kintoneで実現!旧システム脱却のキーとなった介護業の利用者情報管理とは?|介護業社会福祉法人ゆめネットさまのアプリ開発事例
介護業において、利用者様の情報を管理することはすべての業務の要。
また、適切な支援をおこなうためにはそれらの情報が最新の状態に保たれていることが不可欠です。
しかし、情報を紙やエクセル、他と連携できない旧来のシステム中心で管理をしていると更新が滞ったり、必要な情報にスムーズにたどり着けなかったりします。
今回は、そんな介護業の企業さまがkintoneを導入することで旧システムを脱却し、利用者様のさまざまな情報を一元化した事例をご紹介します!
目次
紙・エクセル・レガシーシステム……利用者情報が分散
愛知県を中心に、10以上の拠点(事業所)を運営されている社会福祉法人ゆめネットさま。
障害のあるお子さんの生活支援からカフェ運営などの就労継続支援まで、さまざまな形のサービスを提供しています。
1993年の創業からこれまで、社会福祉法人ゆめネットさまにおける利用者様の情報管理は、紙やエクセル、そして昔からずっと使用してきたいわゆる「レガシーシステム」が中心でした。
しかし介護業を継続、展開していく中で、「情報が分散している」「更新が遅れる」「コストが嵩む」などの課題が浮き彫りに。
加えて、エクセルや紙は各自が自由にレイアウトを作成できるため、各部門で情報管理のフォーマットなどが統一されていないことも課題でした。
社会福祉法人ゆめネットさまが抱えていた情報管理の課題
- 紙やエクセル、レガシーシステムそれぞれに情報が分散してしまっている
- 分散して管理されているデータに連動性がない(同じ利用者様の情報でも更新の有無が異なるなど)
- 情報更新に大きな手間がかかり、リアルタイムで更新されなかったり、漏れたりする
- レガシーシステムの使い勝手が悪い、運用コストが嵩んでいる
- 拠点(支援形態)などによって情報管理の仕方がバラバラ……拠点(支援形態)によって必要な情報が異なるため、それぞれに都合の良い形で情報管理
アセスメント情報を集めるのも一苦労……情報を集約したい
また、これまでの利用者様情報の管理方法で、最も影響を受けていたのは「アセスメント」関連業務です。
介護の現場では、利用者様一人ひとりに寄り添った支援を提供するため「ケアプラン」を作成します。
この「ケアプラン」が適したものになるよう欠かせないのが「アセスメント」。
アセスメントとは、利用者様の状態、置かれている環境などの情報を収集、分析して、その利用者様の抱える課題や求めていることを明らかにすることを指します。
アセスメントは定期的に更新する必要がありますが、社会福祉法人ゆめネットさまの利用者様の情報が、紙やエクセル、システムに分散しているため、情報の集約そのものにかなりの時間と手間を要していたのです。
社会福祉法人ゆめネットさまでは、これらの課題や業務負荷を解決するためには複数ツールに散らばった利用者様情報を集約し、誰もがいつでも最新情報を参照・更新できる環境を作る必要があると考えました。
そこで導入することになったのが、クラウド上で様々な情報を管理できる業務改善プラットフォームのkintone(キントーン)です。
介護業における「利用者情報管理」の形とは?全てのアプリを関連レコードで集約
紙やエクセル、システムへ分散している情報管理を効率化するために、kintone導入を決めた社会福祉法人ゆめネットさま。
介護業における利用者様情報管理の基本は、ほかの企業さまの「顧客管理」と大きく変わりません。
利用者様の基本情報を登録するアプリを用意した上で、kintoneの標準機能である「ルックアップ」を活用し、他アプリからデータを参照・コピー。
エクセルで言うと、利用者様のお名前や住所といった基本情報を、別のエクセルで都度入力することなく参照してくることができる機能です。
これにより、簡単にデータの紐づけができる他、入力の手間を削減しミスを減らすことができます。
社会福祉法人ゆめネットさまでは、利用者様の基本情報を登録するアプリを「利用者一覧アプリ」とし、各業務に関わる他のアプリからはこの「利用者一覧アプリ」に登録された基本情報をkintone上でルックアップする構成にしました。
kintoneでの顧客管理がオススメ理由と具体的なアプリの作り方はこちらの記事でご紹介しています!
▼顧客管理をkintoneで行うメリットとは?アプリの作り方も解説!
