企業戦略としての「夢の国」
生田さんって、ディズニーランドに行ったことありますか。
ディズニーランドもディズニーシーも行ったことないです。
じつは僕ディズニーランドと同じ1983年生まれの40歳なんですけど。
そろそろ行っとこうかなとは思ってます。
じつは今、若者のディズニーランド離れが話題になっていまして。
へえ。そうなんですか?
はい。昔は5000円くらいで1日パスが買えたんですけど、だんだん値上がりして。
今は1万円以上するんですよ。
確か年間パスポートみたいなのがありましたよね。
あれも廃止になりまして。基本的にディズニーランドって混んでるじゃないですか。
せっかく行っても人気アトラクションは3〜4時間待たないといけない。
生田さんは待つの嫌でしょ?
ちょっと4時間は厳しいですね(笑)
私も苦痛でしかないんですけど。
10年前に妻と行った時は1つしか乗らずに帰ってきました。でも好きな人は並ぶわけですよ。
凄いですよね。
ところが入場料をアップしたことで前ほど混まなくなって。
「もう夢の国じゃなくなった」という人がいる一方で「高くても色々乗れていい」って喜んでいる人もいるわけです。
正しい値上げ戦略だと思いますよ。
そもそも日本のエンターテイメントって高齢者向けになってきてるわけです。
日本はもう少子高齢化だから。
若者相手にやっても人数が集まらないし、お金も持っていないから儲からないと。
そうなんです。昨年シルクドソレイユが日本に来まして。
確かアレグリアっていう演目だったと思うんですけど。値段もさることなが昼間しかやってないんです。
なんと。
それは何を意味してるかって言うとですね、
「高齢者もしくはその時間に都合をつけられる富裕層」に対象を絞ってるってことなんです。
自由に時間が取れないような人は来てくれなくていいと。
お金もないでしょと。そういうことなんですよ。
あれは痛烈に日本に対するそういうメッセージなわけです。
でもディズニーは若者から「夢の国」と言われてきたわけです。
なけなしのお金でパレードを見たり、朝から晩までずっと遊んだり。
路線変更ってことでしょう。
値上げして「夢の国じゃなくなった」なんて人はもう来てくれなくていいってことだと思う。
「高くても快適なディズニーランドに行きたい」って人をお客さんにしようという判断ですね。
そういうことです。
じつは売上も利益もどんどん伸びてるんですよ。
だから企業戦略としては正解ってことなんでしょうね。
株価も上がってます。それに多くの人が来ると設備の劣化も早まるから。
トイレや公共施設の使い方も丁寧だそうです。富裕層の人って。
飛行機のファーストクラスもトイレが綺麗です。ファーストクラスの人って使い方が綺麗なんですよ。
そうなると企業は選別しますよね。お金持ちは文句を言わないし綺麗に使ってくれるし。
貧乏な人にとっては夢の国じゃなくなって、お金持ちにとってはより夢の国に近づいてるってことでしょう。
「お金持ち優遇ビジネスをディズニーがやっていいのか」ってネットで叩かれてましたけど。
いいんです。これは飛行機と一緒ですよ。
ファーストクラスがあって、ビジネスクラスがあって、エコノミーがあると。
エコノミーの人が安く飛行機に乗れるのはファーストクラスのおかげなんですよね。
日本人は富裕層をすぐに叩きますけど。
そうなんですよ。「ファーストクラスかよ。先に搭乗しやがって」みたいな。
でもリアルな話エコノミーだけでは到底飛行機なんて飛ばせない。
飛ばそうと思うとエコノミーの価格がめちゃくちゃ上がる。
そうですよね。
エコノミーは安い上にトイレも汚すし。要望は多いし。
運営側も顧客を選びたくなりますよね。
遊園地もそういう住み分けが進んでいってるだけだと思います。
お金持ちのおかげで新しいアトラクションも増えるわけだし。
そういうことですよ。もっと感謝しないと。
日本人は「たくさん稼いでるヤツからお金を取れ」って人が多いですよね。
「貧乏な人間はどうなってもいいのか」みたいな。
お金のない家庭の子供たちをディズニーに行かせたいなら、もっと 寄付文化を育てないと。
そして休みの日をもっと分散しないと。お金持ちが悪いんじゃなく仕組みが悪いんです。
そこを変えればもっといろんな人に夢のチャンスが巡ってきますよ。