担当者が語るクラウド活用の成功・失敗・悩み|第13回クラウド担当者勉強会[後編]
2019年11月26日、27日コムデックオフィスにて開催した第13回クラウド担当者勉強会について詳しくお伝えします!
本記事[後編]では、クラウド担当者同士が意見交換を通じて互いに成功/失敗事例や悩みを共有する情報交換会について、対談形式でご紹介します。
目次
日報をクラウド化し、問合せ対応がスムーズに
コムデック
担当者勉強会のメインは情報交換会です!
いろいろ意見交換していただき、 新しい学びと気付きを自社へ取り込んで、今後の活動をブラッシュアップしていきましょう。
主役は皆さんですので、話したいことはどんどん話していただければといいかな思ってます。
では担当Aさんから。簡単に自己紹介と、IT活用前の状況と活用後の状況について、お話ししてください。
担当A(工事業/事務)
はい。私は工事会社に勤めています。
IT使う前となると昔すぎて…あやふやですが、
仕事の流れとしては、お客様に工事見積を出す→エクセルで受注書を作成→仕入れはFAXで問屋に問い合わせ→回答あった仕入れ価格(FAXを印刷)を担当者に回覧・押印→発注→材料揃ったら担当がお客様に電話、工事日確定→工事の進捗は紙の日報で管理…という形だったかと。
事務方は、現場担当者から紙の日報が上がってこない限り、工事の進捗を追えないので、いつ工事が完成するのか、いつ請求すればいいか分からない。工事がいつの間にか終わっていた…みたいなときもありました。
IT活用をスタートさせた時は、まず紙の日報からEvernote(エバーノート)への置き換えに取組みました。
Evernoteで書いていた日報は、今はkintone(キントーン)に移しました。
kintoneで自社担当者と発注情報と顧客情報と紐付けて、担当別に情報を抽出して「担当ごとの一日の流れ」を簡単に追えるようにしています。
コムデック
「いつ誰がどこで何をしているのかが分かる」と、便利な点は?
担当A
例えば、お客様から工事状況の問い合わせがあったときに、直ぐに回答できるようになりました。経理が材料の発注履歴を追いたいときも、日報から確認できるようになりました。
担当自身も助かっているみたいで、「前もこんなトラブルあったよね」というときに日報から検索して、「こういうことをしたら直ったよな」と対応方法を参考にすることがあるそうです。
扱うクラウドサービスの種類を増やしすぎて失敗…適応力に年齢は関係ある?
コムデック
ありがとうございます。このLINE WORKS(ラインワークス)もお使いなんですか?
担当A
LINE WORKSは書いてあるんですけど、社内ではなかったことになってて…ごめんなさい。
社内で言われたのが、Outlookのメールを使ってて、Evernoteも見れるようになっていて、次にLINE WORKSって言ったら、もうアプリが多すぎるっていうことで、「どれ見たらいいんや」みたいなイメージなんですね。
若い従業員が多いのでIT苦手ってことはないんですが、あんまりアプリが増えるのは嫌がるっていうか。
担当B(建材業/配送・施工)
大体何歳ぐらいの方が働かれてるんですか?
担当A
現場は20代と40代が半々くらいです。
現場からは「電話で言ってくれたら楽なのに」とか、「事務が印刷してくれたら楽なのに」とかあるので、一応使えるけれども積極的には使わないって感じですね。
コムデック
でも 最低限は使ってくれるから、すごいですよね。
担当A
最低限はね。実際便利ですよね。
「ここ行って」って言うときにGoogleマップの座標をコピーしたのを送ったら、実際アプリに映るんで。
コムデック
IT担当の皆さんからよく聞くのが、「現場に使ってと言っても嫌がられる、使わなくなる」という話なのですが…
すぐに「分からない」とか、「俺たちはそんなことをするのが仕事じゃない」とか言われて、挙げ句の果てにIT担当者が責められる。
「俺が使えと言ってるんじゃなくて、社長が言ってて、俺はその役割なだけなのに」みたいな悩みを持ってらっしゃいますね。
「じゃあ、いかに現場の方に定着するように持っていくか」という話になるのですが、担当Mさんのところはそんなに積極的じゃないとはいえ、「やるよ」と言ったらスッとやる方が多いんですよね?
担当A
そうですね。スッとというか、最低限は参加してくれる。
「日報書きなさい」って言ったら書くしかないので。
コムデック
それはITに限らず、社内の風土的に適用能力が高いということでしょうか。
担当A
若さなんでしょうかね?
コムデック
担当Bさんの所は年齢層ってどんな感じですか?