介護業における利用者情報管理のポイントは、「すべての利用者様に関わる情報を『関連レコード機能』で利用者一覧アプリに集約している」ことです。
kintoneの関連レコード機能とは、条件に合致したデータを一覧表示できる機能。紐づけた他のアプリはもちろん、同じアプリ内のデータも表示可能です。
社会福祉法人ゆめネットさまでは、この関連レコードを活用することで、「利用者一覧アプリをチェックすれば利用者様名に紐づいている各アプリの情報がすべて一画面で参照できる状態」を構築していきました。
拠点ごと必要な情報が異なる…思い切ってアプリを分割
利用者様の情報を集約する「利用者一覧アプリ」を作成したところで、次はアセスメント情報管理のkintone化にも着手しました。
まずは紙やエクセル、システムで管理されていた過去のアセスメント情報をkintoneへ登録。
kintoneにアセスメント情報が集約されれば、翌年更新する際にも過去の情報を簡単に参照できます。
アセスメントの更新には、実際の現場での様子の集約・分析が不可欠です。
すぐに「日々の様子」を記録するためのアプリ作成に取り掛かりましたが、社会福祉法人ゆめネットさまではグループホームや通所など介護支援の形態が異なる複数の拠点(事業所)を運営しており、「拠点や支援形態ごとに記録・管理したい情報が異なる」という現状がありました。
情報登録のしやすさ、更新のしやすさ、従業員への教育のしやすさ、さらに後の分析等のしやすさを考え、通常は情報一元化のためにアプリをひとつにすることをオススメしています。
kintoneでは、ユーザーによって閲覧・編集できるフィールドの制限をかけたり、プラグイン活用によって表示項目を限定したりすることもできるため、各拠点で必要な情報を網羅する「日々の様子」アプリを作成し、どこの拠点のどの利用者様に対する支援なのかを選択すると表示内容が制限されて必要な部分だけに……という運用も不可能ではありません。
しかし、「アプリを一つにまとめる」ことによってある拠点では使わない項目がいくつもあって見にくくなったり入力しにくくなったりといった弊害が起きてしまっては元も子もありません。
加えて、そもそも「全利用者様の支援情報が一か所にまとまっている」ことにどれだけのメリットがあるのか、それを実現するためにどんなデメリットが発生するのかを洗い出して検討した結果、介護業においては、すべての利用者さまの支援情報が1ヶ所にあること以上に、現場で記録・管理する情報が最適化されているほうが重要だと考え、社会福祉法人ゆめネットさまの場合には入力作業や各拠点で記録・管理したい情報、使い勝手などを最適化するために、思い切ってアプリを分けることにしました。
現場(支援形態)ごとに利用者様の日々の様子を登録できるアプリを作成し、関連レコードを活用して各アプリの情報を集約、各現場で登録された情報は「利用者一覧アプリ」から一括で閲覧できる状態を実現。
アプリが増えると扱いが煩雑になっていきますが、これは、kintoneのスペース機能を使って解消しました。
kintoneのスペースは、グループで情報を共有する場のこと。
アプリを関連付けることができ、よく使用するアプリにスムーズにアクセスすることも可能です。
スペースを拠点(事業)ごとにアクセスできる情報を限定することで、「機能がありすぎて使いにくい」という状態を回避。
拠点(事業)の従業員さんからは「自分たちが使うものだけが見えている」状態にすることでアプリが分かれていることのデメリットに対応しつつ、全体の管理者からは同じkintone環境内のため複数ツールを活用するよりも効率よく情報を管理できる環境を整えました。
さらに、利用者様が支援を受けるために必要な受給者証の有効期限など、エクセルで管理していた情報もkintoneへ乗せ換えました。
受給者証の有効期限は利用者様ごとにバラバラで、これまでは都度の確認が必要でしたが、期限が近づくとアラートが出るように設定することで、有効期限切れや更新漏れを防げる体制を整えました。
現場で使いやすくて無駄がなく、情報はしっかり集約してまとめて参照できる環境が実現されました。
利用者情報をkintoneに集約した効果とは?
社会福祉法人ゆめネットさまのための利用者様の日々の様子を記録・管理するアプリは、一拠点ずつ時間をかけて複数の施設へ導入していきました。
これまでのレガシーシステムに比べて操作しやすい画面設計となっているため、社員さんにはkintoneをどんどん触って慣れてもらうことで定着を図り、なおかつ社内のIT担当者さんが手厚くサポートすることで「使えない」をなくしていっています。
時間と手間のかかっていたアセスメント情報の集約についても、以下のような効果が生まれています。
- 年1回のアセスメント更新の際、分散している情報を集める手間がゼロに!
→作業が必要なタイミングでアラートも出せるため、漏れもナシ - 過去のアセスメント記録が履歴管理され、簡単に閲覧可能
- 各データの情報更新がスムーズで、変更履歴も管理できる
- 利用者様の情報がこれまでより細かく把握できる
情報のkintone化によって、必要な情報を探すことや担当者の引継ぎ業務、情報登録などのスピードも上がり、コストが削減されました。
さらに、レガシーシステム自体が不要となり、運用や管理のコストも大きくカットできたのです。
kintoneを社外への情報共有にも活かしていきたい
介護業における情報管理のkintone化を実現し、レガシーシステムからの脱却と情報管理の効率化を成功させた社会福祉法人ゆめネットさま。
今回集約した利用者様の情報を元に、国保連への請求データ作成もkintoneから実施しています。
今はkintoneを社内での情報共有に活用されていますが、これを今後は社外へ広げることを目指しておられます。
コロナ禍で施設訪問が思うようにできないご家族様に、利用者様の日常の記録を共有して安心していただけるようにしたい、そしてより良い介護が提供していける環境をつくっていきたいとのことです。
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