DXやkintoneの伴走支援について、皆で考える研究所。

kintoneで予実管理をしよう!事業成長を実現する先行管理とは?

先行管理を実施するための9ステップ

コムデックが4か月に1度、弊社のお客様向けに実施している『DX担当者勉強会』

この勉強会では、人事生産性向上や新規市場開拓、新商品・サービス開発、ファン化、社内満足度向上、賃上げなどに取り組んでいきたい企業様に対し、それらを通じて「良い会社づくり」が実現できるよう、具体的な考え方・手段をお伝えしています。

27回目のテーマは『事業成長を実現する先行管理』。
先行管理とは何を指すのかどんなメリットがあるのかというところから、コムデックで実際に行っている先行管理の仕組みや考え方先行管理をより良くする取り組みなどまで包み隠さずご紹介しました。

会社や事業を今後しっかりと成長させていきたい方は必見の内容です。ぜひご覧ください!

先行管理、いわゆる「業務の計画立て」できていますか?

「先行管理」とは、会社において重要なことをしっかり予測する、計画することを指します。

例えば次月にどのくらいの注文があるのか、どのくらいの業務量になるのか、そのために現場でどのような準備や仕入れがどれくらい要るのかなど、先々の仕事を予測し、準備していくことが「先行管理」にあたります。

組織・事業の拡大に伴い難化する先行管理

そんなこと、事業を行う上で当たり前!……と言いたいところですが、実際には組織の規模が大きくなればなるほど、成長すればするほど「先行管理」は難しくなることをコムデックでも実感しているところです。

以前は売り上げや案件を管理しているエクセルがあれば大体の状況を把握できていましたが、ありがたいことに取引が増え、事業も大きくなる中で「先行管理」は困難になっていきました。
来月・数か月後の様子、来期の着地など、以前は社長の頭の中である程度イメージできていましたがそれが難しくなり、現在はkintoneを使って各部署の担当者から情報や数字を集め、計画立てをしています。

コムデックの場合は製品よりもサービス・役務をメインで提供しているため、実際に提供できる能力・キャパがあるのかを先行管理によって検討しておくことは大変重要です。
キャパオーバーになれば、品質低下納期遅延などが生じかねないからです。

計画を社内共有することの重要性とメリット

きちんと計画があることで、まず経営者やリーダー層にとっては以下のようなメリットがあります。

  • 投資すべきもの(人材・営業…)を判断する軸ができる
  • 事業の方向(拡大・難化など)を考慮した採用(組織体制の整理や強化)ができる
  • 計画との差異があったときの振り返りができる
  • 来期予測がスムーズにでき、精度もあがる

そして、立てた計画は社内で共有することが重要です。
練られた計画が共有されているのといないのとでは、組織としてのパフォーマンスが圧倒的に変わってきます。
なぜなら、計画がしっかり立っていて、それをスタッフが把握・理解できると、以下のようなメリットがあるからです。

メリットその1:業務の優先順位をつけやすくなる

  • やるべきことが明確になり、目の前のことに集中できる
  • 次の向けた準備(勉強や技術習得など)ができる

メリットその2:指示が二転三転しても納得感がある

  • 計画という軸があることで、理解に繋がる

メリットその3:新しいことへの取り組みに前向きになれる

  • 計画されていることで、新しい取り組みが「チャレンジ」になる

また、「なぜ計画どおりにいかなかったのか」を考え、向き合うことは経営者・リーダーにとって避けられません。
計画がしっかりと立っていることで振り返りやすくなるのはもちろん、それを共有していれば、組織として全体でふり返りができます。
そういった動きの積み重ねが、顧客や世間のニーズに応えられる組織、会社に繋がっていくのです。

先行管理はなぜ難しいのか?

重要かつメリットの多い「先行管理」。
しかし、現実には取り組めていない中小企業の方が多いのが現状です。
なぜ先行管理ができないのか、これまでコムデックが取り組めていなかった理由から紐解いていきました。

データの扱いに関する三重苦

ひとつは、先行管理に必要なデータを扱うことの難しさがあり、手間・コストが大きいという理由を挙げることができます。
従来の情報管理にはエクセルを使う会社が多く、さらに専用の会計ソフトや発注システムなどが担当者のPCのみに入っている(データがそこだけにある)といった状況も少なくありません。

先行管理を阻む「データ管理の三重苦」

  1. 必要なデータの集約
    コピペが大変、システム間連携ができない、連携に多額の費用が必要
  2. データ集計したものの可視化
    エクセルでグラフ化して並べて表示するなど手間と時間が掛かる
  3. 共有や周知