非スマホ世代には「Googleマップ」が効いた
担当B
うちは60歳以上が3分の2ぐらいです。
60歳以上の人はプライベートでもスマホ使っていなかったので、一人一台渡して、趣味感覚で使い始めてもらうようにしました。
担当A
なるほど。
担当B
それで、うちは配送やってるので「Googleマップってすごい便利なんですよね」と言って、スマホの便利さをアピールしました。
今までは紙の手書きの地図を渡して現場に行ってもらってたんで、Googleマップ便利やな、とすんなり受け入れてもらえました。
コムデック
それ面白いですね。
担当B
さらにGoogleマップの位置情報はLINE WORKSで送るようにしました。
だからLINE WORKSもすんなりみんな受け入れてもらったかな。
コムデック
いやあ、びっくりですね。
「スマホ持ったことがない人に、スマホ慣れさせるのにGoogleマップなんや」という。
担当B
そうですね。
社内全員のスケジュール管理を効率化
コムデック
有難うございます。続いて担当Cさんお願いします。
担当C(広告業/営業)
今使ってるのがkintoneとLINE WORKS。
もともとはSalesForceっていう、kintoneに似たやつを使っていたのですが、月々の運用費が高くて、乗り換えた形です。
LINE WORKSについては、もともとLINEを使っていたのですが、お客様との連絡に使っていてトラブルになりかけたことがあって。
会社で管理出来て、ログもとれるLINE WORKSのほうが良いと思い、導入しました。
あと、LINE WORKSではチャットだけじゃなくてスケジュールも使っています。以前は会社のホワイトボードと、個人の手帳で予定を管理していたのですが、ものすごく便利になりました。
コムデック
LINE WORKSのスケジュールを使い始めてから、何が一番変わりました?
担当C
みんなの行動が変わりました。
他の担当の予定を知りたいときは、本人に聞くか、会社のホワイトボードを見ないと分からなかったんですよ。
お客様先への訪問予定を決める時も、もう一人の担当の予定を聞いてから回答しないといけなくて、お客様をお待たせしてしまっていたのですが、今はLINE WORKS見て、すぐにお客さまとのアポも取れるようになりました。
kintoneもっと活用したい…しかし社内のメンバーがついてきてくれない
コムデック
kintoneはどんな感じに使っていますか?
担当C
kintoneは、 基本は日報と商談管理と取引先、顧客管理ですか、その3つを取り組んでます。
ですが、SalesForce以上の効果をなかなか見いだせていなくて…。
コムデック
kintoneはいろんなアプリを結構手軽に作れるじゃないですか。
作るところまでは簡単です、と。
「じゃあそれを何のために使いますか?」とか、「それをどう使いこなしますか?」とかいうところだと思うんですけど。
方向性として、お客さんを増やすとか、仕事のスピードを上げるとか、そのためにアプリを増やすのか、今のアプリをもっと育てるのかということがまだまだ伸びしろとして、別に担当Cさんの企業だけじゃなくて、われわれも含めて全中小企業にあると思うんですけど、その辺はIT担当としてCさんはどう思われますか?
担当C
担当っていうわけじゃないんですけどね。
営業部と編集部がおりまして、中でも僕は結構年上なんですけど、若い子らはいっぱいいるんですけど、意外とやらないんですよ、なぜかこれ。
コムデック
何でなんですかね?
担当C
何故なんでしょうね…
結局LINE WORKSとかも、こういうのは全部僕が勝手に探してきて、「これをしたいんで」と。
スマホは当然使いまくってますし……うーん。
効率化っていうのが浸透しないですね。
コムデック
効率化が浸透しない?
担当C
うーん。現状、不便だと感じないんでしょうけど。
私が思うに、不便な所が沢山あるのでどんどん改善していきたいんですけど、若手は余りまり乗り気じゃないというか…。
担当D(土木/施工)
うちも若い人は思ったより使わない。何か遠慮しているのかな。
コムデック
遠慮?
担当D
実際に遠慮してるかどうか分からないですけれど、若手が自ら全員にLINE WORKSで伝達するとかないですね。何かちょっと恥ずかしいのか。
クラウド活用推進には、「もっと仕事のやり方を良くしていこう」という原動力が必要
コムデック
さっき、「自分はIT担当じゃない」とい話があったと思うんですけど、クラウド担当者勉強会に参加する方で、「私がIT担当です!」と来られた方は、1人もいないんですよ。
担当A
確かに、上から言われて来ていますね(笑)
コムデック
はい。会社の指示で来るパターンと、もう1つのパターンは責任感といいますか、「もっと会社を良くしてかなきゃいけないな」と思っている方。そういった方が新しい道具を探してきて、それを社内に広めていくっていう感じだと思うんですけどね。
「もっと会社や、仕事を良くしていこう」みたいなところが原動力になる気がしてるんですけど、皆さんの会社の若手はどんな反応ですか?
