生田
  • 安田

    知ってます。建築でもありますよ。「年間5棟しか建てません」という建築会社。

  • ありますよね。

    生田
  • 安田

    大人気です。限定することによるブランドというか。

  • もちろん値打ちが出るというのもあるんですけど。それよりも目標が明確になるし、延々と規模を追いかける必要がなくなるし。

    生田
  • 安田

    わかります。今は「スケールかスモールか」の二択を迫られる時代だと思っていまして。みんながスケールを目指す時代はもう終わりですよね。

  • スケールで勝てる企業ってほんの一握りだし、スケール企業のおこぼれではもう生き残れない時代です。新たな価値を生み出さないと生き残っていけない。

    生田
  • 安田

    規模は大きくないけど「生産性が高く、ちゃんと稼げるし、社員もハッピー」という会社を目指さなきゃいけない。それが生田さんの考えですね。

  • はい。ただしスモールビジネスが難しいのは「どの大きさがベストなのか」って答えがないところ。

    生田
  • 安田

    さっきの建築会社も5棟が正解なのか、15棟が正解なのか、30棟なのかって、答えがないですもんね。

  • そうなんですよ。お客さんはどこに価値を感じてくれるのか。働いている社員は何をやりがいにしてるのか。それによって答えが変わります。

    生田
  • 安田

    いままでの延長線上では「答えを見つけ出せない時代」に入ってますよね。

  • 間違いないです。

    生田
  • 安田

    いまコスパじゃなく「タイパ」って若い子が言ってるじゃないですか。

  • 若い子ほど「タイムパフォーマンス」なんですよ。

    生田
  • 安田

    給料が増えるより、自由な時間が増えるほうを優先するそうで。

  • そういう人が増えてきてます。

    生田
  • 安田

    いまの若い子は映画を早送りで観るそうです。

  • そうみたいですね。

    生田
  • 安田

    アーティストさんはすごく怒ってるんですけど。音楽も早送りで聴いたり、サビの部分まで飛ばしちゃったり。

  • イントロが長いと、そこで離脱されちゃうそうです。

    生田
  • 安田

    昔と違って今はすごい数の音楽が聴けるじゃないですか。

  • いまはサブスクですからね。

    生田
  • 安田

    そうなんですよ。昔のレコードやCDって結構高かったですから。

  • マンガも読み放題だし。

    生田
  • 安田

    音楽は聴き放題で、マンガも読み放題。到底時間が足りないわけですよ。せっかくの権利があっても行使できないというか。

  • そうなりますね。

    生田
  • 安田

    で、結果的にどうなっているかというと、サビの部分だけを聴いたり。話題にはついていかないといけないし。

  • 効率化の成れの果てですね。

    生田
  • 安田

    ところがそんな若者の間で、逆に昭和の曲が流行り出してるそうです。

  • 昭和の家電を集める子供とかもいますよね。

    生田
  • 安田

    そうなんです。明らかに効率化の延長線上ではないところに、いきなりジャンプしてる感じがします。

  • これだけ新しいコンテンツがあっても、同じ映画を2回も3回も観たりするじゃないですか。同じ音楽をなん度も聴いたり。

    生田
  • 安田

    しますね。

  • 多分そっちのほうが安心なんですよ。

    生田
  • 安田

    ジブリなんて何回もテレビで再放送してますけど。やると観ちゃいますよね。「またトトロ観ちゃった」みたいな。

  • それがいいんじゃないんですか。初詣みたいな感じで。

    生田
  • 安田

    中小企業の生き残る道はそっちですよね。

  • そうそう。いかに「あなたにとっての伊勢神宮になるか」みたいな。定期的に会いに来てもらうとか、定期的に価値の交換ができる関係とか。

    生田
  • 安田

    狭くて深い関係ってことですか。

  • 世界の人口は増えてますけど、そっちはグローバルな戦いじゃないですか。

    生田
  • 安田

    はい。

  • 村で商売するとなったら人口は減っていくわけです。よりファン化してコミュニティをつくらないと。
    【ファン化に関するサービスについてはこちら】

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • 地方の中小企業は絶対そこに取り組んだほうがいいと思う。やってない会社が圧倒的に多いですけど。

    生田
  • 安田

    地方は人口が少ないし、マーケットも小さいじゃないですか。

  • はい。

    生田
  • 安田

    だからお客さんを逃がさないように、できるだけ間口を広げて、品ぞろえも増やして、値段も安くしちゃうんです。

  • やるべきことが逆ですね。それだと競争が余計に激しくなってレッドオーシャンまっしぐらですよ。

    生田
  • 安田

    人口が少ない地方都市なのに商品数を絞って、週に3日しか営業してないスーパーとかが、人気だったりするんです。

  • わかります。わざわざ遠くから来てくれたり。

    生田
  • 安田

    いまはネットで繋がってるし、離れた地域からわざわざ取り寄せてくれたり。

  • 経営者の感覚としたら、やっぱり「マーケットを狭める」とか「お客さんを絞り込む」って怖いんでしょうね。

    生田
  • 安田

    弁護士さんや税理士さんも、地方ほど領域を広げますね。

  • 「どんな法律相談でもおまかせください」みたいな。

    生田
  • 安田

    そういう弁護士さんがほとんどです。だけど儲かっている弁護士さんは「離婚専門の弁護士」とか「労働法専門の弁護士」とか。

  • 絞ってるから見つけやすくなって、お客さんの方から来てくれるんでしょうね。

    生田
  • 安田

    スマホ検索でヒットしやすくなるので。だけどお客さんが来ない弁護士さんは、来ないから余計に広げちゃう。値段を安くしちゃう。

  • 99パーセントの中小企業経営者はそっちに向かっていってる気がします。

    生田

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