印刷して掲示板に貼りだす、社内のシステムにアップロードする、など手間と時間が掛かる

以上のようなデータ管理の壁に阻まれ、先行管理に取り組んでみたものの形骸化していった企業さまも多いのではないでしょうか。

これらの煩雑さを解消するためには、ITの活用が不可欠です。

「予定どおり」の難しさ

予定を立ててもそのとおりにいかないそこに着地しないというのも先行管理を阻む大きな理由の一つです。
その裏には、「計画どおりに、計画的に、仕事が取れていない」という現実があります。

中小企業の中には、値上げ・賃上げを実現できている会社もあります。
それは、新規顧客と出会えている、ビジネスを始められる力がある会社…要は「マーケティングができている」会社です。

「マーケティング」というとつい身構えてしまいがちですが、つまりは「お客様が考えていることを理解して、商品やサービスを届ける道筋があるか」「求められていることを日々検討できる仕組みが、組織の中にあるか」ということであり、成長や計画の実現性に大きく影響します。

お客様が考えていることやニーズを理解する仕組みとして、最近よく耳にする、CRM(Customer Relationship Management 顧客関係管理)SFA(Sales Force Automation 営業管理)がありますが、これはkintoneを使っていれば簡単に構築可能です。

詳しくは「IT活用戦略セミナー」でお伝えしておりますので、こちらの記事をご覧ください!

kintoneを活用した先行管理の実例

コムデックでは実際にkintoneを使って先行管理をおこない、常に社内で共有しています。
特に閲覧制限は設けておらず、社内のスタッフならだれでも、いつでも先行管理の数字にアクセスすることができます。

ここからは、コムデックで実際におこなっているkintoneを使った先行管理をご紹介します。

先行管理に必要なデータの収集・集計

コムデックではkintone内に先行管理の専用スペースを用意しています。
すべての予実をここに詰め込んであり、各集計用アプリやダッシュボードなどへ飛ぶことができます。
データ収集の構成は以下のとおりです。

データ収集構造

受注や売上情報は基幹システムを使って管理しているため、kintoneと連携させて必要なデータを各kintoneアプリへ自動的に収集。
そして、各アプリのデータを使って先行管理アプリへアウトプットし、視覚的にわかりやすいようダッシュボードへ表示する、という形です。

先行管理アプリには、kintone上でエクセルのようにサクサクと数値を入力していけるプラグイン(メシウス株式会社「krewSheet」のXrossモード)を利用。
以前はこれらを全て社長自身のPC(エクセル)で管理していましたが、現在は各部署からkintoneへ直接入力してもらい、生田社長が確認・承認するというフローで進めています。

ダッシュボードでわかりやすく社内共有

コムデックで運用している先行管理のダッシュボードは、以下の情報で構成されています。

  • 全体目標値(期末のゴール)と現状値のレーダーチャート
  • 指標ごとの全体目標値(期末のゴール)と現状値の子レーダーチャート
  • 月毎の目標と実績推移のグラフ

これらの情報はリアルタイムで自動更新されるため、「最新の情報を元に集計しなおす」といった処理は必要ありません。

ダッシュボード

レーダーチャートは目標の8割、9割の部分で色を変えて3段階表示に。
視覚的にわかりやすい表示にしてあり、一目で数値や状況を把握可能です。

経営者・リーダーとしてチェックすべき部分

ダッシュボードの情報は、各部署や事業の「確定した今月の売上」「来月、再来月にどのくらい仕事があるのか、決まっているのか」といった数字を集計してきています。
これらの数字を見て、経営者は来月、再来月はどのくらいの人員が必要になりそうか、どういったチーム編成が必要なのか……などを判断していく必要があります。

また、目標に向けて着実に売上をあげていくためには、数か月先の計画値と現状見込みを把握し、目標に向けた取り組みや改善を積み上げて、先々の受注を確実に抑えていくことが重要になります。

成長や「計画どおり」を実現するためのSFAやCRMも

コムデックでは、事業成長や「計画どおり」を実現していくために不可欠なCRMやSFAもkintoneで管理しています。
ダッシュボード内には、そのデータから「見込み顧客情報(受注確度や見込まれる粗利など)」を月毎に表示してあり、今後の新規取引の可能性、ポテンシャルなどを合わせて検討、把握可能です。

今の世の中は変化が早く、お客様のニーズもどんどん変わっていきます。
同じことを安定的にやっていく時代ではなく、今は不安定を乗りこなすことこそが安定に繋がります。

計画どおりにいかない中で、いかに振り返り、その理由を分析してコントロールしていくかが求められ、その仕組みが先行管理であり、このダッシュボードなのです。
この先行管理(ダッシュボード)は会社や業務の羅針盤となります。

また、コムデックには経営方針から社内プロジェクトに至るまで最新の情報を発信し、社内に共有する「四半期発表会」があります。
これも、各社員の頭の中に最新の数字情報があり、状況が把握できているからこそ先の話がしっかりと理解できる、意味のある会になっているのだと感じています。

社内で共有されることによって、社員も自分で考えて行動することができる、そういった風土が醸成されていくでしょう。

「良い先行管理」を行うために必要な「見極め」とは?

