kintoneで手続進捗管理を実現、krewSheetでさらに見やすく|社会保険労務士法人 大和総合労務事務所さまのアプリ開発事例
社会保険労務士(以下、社労士)においては、顧問先との契約に基づいて給与計算や賞与計算、算定基礎届、標準報酬月額の随時改定などの複数タスクを並行して実施し、それらの進捗を管理する必要があります。
これらのタスクの進捗管理をエクセルで実施されている社労士さまも多いのではないでしょうか?
エクセルでは全体の進捗が見えにくく、全員で一つのファイルを更新していくのも難しいため管理や共有に手間がかかっているという課題をお持ちの社労士さまも少なくありません。
そんな状況を打破すべくkintoneを導入し、いざ進捗管理に乗り出してみたものの今度は使い勝手が悪く結局エクセルに戻ってしまったという失敗談もよく伺います。
実際に利用する従業員が更新しにくい仕組みや、見づらい・入力しづらい画面では、せっかく導入したシステムもいずれ使われなくなってしまいます。
そこで今回は、社労士業務の進捗管理に関する課題を、kintoneとプラグインを組み合わせることで劇的に改善した事例を紹介します。
タスク管理に課題を抱えている社労士さま、士業の皆さまは、ぜひ参考にしてください。
進捗管理の最新のkintone活用についてはこちら!
目次
kintoneで業務進捗管理を改善!のはずが……
愛知県一宮市に事務所を構える社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまは、給与計算業務はもちろん、人事評価制度や就業規則の構築、助成金申請代行業務を行い、「事業主様の目指す、いい会社作り」を支援しています。
特に社労士業務のデジタル化をすすめており、顧問先がいつでも最新のデータを見られる情報共有システムや、給与計算や勤怠管理も集計業務や入力作業を行うことがなく自動化するシステムを構築しています。
積極的に社労士業務のデジタル化を進めている社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまですが、業務の進捗管理システムに課題を抱えていました。
各種手続きタスクの進捗状況の見える化を目的としてkintoneを導入し、ベンダーにアプリ開発を依頼したはいいものの、出来上がったアプリを実際に運用してみると使い勝手の良くない点がいくつも浮上したのです。
データの内容に合わせて色分けもされており、一見すると使いやすそうに見えます。
しかし実際のところは、以下の3つの課題がありました。
- データ更新に手間がかかる
- 必要なデータが一覧上にない
- 年度が替わるたびにアプリを作り直し
一つ目の課題は、データ更新を行う画面に至るまでに必要なクリック数が多く、作業効率が悪い点です。
kintoneの標準機能では、特定のデータを編集するときには対象データの左端のアイコンをクリックしてレコード詳細画面に入り、「レコードの編集」ボタンを押してようやく編集することができます。
エクセルやスプレッドシートのように一覧表上で直接データを編集できないため、情報の更新に非常に手間がかかる状態だったのです。
二つ目の課題は、必要な情報を一覧上で見ることができない点です。
全ての情報が横一列に表示されるエクセルとは異なり、kintoneは「一覧に表示させる情報」を選択することができます。
この機能を使うことで、例えば同じ「顧客管理」アプリでも、営業部と総務部それぞれが使う一覧で表示する情報を変えるといったことが可能です。
ところが、社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまが利用されていたアプリの一覧には4、5、6月の給与の処理状況が固定で表示されてしまっています。
この一覧は月額変更届の手続きを管理するための一覧になるので、手続を実施する側としては「4~6月」固定ではなく「過去3カ月分」の給与の進捗を把握したいというニーズがありました。
三つ目の課題は、アプリのデータの持ち方の都合上、毎年新しいアプリを作る必要がある点です。
タスクの進捗管理のためのアプリのデータは1年度ごとに管理されており、年度が替わるごとに新しいアプリを作ってデータをコピーする必要がありました。
アプリ自体は複製で作成することができますが、取引先のデータのコピーに手間がかかることや、毎年アプリが増えていくことで管理工数がかさむという問題を抱えていました。
これらの使い勝手の悪さを改善し、社内全体で使ってもらえるkintoneアプリにしていきたいと考えた社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまで、進捗管理アプリの改善プロジェクトがスタートしました。
タスクの進捗管理アプリに必要な条件とは?
