ホーム  >  対談一覧  >  第3話『メジャーリーグより草野球』

Conversation対談

2023.01.17

第3話『メジャーリーグより草野球』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

メジャーの戦いに巻き込まれてはいけない!?
中小企業は「らしさ」や「クオリティ」や「関係性」が大切

  • 安田

    確かに大企業は世界戦をやってますよね。世界でトップ3ぐらいに入らないと、生き残っていけない。

  • そうなんですよ。だから大手はそれを目標にやればいいんじゃないかなと。

    生田
  • 安田

    スケールすることで従業員1人あたりの生産性も上がる。

  • そう思います。

    生田
  • 安田

    その利益の恩恵はどこまで落ちてくるんですか。いわゆるトリクルダウンと言われている構造。下請け・孫請け・ひ孫請けまで利益が落ちてきますか?

  • トリクルダウンはもうずっと起こっていないですよ。

    生田
  • 安田

    ですよね。政治家は結果責任だと言いながら、「トリクルダウンの結果報告」は一切聞かないんですけど(笑)

  • 聞かないですね(笑)

    生田
  • 安田

    結局「トリクルダウンは起こらなかった」ということですよね。

  • 地方のサービス業だと、そもそもトリクルダウンなんてまったく関係ないです。

    生田
  • 安田

    そうですか。

  • 観光のインバウンドはあるかもしれないけど。大企業が頑張ったから地方が潤うみたいなことは一切ない。

    生田
  • 安田

    地方の会社はどうしたらいいんですか。

  • 地方の中小企業は地方の中小企業としてやればよくて。

    生田
  • 安田

    大企業の戦いに「巻き込まれてはいけない」ってことですか。

  • そう。世界戦っていわばメジャーリーグで戦っているようなもので。

    生田
  • 安田

    まさに世界の強豪同士のメジャーリーグですよね。

  • デジタル・ビジネスをやっていると、「気づいたらメジャーを目指しちゃう罠」みたいなのがあるんです。

    生田
  • 安田

    メジャーを目指しちゃう罠?

  • そう。気づくと目指しちゃってるんですよ。いつの間にか。でもちょっと待てよと。「俺たちは草野球で、ワイワイと仲間と幸せになればそれでいいんじゃねぇの?」と。

    生田
  • 安田

    それでも食べていけるということですか。

  • 十分食べていけると思います。それが「らしさ」だと思うし。地域性とか、らしさとか、そっちを追求したほうがいい。

    生田
  • 安田

    そんな悠長なことを言ってたらシャッター街みたいになりませんか。大手のイオンモールみたいなところがガサーッとマーケットを取っていって。

  • そういう歴史がありましたよね。

    生田
  • 安田

    小さな商店が軒並みなくなっていく時代があって。「やっぱり大手の下請けとして生き残っていくしかない」みたいなのが常識になってると思うんですけど。

  • そう信じ込んでる経営者がすごく多いと思います。

    生田
  • 安田

    メジャーリーガーについて行った方が無難というか。

  • そう思い込んでますよね。

    生田
  • 安田

    いまはそれが違ってきているということですか。

  • 僕はそう思ってます。逆に草野球のほうがぜんぜん楽しいし、十分に食っていける。

    生田
  • 安田

    それって、いつ頃から変わり始めたんでしょうか。

  • 僕が気づいたのは1年前ぐらいですね。

    生田
  • 安田

    けっこう最近ですね(笑)

  • わりと最近だと思います(笑)

    生田
  • 安田

    今の若者って管理職になりたがらない人が増えてるじゃないですか。

  • 増えてますね。

    生田
  • 安田

    それと一緒で、経営者も「大きくする気はない」って人が増えてる気がします。

  • それは僕も感じます。

    生田
  • 安田

    昔は「会社を大きくする」ということがとにかく正しくて。「来年どれぐらい目指してるの?」「いま社員何人なの?」とか、そういう話ばっかりでした。

  • 分かります。

    生田
  • 安田

    「大きくする気がない」なんて言おうものなら、変人扱いされましたよ。あるいはダメなやつの烙印を押されたり。

  • 僕の感覚だと「成長」から「成熟」に移ってるイメージですね。成長を目指さないわけじゃなくて。

    生田
  • 安田

    なるほど。成長の中身が変わってきてると。

  • そう。量じゃなく質を求めるようになってる。
    しっかり顧客をファン化するとか。LTVを伸ばすとか。アップセルして利益率を上げるとか。
    【ファン化に関するサービスについてはこちら】

    生田
  • 安田

    つまり一人当たりの生産性ってことですね。全体の売り上げ規模ではなく。

  • はい。スケールによって利益率を上げるんじゃなくて、「らしさ」や「クオリティ」や「関係性」で利益率を上げていく。そのほうが地方の中小企業には合ってます。

    生田
  • 安田

    スケールによる生産性アップと何が違うんですか。

  • スケールにおける成長というのは、いわゆる左脳的な話で算数じゃないですか。

    生田
  • 安田

    計算して答えが出る効率化ということですか。

  • そうです。それはもう答えがあるので。80点の答えを覚えれば80点の利益が残るし、90点だったら90点の利益が残る。そういう話だと思うんですよ。

    生田
  • 安田

    言われた通りに勉強すればいい点数は取れると。

  • 突き詰めていけば拡大と効率化の二つですから。いまだったらWebマーケティングをしっかりやって、営業もやることをやってたら、中小企業でも一定の点数は取れる。

    生田
  • 安田

    だけど中小企業はそれをやってはダメだと。

  • はい。一定のところまではいくんですけど、その先に待っているのは大企業とのバチバチの戦いで。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • 気づいた時にはデスゲームに足を踏み入れちゃってる。

    生田
  • 安田

    レッドオーシャンど真ん中という。

  • はい。

    生田
  • 安田

    「生産性アップ=効率化」という図式で大企業は考えてると思うんです。

  • ほぼそうなってますね。

    生田
  • 安田

    なぜそうなるのか考えたことがあるんですけど。

  • なぜですか。

    生田
  • 安田

    スケールの必然として、100人いたら「1人だけお客さんになってくれればいい」というわけにはいかないじゃないですか。

  • 無理ですね。

    生田
  • 安田

    つまり圧倒的多数の人が「イエス」と言うような商品や売り方を考えるしかない。

  • はい。

    生田
  • 安田

    すると、どうしても損得のほうに行かざるを得ないんですよ。「安い」とか「早い」とか「便利」とか。

  • 分かります。誰が見ても安いものは安いってことでしょう。

    生田
  • 安田

    そうなんです。損得ってわかりやすいんです。値段とか時間とかって数値化できるので。でも生田さんがお勧めするのは、そっちじゃないってことですよね。

  • そっちを目指すと、レギュラー仕事のオンパレードになるんですよ。そしてレギュラー仕事は、いつかはAIとかいろんなテクノロジーに取って代わられる。

    生田
  • 安田

    ですよね。

  • そっちに行くなら徹底的にスケールして、全国・全世界で戦わないとだめ。だから地方の中小企業は「イレギュラーで戦ったほうがいいよね」という話です。

    生田

生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル生田智之 伊勢で働く社長のチャンネル

※掲載されているすべてのコンテンツの無断での転載、転用、コピー等は禁じます。©Copyright Comdec. All Rights Reserved.