ここまでkintoneを使った先行管理をご紹介しましたが、これはいわば「仕組み」の部分です。
さらに先行管理が良いものになるために必要なもの、それは「見極め」です。

改めて自社の成長分野・事業を正しく分析し、自社のどの商品やサービスが今の世の中に必要とされているのか中長期で見たときに次にどんな事業が必要とされそうかを見極めることが、先行管理においては重要となります。
『仕組み+見極め』がうまく交わることで、良い羅針盤、良い先行管理ができるようになります。

見極めのポイントは大きく分けて次の4つです。

見極めポイント1:世の中の変化(需要の変化)

  • 手離れの良い商品・サービスから、コト売り(価値)が求められる時代に
  • コムデックでもパッケージ売りから伴走へと展開

見極めポイント2:競合

  • 他社がどういうことをしているのか勉強・分析し、明文化できるレベルの解像度で差別化

見極めポイント3:過去

  • 数値を比較して事業ごとに伸びている/伸びていない の確認
  • 伸び率の高い、変化の大きい商品やサービスを選択し、集中する

見極めポイント4:意義

  • なぜその事業をおこなうのか、育てるのか、を今一度意義付け
  • 社会的に求められているのかを考え、事業ごとに1年後のあるべき姿を想像し、展開させる

4つ目の「意義」は、採用(仲間集め)の部分にも大きく寄与します。
条件面はもちろんのこと、事業の意義や自分自身の成長、社会への貢献なども若い方々が仕事を決める上でのキーになることが多いため、ここはコムデックでも特に大切にしています。

先行管理を実施するための9ステップ

コムデックの経験を元に、先行管理に取り組むための手順を9つのステップに分解してみました。
先行管理がうまくいっていない、もっとレベルの高い先行管理がしたい、そんな方はぜひ取り組んでみてください。

ステップ1:現在の事業(商品・サービス)の棚卸

  • 商品・サービスの特徴や内容

ステップ2:伸びるか・伸びないかの分析、検討

  • 業界変化や過去との比較など
  • 共有できるように書き出す、ChatGPT活用もOK!

ステップ3:人が集まるか、という側面からの検討

  • ブランディング
  • 認知・権威(キラキラ)
  • 報酬(金銭面、金銭面以外両方)

ステップ4:人を教育できる環境が整っているかの確認

  • 育成のための制度
  • 不公平のない評価制度

ステップ5:ライバルの動向チェック

  • 同業他社の増減
  • ライバルと自社の違い・差別化

ステップ6:優先順位を決める

  • 集中と選択、理由付け

ステップ7:分野の再整理

  • ①で棚卸したものを再整理
  • 機能や性能(サイズ・色)で分けたものを投資分野(今後、数年間かけて大きく成長を見込める事業)、成長分野(今の稼ぎ頭事業)という切り口で再度分類

ステップ8:実績(結果)とどのように結び付けるかの検討

  • kintoneにデータがあれば、簡単に仕組みが構築可能

ステップ9:ダッシュボード構築

  • 社内にスピード感をもって共有できる仕組みづくり

ステップ1〜5は見極めや落とし込みの部分です。
ここの精度が高いほど、良い先行管理(計画)ができます。

ステップ7までがいわゆる予実(予定と実績)の予の部分にあたります。
そしてステップ8、9で実際に計画を立て、羅針盤(先行管理)を可視化・共有していきましょう。

「先行管理」を実行し、成長しつづけられる会社を目指そう

今の時代、会社の成長に「先行管理」は欠かせません。
その仕組みづくりは、以前より格段に簡単になっています。
今こそ、自社の成長分野を見極めて計画し、ぜひ「先行管理」にチャレンジしてください。

すでに「先行管理」に取り組んでいらっしゃる会社も、これを機に、ステップ1~7(いわゆる予実の「予」の部分)を改めてブラッシュアップしてみてください。
より良い先行管理を実現させ、変化の多い時代でもしっかりと成長し続けられる会社を目指していきましょう。

この記事を書いた人

生田 智之

『DXの第一想起者』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 kintoneをはじめとする、各社に合ったクラウドサービスの提案から導入、伴走まで一貫したサービスを得意としています。 また、youtubeではkintoneのノウハウを大公開する「kintone芸人」として活動しています。 「DX化したいけど具体的なイメージができない」「こうなりたい!はあるけど手段がわからない」…等の想いをお持ちの企業様、是非一度ご相談ください!

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