担当A
普通な感じ。改善案伝えても「ああ」と返事するくらいで、あんまり反応はない。
コムデック
若い子にクラウド使ってもらってはいますが、やっぱり便利性とか、自分たちにとって何かが合致しないと乗ってくれない感じですよね。
コムデック
なるほど。
担当D
半信半疑になって、どんどん引っ込み思案になっていく。遠慮がちな様子ですね。
アナログ時代の「至れり尽くせり」が足かせに…
担当A
うちの場合、アナログ時代に事務方が現場担当用に、書類を印刷して、纏めてあげて、何ならインデックスまで付けて見やすくしてあげて、と…至れり尽くせり状態にしていたっていうのもあって、昔の方が楽って思ってるかもしれないです。
自分からクラウドアクセスしにいかない、というか、kintone上にアップされてるPDFとか、「自分で開きにいかなきゃいけない」っていうのがハードルになっているみたい。
担当D
うちは50代、60代組が1年前にやっと全員スマホになっていた状態なんで、まだその人たちを巻き込めていないのも気になっています。
少しでも積極的な方がいたら「まずは写真撮って送ってください」とか、簡単なことから始めてもらってます。
あとは、方法が分からなさそうだったら見本を見せたり、それを動画で撮っていつでも参考にできるように、とか、そんなことはしてますね。
各年齢層にどこまでクラウド活用してもらう?
コムデック
どの年齢層にどういうことを期待してる、みたいことがあったりしますか?
担当A
うちは定年までの社員は皆さんスマホを持ってるので、メールのやりとりや、Evernote、kintoneの利用はしていただくように伝えてます。
ただ、そんなに率先してやるんじゃなくて、日報をつけたりとか、そういう最低限のところになってますね。
後は、こちらが用意したものを開いて見るだけ、といった状況です。
工事の仕事をしてもらうことが一番メインなので、クラウドを使いこなすのが主じゃなくてもいいかなっていうのを私はちょっと思ってます。
使い方さえ知っていただければ。
コムデック
担当Cさんのところはどんな感じですか?
担当C
どうですかね。僕自身も営業の仕事があるんで、なかなかクラウド活用に集中はできないのですが、もっと若い子たちにフィットするようなものを考えれば、使ってくれるのかなと思ってます。
LINE WORKSのチャットとカレンダーはフィットしたので、みんな使ってくれてますね。
Dropboxで案件情報にいつでもどこでもアクセス
コムデック
担当DさんはDropbox(ドロップボックス)とLINE WORKSとお使いいただいていて。
担当D
はい。まだ使い始めて4ヶ月ぐらいなんですけど、Dropboxは現場ごとの名前でフォルダを作って、現場単位で活用しています。
今まではUSBでデータを受け渡ししたりとかそういうことをしてたのですが、簡単にファイルを社内で共有できるようになったので、Dropboxは導入してすごく便利になったなっていうのがあります。
現場でちょっと図面を見るのでもスマホで見れるのも便利ですね。
LINE WORKSでちょっとしたコミュニケーションの効率化
担当D
あと、LINE WORKSも今は簡単なコミュニケーションのツールとして使用してます。
例えば現場に急遽応援が必要になったときでも、LINE WORKSで「誰か行ける人」っていうふうに一斉に通知して、準備しながら待っていると、「私行けるよ」とか回答が返ってくるので、それは便利だなって思います。
今までは電話をいちいち1人1人にかけて回っていたので…
担当A
いいですね。
「通知が届きすぎてうるさい」コミュニケーション頻度が上がった故の悩み
担当D
ただ、LINE WORKSで連絡する頻度が増えて、通知音がいっぱい鳴ってしまって「うるさい」って反応しているスタッフもいます。写真でも4~5枚あげると、全部ポンポンポンって通知が鳴りますしね。
もっと上手な活用があるんでしょうけど、まだLINE WORKSの方は使い切れてないのかなと思いますね。
コムデック
通知音は消さないのでしょうか?
担当D
うーん。タイムリーに見たいときがあって、やっぱりつけておかないと。
コムデック
なるほど。
担当D
皆さんは通知音気にせず、どんどん発信されているんですかね?
どうやったら皆が上手く使ってくれるのかな。
どうすればLINE WORKS活用が浸透するか
コムデック
さっき担当Bさんがおっしゃってた「今まで不便だった紙の地図の代わりに、スマホとGoogleマップで便利になった」みたいな、そういう成功体験がみんなにもLINE WORKSであるといいんでしょうね。
やっぱり重要なのは、導入させたい側が電話を頻繁にかけたりすると、「何だ、電話でいいのか」みたいに思っちゃうので、導入する側も「電話→チャット」に変えていく意識が大事ですね。
担当D
あとLINE WORKSなら文字として残りますし、聞き間違いがないっていうのもいいですよね。
コムデック
ありがとうございます。担当Bさん、いきましょうか。
kintonアプリは自分で作る?専門家に頼む?
