修学旅行で旅館が赤字になる理由
京都って修学旅行がすごく多いらしいんですよ。
多そうですね。
でも旅館はぜんぜん儲からないんですって。
そうなんですか。
修学旅行で使う旅館って3年ぐらい前に決まるんですって。
そうでしょうね。人数が多いから。
この3年で円安になって仕入れ原価が上がり、人件費も上がり、修学旅行をメインにしている旅館はみんな赤字だそうです。
なるほど。金額が固定だから利益が飛んじゃったわけですね。
予約を受けているから断るわけにもいかないし。来れば来るほど赤字だそうです。
「喜んでもらえるので修学旅行をなくしたくない」という旅館も多くて。どうしたらいいんでしょう。
もう時代が変わったとしか言いようがない。
そうですよね。
だってそれ、明らかに人口増加時代のビジネスモデルじゃないですか。
3年先の団体様を予約するなんていうのは。
確かに。
そもそも京都に行く必要があんのかっていう。
京都なんてインバウンドで何もかも値上がりしてるし。
学生が喜ぶ金額でやったら元が取れないですよね。
「なんとか続けてください」という要望がすごく多いらしいですけど。
要望するならお金を出してください。同情するなら金をくれ。
本当そうですよね。国が税金で補助するのもおかしな話だし。
そうですよ。
値上げしたら「貧乏人は切り捨てるのか」みたいに言われるし。
日本にはもっと寄付の文化が必要ですね。
寄付ですか。
どうしたって富は2極化するわけだから。
アメリカなんて寄付がすごいじゃないですか。いい大学がずっと維持できているのも寄付が根付いているからで。
ほんと、おっしゃる通りです。
大学とか文化資産とか、歴史に対して寄付をするっていう意識が日本にも必要だと思います。
ハーバードやスタンフォードには世界中から優秀な人材が集まってきて。
卒業生が寄付してくれたり、資産を運用して増やしてくれたりするそうです。
日本は東大でもギリギリの予算でやってますから。
東大にはお金になるコンテンツがいくらでもありそうなのに。
そういう発想がないんですよ。修学旅行も同じことをずっとやってるし。
修学旅行はもうやめた方がいいんですかね。時代にそぐわないんでしょうか。
そぐわないですね。修学旅行とかゴールデンウィークとか。
同じタイミングで大量に人が動くのはやめた方がいい。
そうですよね。
学校全体で修学旅行なんか行ったところで、同じクラスの数人と写真撮った思い出ぐらいしかないわけで。
確かに。
もっと小さなユニットでいけばいいんじゃないですか。
休みを増やして家族や友達同士で旅行に行かるとか。
そうですよ。
修学旅行を商売にしてきた旅館はどうすればいいんでしょう。
新規集客も簡単にはできないでしょうし。
売却して立て直した方がいいと思います。
たぶん設備も時代に合っていないんですよ。伊勢や鳥羽にも何十年前の設備でやってる旅館があって。
ありますね。昔ながらの古い旅館。
そういう旅館って人口増加時代のビジネスモデルのままなんですよ。
個別最適化、パーソナライズ化されたサービスを提供する、という発想がない。
昔のビジネスモデルのままだと何がマズイんですか?
高い料金を払ってくれる顧客が来ないです。
だって誰が行こうが並ばされるわけですよ。受付で。ご飯も大量に作るから大したものが出てこないし。
なるほど。もう根本からビジネスモデルを作り変えるしかないと。
ビジネスモデルを変えて価格アップするしかない。施設の一部を富裕層向けに改装するとか。
何かしら新しい手を打たないと。だけどそういう発想の転換ができない。
日本人は勤勉だけど今求められているのは勤勉さじゃない。
だから売却するしかないと思います。