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Conversation対談

2023.06.19

第22話『サービスの意味を変えよう』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

日本人は「サービス」を勘違いしている

  • 安田

    なぜ日本は値上げに関してこんなにネガティブなんでしょう。

  • だって値上げしたらバッシングされるじゃないですか。
    「うわ、あいつ値上げした」「それで車を買い替えた」「家を建てた」って、よくわからないバッシングをされる。

    生田
  • 安田

    儲けて家や車を買ったって、ぜんぜん良いじゃないですか。

  • そうなんですよ。なぜ儲けるとバッシングするのか、よくわからないですけど。
    値上げに対する負の感情がつきまといますよ。

    生田
  • 安田

    バッシングされるのが嫌だから、みんな値上げしないんですか。

  • 売れなくなるというのもあると思いますけど。バッシングへの不安の方が大きいと思いますね。

    生田
  • 安田

    なるほど。だから社員は値上げするのを嫌がるんですね。営業マンとか。現場の販売員とか。

  • そう思います。

    生田
  • 安田

    消費者として「安く買いたい」というのは理解できるんです。
    だけど値上げしなきゃ自分の給料も増えないんですけど。

  • 値上げのバッシングを受けるのが嫌なんでしょうね。そもそも社員は、お金の話をお客さんにするのが嫌いですから。

    生田
  • 安田

    確かに嫌いな人が多いです。

  • 高く売るには説明がいるので。安いとお金の話をしなくて済むじゃないですか。

    生田
  • 安田

    でも「給料はちゃんと上げてほしい」って言うでしょ。

  • そうなんですよ。

    生田
  • 安田

    「上げられるわけないだろ」って思うんですけど。不思議でしょうがないです。

  • 日本人は八方美人なんですよ。

    生田
  • 安田

    お客さんに嫌われたくないってことですか。

  • そうです。嫌われたくないんです。

    生田
  • 安田

    だから値上げしたくないと。

  • そう。

    生田
  • 安田

    「うちはいい商品を扱ってるから高いんです」って言えばいいだけなのに。

  • 言えませんよ。だって“和を以て貴しとなす”ですから。

    生田
  • 安田

    私はサラリーマン時代から高く売るのは平気でしたけど。

  • 安田さんは和なんて考えてないから(笑)。

    生田
  • 安田

    確かに。いかに楽をするかばかり考えてました(笑)

  • 日本人はそういう人が少ないんですよ。

    生田
  • 安田

    つまり「和が乱れる」から高い提案をしたがらないと。

  • そうです。

    生田
  • 安田

    じゃあ「高い提案をして平気な人」って、経営者に向いてる?

  • 稲盛さんが「経営者の一番大事な仕事は値決めだ」と言ってますからね。
    やっぱり値決めできる人間はリーダーになっていくんでしょう。

    生田
  • 安田

    でも普通に考えたら、「社員の給料をできるだけ安くしよう」という社長の会社には人が来ないじゃないですか。

  • そうですね。

    生田
  • 安田

    「できるだけ社員の給料を高くしたい」「そのためにできるだけ高りたい」と考えるわけなので。

  • 経営者はそう思っているでしょうね。

    生田
  • 安田

    なぜ社員もそう思わないのか。不思議でしょうがないです。

  • 日本はサービス業が多いというのも影響として大きいと思いますよ。

    生田
  • 安田

    サービス業が多い国はたくさんありますけど。

  • 世界では「人にいい状態を与える」「人をいい状況に変える」というのがサービスの定義なんです。
    日本だと「あげる」「タダ」「値引き」という感覚なんですよ。

    生田
  • 安田

    たしかに。サービスって「タダ」っていう意味ですね。

  • そう。日本のサービスの定義は「あげる」「タダ」「値引き」なんです。
    とくに生産性の低い中小企業とか儲かってない中小企業サービスは後者なんです。

    生田
  • 安田

    だから儲からないと。

  • コムデックもそうでしたけど。
    クラウドサービスとか、ソフトウエアとか、データベース設計とか、形に残って機能が比較されやすいものって、高い利益を取れないんですよ。

    生田
  • 安田

    たしかに。取りにくいですよね。

  • 現代は製品では高い利益が取れない。じゃあどこで利益を乗せるかというとサービスなんです。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • 製品で利益を薄く獲得して、さらにお客様をよい状態に変えるサービスで利益を上げる。これしかないです。

    生田
  • 安田

    サービスを付加価値にするってことですね。

  • そうなんです。
    けど儲かってない会社は「製品の利益をサービスでさらに薄くする」ということをやってしまう。
    安くする、タダ、値引きで。

    生田
  • 安田

    どうしてそうなっちゃうんでしょう。

  • 中小企業はサービスの考え方を間違えてるから。

    生田
  • 安田

    値引きはサービスじゃないってことですね。

  • それはグローバルでいう「正しいサービス」ではない。それが分かっていない。

    生田
  • 安田

    お客さんに「サービスしてよ」って言われたら、「安くしてよ」という意味ですよ。

  • そこを変えなくちゃいけない。
    「サービスしてよ」って言われたら、「いいんですか!?サービスさせていただいて」って言わないと。

    生田
  • 安田

    「うちのサービスは高いですよ」と(笑)

  • 「サービスしてよ」と言われて値段を下げているようじゃダメ。
    その思考回路になっているところがダメなんです。

    生田
  • 安田

    確かにそうですね。日本人に染みついてますよね。「笑顔0円」とか。タダでおしぼりも出てくるし。
    コンビニでサービスを求めて怒鳴ったりする人がいるような国だし。

  • やばいですよ。海外だったら店員に怒鳴り返されますよ。

    生田
  • 安田

    日本人はそこでお客さんに謝っちゃうので。「失礼しました」とか言って店長が出てきたりするし。

  • おかしいですよ。

    生田
  • 安田

    なぜこんなにサービスを勘違いするようになっちゃったのか。

  • とにかく経営者は「“サービス”というものの価値観を入れ替える」という作業を、絶対にやらないといけない。

    生田
  • 安田

    「サービスとは高いものなんだ」と。

  • そうです。その価値観を持ったほうがいい。
    機能的な価値を付加するのではなく、サービス的な価値できちんとお金をもらう。

    生田
  • 安田

    「付加価値=機能を増やす」と思っている経営者が多いですよね。

  • 人をいい状態に変えるサービス。それが付加価値ですね。

    生田
  • 安田

    なるほど。まずは社長の頭から変えていかないと。

  • 日本の中小企業は上から下まで、「あげる」「タダ」「値引き」習慣が染みついてます。

    生田
  • 安田

    自覚がないところがさらに恐ろしい。まずは社長が率先して値上げをしましょう。

  • 既存のお客さんから値上げするのは難しいです。
    新しいお客さんに「この値段です」とやっていくほうが早いですね。

    生田
  • 安田

    まずは新規のお客さんに高く買ってもらって、その後に安い既存のお客さんを減らしていくと。

  • 高くても買ってもらえるようにサービスを磨いて、新規の集客をする。まずはここからです。
    【新規顧客獲得に関するサービスについてはこちら】

    生田

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