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Conversation対談

2023.05.15

第17話『テスラは何を売っているのか』

テーマ「デジタル化の次に来るもの」

新しい体験

  • 安田

    イーロン・マスクはトヨタを超えると思いますか?

  • イーロン・マスクは「トヨタを超えよう」なんて考えてないと思います。

    生田
  • 安田

    考えてないですか?電気自動車で「世界一のトヨタを超えるぞ!」って。

  • そもそも電気自動車をつくる目的というか、スタート地点が違うと思います。

    生田
  • 安田

    どう違うんですか。

  • 彼らのスタート地点はバッテリーマネジメントシステムです。
    「世の中を電気でうまくマネジメントする」というのが彼らのコア・コンポーネント。

    生田
  • 安田

    トヨタなんて眼中にないと。

  • 眼中にないというより、目指しているものが違うって感じ。

    生田
  • 安田

    ちょっと悲しいですね。

  • そうですか。

    生田
  • 安田

    だって車は日本のお家芸だったじゃないですか。

  • まあそうですね。

    生田
  • 安田

    国内から「トヨタを超える電気自動車をつくるぞ!」って会社が出てきて欲しいです。

  • 出ないでしょうね。

    生田
  • 安田

    なぜそう思うんですか?

  • 日本人はそういう気質ではないので。

    生田
  • 安田

    だけど現にトヨタは世界一の自動車メーカーになったじゃないですか。

  • トヨタも狙ってこうなったわけではないと思います。

    生田
  • 安田

    世界一までは狙ってなかったということですか。

  • 日本は戦後「飛行機をつくってはいけない」ということで、熱化学エネルギーのエンジニアがみんな車に集中投下されたわけです。

    生田
  • 安田

    ほう。

  • エンジンをつくることに適した職人気質もあっただろうし。いろいろな偶然と状況が功を奏して、世界一になったんだと思います。

    生田
  • 安田

    狙っていたわけではないと。

  • うまく得意な領域に集中できたことと、GHQの施策でそこに行かざるを得なかったこと。偶然が重なったんだと僕は思ってます。

    生田
  • 安田

    意図的に新たなマーケットを生み出すのは、日本人には難しいですか。

  • 日本人は抽象度の高いところで戦うのが苦手だから。

    生田
  • 安田

    抽象度の高いところ?

  • 日本の大企業って、コンセプトで勝負している感じはしないですよね。

    生田
  • 安田

    確かに。

  • 電気自動車ってまさに新時代のコンセプトですから。

    生田
  • 安田

    技術の粋を集めたものではない?

  • パソコンと似てますよ。箱があって、ポンポンと部品を詰め込んだら動くっていう。

    生田
  • 安田

    電池とモーターとタイヤを繋ぐだけですもんね。

  • もちろん技術も必要だと思いますけど。基本的にはコンセプト勝負だと思います。

    生田
  • 安田

    コンセプト勝負だとイーロン・マスクがトヨタに圧勝しそうです。

  • 対トヨタというよりも「新しいライフスタイルの提案」でしょうね。

    生田
  • 安田

    スティーブ・ジョブズみたいな。

  • そうですね。「ポケットにコンピュータを」ぐらいな感じでしょう。

    生田
  • 安田

    ガソリンより環境にいいとか、静かだとか。コンセプトは日本車にもありますけど。

  • それだけでは売れないでしょうね。充電場所もそんなにないし、電池もそんなに長持ちしないし。
    しかもガソリン車より高い金額で売るわけですから。

    生田
  • 安田

    もっと魅力的なコンセプトがないと売れないと。

  • 「これこれこういう理由だから、ガソリン車よりいいよ」っていう売り方では、絶対売れないです。

    生田
  • 安田

    なるほど。

  • じつは私も車をテスラの「Model 3」に替えました。

    生田
  • 安田

    そうなんですね!替えてみてどうですか?

  • 最高です。

    生田
  • 安田

    日本車と何が違うんですか。

  • iPadみたいなので操作するんです。
    フィジカルにあるのは、アクセルとブレーキだけ。しかもワンペダル走行なのでブレーキはほぼ踏まない。

    生田
  • 安田

    ブレーキを踏まないってどういうことですか。

  • アクセルを緩めたら勝手に減速するんです。

    生田
  • 安田

    へぇ~

  • 本当にシフトとウインカーとハンドルぐらいしか触らないです。あとはぜんぶタッチパネル。静かですし。

    生田
  • 安田

    タッチパネルに何を入力するんですか?行き先とか。

  • それもありますけど、たとえばステーション情報とか。充電するためのスーパーチャージャーというのがあって。

    生田
  • 安田

    スーパーチャージャー?

  • テスラ製の凄い充電器ですね。
    それがステーションに10台あったとして、「いま何台空いている」とか「待ち時間が何分」とかが分かるんです。

    生田
  • 安田

    なるほど。ちなみに充電は何分ぐらいかかるんですか。

  • フル充電は40~50分ぐらいかかります。

    生田
  • 安田

    結構かかりますね。

  • はい。だから会社で充電してます。

    生田
  • 安田

    テスラってすごく高いイメージですけど。充電器も必要なんですね。

  • みんな自宅につけてますね。でもそんなに高くないですよ。テスラ自体の値段も下がってきてるし。外車と考えれば安いです。
    まあ「プリウス」よりは高いですけど。

    生田
  • 安田

    生田さんは、なぜテスラを買おうと思ったんですか。

  • 単純に新しい体験がしたかったから。

    生田
  • 安田

    新しい体験は出来ましたか?

  • はい。テスラがスマホだったらガソリン車はガラケーですね。

    生田
  • 安田

    なんと。ハイブリッドを最初につくったのはトヨタなのに。

  • ハイブリッドもエンジンじゃないですか。テスラはエンジンついてないですから。

    生田
  • 安田

    エンジンもないのになぜこんなに高いんですか。ブランド代ですかね。
    システム部分がすごく高いとか?

  • さあ。なぜでしょうね。ただ一回乗ると、もうガソリン車に乗ろうと思わないです。

    生田
  • 安田

    へえ〜。トヨタも社長が代わって若返りましたけど。
    トヨタから完全なバッテリー車が出てきたら、それは購入対象になるんでしょうか?

  • どうでしょう。たぶん乗らないでしょうね。日産の「リーフ」は乗せてもらったことがあるんですけど。

    生田
  • 安田

    時代を超えた新しさは感じませんでしたか。

  • やっぱり何かが違いますよ。

    生田

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