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Conversation対談

2023.02.20

第5話『スキルではなく感性』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

経営者にセンスが求められる時代とは?

  • 安田

    デジタル化したら「つまらなくなる」ということでしょうか。

  • デジタル化というのは、「人間が考えるための時間をいかに生み出すか」もしくは「考える機会をいかに増やすか」が目的だと思うんです。

    生田
  • 安田

    効率化ではなく?

  • 「効率化したね」で終わってる企業があまりにも多い。だけどその先を考えなくちゃ意味がないんです。

    生田
  • 安田

    効率化が目的になってはいけない。

  • そこを目的にすると、どんどん忙しくなって人が辞めちゃう。IT企業でもそういう会社がたくさんあります。

    生田
  • 安田

    ちょっと話が変わりますけど、「江戸時代の一生分の情報が、現代では1年で得られる」と言われてまして。

  • 今はもっと早いと思います。たぶん江戸時代の一生は1日かからないんじゃないかな。

    生田
  • 安田

    確かに。でも現代人はこれほど圧倒的な情報量を持っていて、タスクもたくさんこなせるようになって、だけどぜんぜんハッピーになってない気がします。

  • そうなんですよ。なんて言ったらいいんですかね、性格が悪いやつとか意地悪なやつと一緒にいたくないじゃないですか。

    生田
  • 安田

    そりゃそうです。

  • 明るくて前向きで幸せそうな人と一緒にいたい。だからそういう人の周りには同じような人が集まってくるわけですよ。

    生田
  • 安田

    類は友を呼びますからね。

  • 今の日本はITでどんどん便利になってるのに、ただただ忙しくなってみんな文句ばかり言ってる。だから人が集まらなくなるし生産性もどんどん下がってる。

    生田
  • 安田

    日本人は「いまやってる仕事」「自分の会社」が好きじゃない人の割合が先進国で最多だそうです。なんと8割近い。

  • 今の延長だとどんどんそうなっていきます。

    生田
  • 安田

    利益と給料のために、みんな我慢して働いてる感じですよね。

  • 本来は一人ひとり「どうしたらチームが勝てるか」「草野球でマネタイズするにはどうしたらいいか」って考えてくれればいいんですけど。いい大人なんだから。

    生田
  • 安田

    言われたことをやるのが仕事になっちゃってます。

  • 効率化だけを考えていると、それが加速していくんですよ。

    生田
  • 安田

    どうしたらいいんですか?

  • やっぱり最初は経営者が考えないとだめでしょうね。だけど経営者ひとりの力ではなんともならない。社員や仲間の力が必要です。

    生田
  • 安田

    どうすれば協力してもらえるようになるんでしょう。

  • 「人を幸せにする」ということに尽きると思います。ここにいると楽しい、幸せだって思ってもらえないと。生き生きとしている会社には人も仕事も集まってきますから。

    生田
  • 安田

    それって給料を高くするだけでは実現しないですよね。

  • しないでしょうね。

    生田
  • 安田

    社長が言った通りにやって、利益が増えて給料が上がっても、それだけではハッピーとは言えない気がします。

  • そうなんですよ。一人ひとりが「すごく仕事が楽しい」「やりがいがある」という実感を持ちながらも、会社としてはひとつのベクトルにちゃんと向いていないといけない。

    生田
  • 安田

    すごく難しい時代ですね。

  • 経営者にすごくセンスが求められる時代だと思います。

    生田
  • 安田

    そのセンスって、どうやったら磨けるんでしょう。

  • そのヒントをこの対談で見つけ出していきたいんです。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • デジタル化したら次はDXとか、いかにビジネスにテクノロジーを組み込むかとか、それは考えないよりは考えたほうがいいんです。

    生田
  • 安田

    それだけじゃダメだと。

  • これからの経営はそれだけではダメだと思います。「いかにして幸福度を上げるのか」ということを考えていかないと。

    生田
  • 安田

    効率化やデジタル化も必須だと思いますけど。「メールは受け付けません。Zoomの使い方は分かりません」みたいなのじゃ、いまの時代ビジネスにならないし。

  • それは無理ですよね。なのでデジタル化はスタートラインなんですよ。

    生田
  • 安田

    あくまでもスタート地点ということですね。

  • スタート地点です。

    生田
  • 安田

    その次の第一歩は、どこへ向けて踏み出したらいいんですか?

  • 「幸福度を高めよう」ってなったときに、僕が考えているのは既存のお客さんにファンになっていただくこと。

    生田
  • 安田

    お客さんがファンになると幸福度が上がるんですか?

  • 幸福度が上がらないとファンになってもらえませんし、お客さんから「ありがとう」と言ってもらえるシチュエーションが圧倒的に増えるのでスタッフも喜ぶ。
    【ファン化に関するサービスについてはこちら】

    生田
  • 安田

    報酬という面ではどうなんですか。

  • それも考えないといけないです。給料が上がって、モチベーションが上がって、お客様にいいサービス提供をするようになって、顧客ロイヤリティも上がる。

    生田
  • 安田

    給料を上げるには利益を増やさないといけないですよね。

  • はい。なのでもう一度自社のプロダクトを棚卸しして、利益率の高いものを売っていく。そこに集中と選択をするための新しい打ち手が必要です。

    生田
  • 安田

    その「新しい打ち手」が見つけられなくて、みなさんすごく悩んでるように見えるんですけど。

  • 本気で見つけようと思えば見つかると思います。中小企業にはそういうネタがたくさんあるので。

    生田
  • 安田

    現実として多くの会社は逆に行っちゃってますよね。社員には幸せになってほしい、お客さんにも喜んでほしい、だから安くするとか、早くするとか、便利にするとか。

  • それは思考停止になってる典型だと思います。まさに効率化が手段ではなく目的になってしまってる。

    生田
  • 安田

    効率化して利益が増えれば、給料も上がって休みも増えて、社員の幸福度が上がるような気もしますが。

  • そこで得た時間と報酬でプライベートを充実させる、というのが今の従業員の価値観ですよね。

    生田
  • 安田

    そう思います。

  • だけど、それでは先がないと思うんですよ。やっぱり仕事そのもので幸福感を上げていく努力をしないと。

    生田
  • 安田

    それが経営者の新たな仕事になるわけですね。

  • そう思います。そのためにはスキルではなく感性を磨くことが大事なんです。

    生田

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