日本はなぜガイドを作らないのか
大企業はもう世界標準で商品を作らないと成り立たない時代ですよね。
国内マーケットはどんどんシュリンクしていきますから。
だけど日本はガラパゴスな商品が多くて。世界標準で作ると日本の良さがなくなっちゃうような気もするし。
中途半端が一番ダメでしょうね。
グローバルに振り切るべきなか。ガラパゴス的なニッチ商材でいくか。決めなくちゃいけないと。
要は光の当て方だと思います。
伊勢神宮は素晴らしいと思うんですけど「日本人の心のふるさと」って言っちゃったら、海外から見向きもされない。
なるほど。
そもそも「日本の魅力はなんですか?」って聞かれた時に「治安の良さです」と答える観光業界の人が多すぎる。
確かに世界で比べて安心安全な国だけど治安で旅行先を選ぶ人はいないですよ。
「治安が悪いところ行きたくない」ってのはあるんじゃないですか。
まず行きたいかどうかが先でしょう。
行きたい場所や見たいコンテンツがあって、治安がいいかどうかはその次ですよ。
確かに。治安がいいという理由では行かないかも。
カレーライスをプロモーションしなければいけないのに、福神漬けにフォーカスしてしまっている感じがします。
治安の良さは売りにはならないと。
まずアピールすべきはそこじゃない。安心安全だからその国に行きたいなんてことはまずないわけで。
確かにそんなことありえないですよね。
伊勢神宮がどういう文化で、どういう成り立ちで、その土地の気温や自然や食事はどういうもので、ということにフォーカスをしないと。
コンテンツは非常に素晴らしいんだけど、使い方、見せ方があまり良くない。
治安を売りにするという意味では「渋谷の路上飲酒」が問題になっていまして。
海外は路上で酒が飲めないらしくて。日本は路上で酒が飲めるというのが魅力らしくて。
だけど全面禁止にするって言ってますよね。
そうなんですよ。確かに酒を飲んで暴れる人は放置しておけませんけど。
せっかくいいネタがあるんだから観光資源に変えていく工夫をすりゃいいのにと思うんですけど。
治安の良さが売りだから。
「町を綺麗に」みたいなのが最優先になっちゃって、魅力の部分を蔑ろにしてるわけですよ。
ほんとそんな感じです。
欧米人が描く日本のイメージって、和なテイストの空間の中に提灯みたいなのがあって、こたつがある。その隣に相撲の土俵があって、忍者とか侍がいる。
みたいな、すごいチャンプルーな感じですよね。
確かに。映画を見てるとそんな感じですね。
説明がないってことですよ。要は海外への伝わり方が間違ってるってことで。
伊勢神宮なんていまだに何の説明もないですよ。英語の翻訳ガイドすらない。
ないんですか?
ないですね。商売としてもおいしいのに。
1時間50ドルで貸し出すとか、人間がちゃんとガイドするなら1時間300ドル取るとか。
スペインの美術館に行ったときは人間のガイドが付きました。結構高かったです。
300ドルって今4〜5万円ですからね。1時間で5万円稼げるわけですよ。
そもそもガイドビジネスはすごく大事で。説明しないから勝手に解釈されちゃうわけですよ。
やっぱり英語のガイドでしょうか。
日本に来てる観光客ってアジア圏、アメリカ・カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアと分けられるんですけど。
はい。
これを一緒くたにしてはいけないわけですよ。
ガイドの言語を増やすってことですか?
ターゲットを絞るってことです。
まずアジア系はショートなんですよ。2泊3日とかであんまりお金を使わない。
へえ。お金を使いそうなイメージですけど。
彼らが好むのは食事とか買い物とかなんですよ。
うん確かに。
オーストラリアの人は自然や気候が好きでスキーしに来たりします。
で、1番お金を落とすのがヨーロッパ。2週間くらい泊まる。
彼らが魅力に感じるポイントは文化なんです。
なるほど。
文化的なものを売りにするならヨーロッパの人がターゲットだと。
そういうことですね。そこに合わせてしっかりガイドを作る。
コンテンツはいいので文化的な情報を正しく伝える。発信する。
これが一番大事だと思います。