タスクの進捗管理アプリに必要なことは、一覧表をみて一見してタスクの進捗具合が分かりやすく表示できていて、かつ簡単に共有ができること。そして、情報の更新や管理が容易なことも運用上のポイントです。
これらの機能がきちんと備わっていないと、利用者にストレスを与え、管理工数を増やし、その結果、コア業務に注力できずに生産性が低下し企業経営に影響を及ぼします。
先ほど挙げた三つの課題を踏まえて、今回、社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまが検討したアプリ改善ポイントは以下の3点です。
- 余計なクリックや画面表示を減らし、ストレスやデータの更新工数を削減する
- 必要なデータを一覧表で見やすく表示する
- 年次毎データ管理を複数年管理しかつ自動化して工数を減らす
これらのご要望を叶えるため、社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまでは「krewSheet」と「krewData」の2つのプラグインをkintoneに導入しました。
krewSheet(クルーシート)とは、kintoneの一覧画面をまるでエクセルのように編集できるようにするプラグインです。入力だけではなく、データのコピーや絞込み等もエクセルと同じように行うことができます。
もうひとつの krewData(クルーデータ)プラグインは、kintoneの標準機能では難しい「複数のアプリにまたがった集計」や「別のアプリへの自動データ登録」等をスケジュールまたはリアルタイムで実行・自動化できるツールになります。
次のセクションからは、それぞれのプラグインで社会保険労務士法人大和総合労務事務所さまの進捗管理アプリがどのように変わったかを解説していきます。
krewSheetプラグインで一覧を大改善!編集もできるように
余計なクリックや画面表示を減らしてデータを更新しやすくしたいというご要望と、必要なデータを一覧表で見やすく表示したいというご要望を実現するために導入したのがkrewSheetです。
krewSheetを活用して作成した一覧画面がこちら!
あまり変わっていないように見えますが、krewSheetの導入により編集をするたびにクリックしてレコード詳細画面を開く必要はなくなり、エクセルやスプレッドシートのように、セルに直接入力して、編集、更新ができるようになりました。
一覧上で4、5、6月の給与データのみが固定で表示されていた件についても、直近三か月の給与支払い状況を確認できる一覧をそれぞれ作成することで解決しています。
年度も自動計算、krewDataでデータのコピーが不要に!
これまでのアプリでは、会計年ごとのアプリでデータを管理していたため、新しい年度になると取引先のデータをコピーして新たにアプリを作成する必要がありました。
コピーの工数も大きく、また複数のアプリが年度ごとに増えていくための管理工数の問題もあったため、「複数年度のデータを一つのアプリで一元管理できるようにする」のが理想です。
そのためには、これまでのアプリにはなかった「年度」を管理する項目が必要でした。
4月から翌年の3月を一つの年度として管理していたため、まずは入力された日付を元に年度を自動判定する項目を作成。
これにより、同じアプリ内で複数年度のデータを管理・表示できるように変更しました。この改修によって、毎年アプリを作成する必要がなくなり作業工数の削減に成功しました。
しかしそれだけでは「その年にタスクを実施すべき顧問先」のデータはやはり毎年複製して登録を行う必要があります。
そこにkrewDataを活用することで、前年度のデータと顧客情報(事業所マスタ)のデータを元に自動的に進捗管理のレコードを作成できるように設定しました。
これにより、人の手によるコピー作業が削減されただけでなく、自動的に対象先を判定するので抜け漏れを防止することも可能となっています。
進捗管理をkintone化した効果とは?
元々利用しようとしていた進捗管理のアプリを改修し、プラグインを活用することで使い勝手のいいアプリにアップデートされた社会保険労務士法人大和総合労務事務所さま。
kintoneで進捗管理をすることで進捗状況が一覧で可視化され、必要なメンバーにリアルタイムで状況を共有できるというメリットがあります。
その他にも、管理方法の見直しと自動化により会計年度ごとのアプリ作成やコピー作業が不要になり作業工数の削減を実現することができました。
課題となっていた三つのポイントだけではなく、この機会にデータベースの不要項目の整理やアプリの整理も行ったことで、より使いやすいkintone環境を構築できたことも効果のひとつと言えます。
しかしその一方で、プラグインの設定や自動データ作成等アプリ内の構造が複雑化したため、項目の削除を行う際は削除の結果が他のデータに影響がでないか注意する必要が出てきました。
また、データの自動作成は月の初めに実行されるため、当月中に新規の顧問先が増えた場合は手動で各アプリに進捗管理レコードを登録する必要があります。
プラグインも活用して進捗管理を効率化しよう!
脱エクセルを目指してkintoneを導入したものの、使い勝手が悪くエクセルに戻すことを検討されている企業さまも少なくありません。
確かにkintoneの標準機能ではこれまでのエクセルと同じような操作を行うことは難しく、kintoneでの管理を諦めてしまった社労士事務所さまもいらっしゃるでしょう。
しかし、今回の社会保険労務士法人 大和総合労務事務所さまの事例のように、krewSheetやkrewDataというプラグインを導入することで、「エクセルのような見た目と操作感」以上の進捗管理を実現することができます。
「エクセル管理を辞めて業務を効率化したい」、「現在利用している進捗管理システムが使いにくい」とお考えの社労士さまは、是非一度kintoneの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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