担当B
はい。3ヶ月前ぐらい前からkintoneを使い始めたのですが、皆さんに聞きたいことがあって。
kintonでアプリ作るじゃないですか。その時、自分で作ってますか?
コムデックさんみたいな専門家にお願いをしているんでしょうか。
担当A
うちは「こういうことしたいんですけど」って、コムデックさんに要望を伝えてアプリをその場で作ってもらってます。
担当D
一緒ですね。
担当A
アプリ数も増えてきて、今は皆kintoneを積極的に使っているんですけど、kintone導入当初は、社内で不評だったんですよ。
コムデック
といいますと…
担当A
車両管理アプリを作ってもらって、カレンダー形式で見れるようにしてもらったんですね。
完成して、現場担当に「はい」って見せたら「ホワイトボードがいい」って言うんですよ。「おいおい、ちょっと待ってくれよ」って。
担当B
逆に作って喜ばれたアプリは?
担当A
どのkintoneアプリというのはないですが、事務員が喜んでいるんですよ、私も含めて。
みなさんの会社も、事務員さん結構喜んでいませんか?
kintonevs エクセル
コムデック
うん。事務員さんに一番いい評判もらえるかなと、私も思ってます。
担当A
定着するまでが大変なんですけどね。
担当E
分かります。この前、事務と意見がぶつかっちゃって。
こちらは「もうちょっとアプリ積極的に使ってくれ」というんですけど、事務は「kintoneアプリをわざわざ使う意味が分からない」みたいな反応で…「入力が手間だ」と言ってます。
コムデック
何と比較して手間?エクセルとですか?
担当E
そうですね。
3回ぐらいでクリックして作業が完結しないと、「もうめんどくさい」ってすぐ走ってきますね。
コムデック
今まではどうしてたんですか?
担当E
今まで自分たちがやっていたことはエクセルとかそんなのを使ってるんだけど、自分の好きなようにできるじゃないですか。
だけど、「指定されたものに入力して埋めて、3回以上クリックすると手間だ」というのはよく言ってて、「ちょっと2回で済ませてくれ」みたいな勢いです。
コムデック
なるほど、入力はね。じゃあ、その出力とか検索とかグラフとか、そういう観点ではどうですか?
担当E
コムデックさんに頼まず自分で作ってるんですけど、社内では微妙な反応ですね…
担当A
えっ、自分で作られてみるんですか?
担当E
担当の子が作ってます。
新しいアプリが見る度に増えていくときがあるんで、今ちょっと止めてる。
担当A
すごいですね。バリバリ使いまくってるって感じがします。
担当E
結構アプリもあるのはあると思うんですけど、それを活用してるかって言われると……。
担当A
そういう問題もあるんですか。作りすぎて。
kintoneはアプリを作る側と使う側の足並みを揃える事が定着の肝
コムデック
私の担当しているkintone活用し始めて3ヶ月ぐらいのクライアントのお話ですが、僕はそこでアプリを1回も作ったことないんですよ。
もちろん業務改善のアドバイスや、社内の意見集め、社長と社員の意見交換中のファシリテートなどはやっているんですけど、実際にアプリを作っているのは、その会社のスタッフさんなんですね。
本人が好きなんでしょうね。自分で調べて、どんどんアプリ作るんです。
むちゃくちゃ性能高くて、作り込まれてて 、車で例えるならF-1みたいになってるんですよ。
でも、全然データが入ってない…。今の話に近いですよね。
kintoneの定着で重要なのは、やっぱり作っていくってことと、使っていくっていうことの足並みをそろえていくっていうのが非常に大事なんですよね。
F-1ほどの性能はいらなくて、前に進めるなら、スケボーとかキックボードでもいいんです。
担当E
kintone見る機会をちゃんと作ってあげれば、毎日見るような習慣になってくるだろうけど…
今、アプリ作ってる側にはちょっとストップかけてますね。
担当A
増やさないっていうことですか?
担当E
うん、みんながついてこれてないっていうのがあるんで。
担当A
そうなんですね。
ライセンス料の元を取ろうと思ってkintoneアプリをどんどん増やそうかなって思ったんですけど、増やさない方がいいんですね。
担当E
進め方もあるんですけどね。
使う側とコミュニケーションを取って進めていくんだったらいいけど、作る側がいきなりゴール地点に持って行こうとすると、やっぱり無理なんでしょうね。
コムデック
有難うございます。いつも思うんですけど、「もしこのメンバーで事業をやっていたのであれば、毎日、日進月歩で進化するんじゃないか」と、思います。それくらい改善への意識が強い皆さんと意見交換出来て良かったです。
次回の情報交換会もよろしくお願いします!有難うございました。