デジタル化の次に行うべきこととは?世の中の流れに適応した新しい打ち手は『事業のずらし』で考える!
さまざまなIT活用を検討・導入して業務効率化に力を入れている企業さまは多くいらっしゃいます。
もちろん業務改善も企業の成長には不可欠な要素ですが、売り上げ増や利益率向上といった具体的な成果に直接結びつけるのは難しいのが正直なところです。
多くの企業さまで導入・活用が進んでいるkintoneやチャットツールを使うことはコミュニケーションをとるといった業務改善はあくまでも手段でありゴールではありません。
そこで今回の記事では、DX担当者勉強会第23回でお伝えした「デジタル化の次のこと」について、2023年以降の世の中の変化とそれに対応するための考え方をご紹介します!
目次
2023年に予測される世の中の大きな変化3つ
既に始まっている変化もありますが、2023年に予想される世の中の大きな変化は以下の3つだとコムデックは考えています。
- コロナとの向き合い方
- 脱アナログ
- テクノロジーの進化
これらの世の中の変化に合わせて、企業の取り組み(新しいサービスの開発や付加価値の提供など)もアップデートしていく必要があります。
それぞれの変化のポイントを見ていきましょう。
コロナとの向き合い方の変化
2020年〜2022年にかけて、コロナの影響を受けて世の中の価値観は大きく変化しました。
コムデックが本社を構える三重県伊勢市は観光の街であり、2020年以降は厳しい状態が続いていましたが、2023年を迎えてから徐々に賑わいが戻ってきています。
コロナの規制も緩み、「行きたいけど行けない」「やりたいことができない」と行動を制限されていた時期と比べて、比較的自由にやりたいことを楽しめる雰囲気が浸透してきたと言えるでしょう。
今後はさらに人が移動する・できなかったことを実現する、といった動きが加速するはずです。
少し前までは「動かないことが正しい」という価値観が構築され、何か新しいことを始めることは非難の対象とされていましたが、2023年は新しいこと、例えばサービスや商品の開発、新規顧客の開拓などを始めるチャンスとなっています。
脱アナログ、業務で使うツールの変化
コロナ渦のなか、電話がチャットに切り替わったり、手動で行っていた作業をシステムで自動化したり、アナログからデジタルへの変化があった企業さまは少なくないでしょう。
いつでも、どこでも使えるクラウドサービスには、顧客・案件データや売上 、在庫や人時生産性などが詰まっています。
kintone(キントーン)を活用している企業さまでは、「いつ、誰がどのタスクをやるのか」などが見える化し、事業・業務を効率化するための羅針盤のような存在になっているのではないでしょうか?
一方で、自動化によって業務を「いつでも、どこでも、だれでも」できるようになると、これまで手動で行っていた一部の仕事はなくなっていきます。
自動化は良い面が大きいものの、言い換えれば「代替」であり、私たち人間にとってはしっかりと向き合い、考えなければいけない事柄です。
ここで、2020年11月に発表されたリクルートワークス研究所の図表を見てみましょう。
分布図の左はデスクで考え手を動かす職種、右は現場で考え身体を動かす職種に分類されています。
図の上部はいわゆるレギュラー業務であり、手続き通りに進めることで結果に結びつきます。
一方、下部はイレギュラーや変数が多く、比較的「人の手が必要」とされている仕事です。
ITの進化によって仕事が効率化され、特に図の上部の「手続き通りに進めるべき業務」は必ずしも人が行う必要はなくなり始めているのが現状と言えます。
そのため、代替されやすい業務に付加価値を付けたり、今後も残りやすい領域に事業をずらしたりなど、対策を講じている企業さまも多いでしょう。
デジタル化が進む中で、レス化・自動化によって生まれた時間を「新しいサービスや商品の開発」などにあてていく必要があります。
なぜなら、業務効率化や生産性アップは社内の成果であり、顧客に対するメリットにはなり得ないためです。
つまり、デジタル化の次は社内の効率化から社外に向けた価値向上に視点を移し、既存顧客がより便利だと感じるサービスを開発する、という働きが重要となります。
テクノロジーの進化
テクノロジーは日々発展しており、特に最近のAIは目覚ましい進化を遂げていることは皆さんも体感しているところではないでしょうか?
そんな技術の進歩には、一般的には以下の段階があると言われています。
- Web1…メディアや法人が一般人に向けて発信していた時代。
- Web2…TwitterやYouTubeやInstagramなどで、皆が発信ができるようになった時代。一方で、権限(所有)はプラットフォーマー(google、SNS企業、銀行)次第。
- Web3…Web2時代に幅を効かせたプラットフォームを無視して、 ブロックチェーン上で自分達を自分達で管理し合うように.。権限(所有)が個人に戻ってくる。
- 新Web3…AIによってスキルが低い人でも発信できるようになった時代。
「Web2」の段階に至った際、社内ではまもなく「Web3」が到来すると考えていました。
しかし実際にはAIの進歩によって「新Web3」が訪れ、顧客(非専門家)自身でできることが増えることによる「顧客の困りごとの変化」が今まさに起きています。
つまり、前述したリクルートワークス研究所の図表で見た際に、さほど危機感がない(人の手が必要)とされていた下部の職種もAIに代替される可能性があるということです。
今後、専門家が解決する顧客の問題は変わることが予想されます。
企業が成長し続けるためには、今こそ新規事業展開(新製品・新サービス・新市場)を検討すべきと言えるでしょう。
2023年は業務効率化の先にある「付加価値の向上」が重要なポイントとなります。テクノロジーの進化を考慮して新規事業展開を検討することが大切です。
あらゆる方向にアンテナを張り巡らせながら、世の中の流れに合った戦略を立てていきましょう。
新しい打ち手を検討する際には「ずらし」の考え方が重要
あらゆる変化を捉え、デジタル化の先に進むためには、既存事業の見直しと伸びしろを整理する必要があります。
そこで、新しい打ち手を検討するうえで重要となる「ずらし」の考え方についてご紹介します。
「ずらし」とは、アンゾフモデルの成長マトリクスであり、既存事業から脱却するための戦略構築フレームです。
既存事業・市場に加えて、新規の事業・市場に「事業の重心をずらしていく」というという流れとなります。
具体例として、コムデックがどのような流れで「ずらし」の考え方を活かしてきたかを見ていきましょう。
2018年時点では、PCのシステム開発やサーバーネットワーク構築を軸に三重県内の顧客に対してサービスを提供していました。
とはいえ、クラウドサービスやスマホを活用した業務改善の浸透によって、オーダーメイドのシステム開発やサーバー構築は「斜陽産業である」という懸念がありました。
そこで、次は新規市場開拓の方向に事業展開をずらしていきます。
受託開発で培ったノウハウや技術を、再現性重視で二次展開できるよう、県内だけでなく全国に展開していきました。
市場開拓の次に挑戦したのがサービス開発です。
kintoneの活用や、既存顧客向けにもっと便利なIT活用を知ってもらうための事例集であるオウンドメディア(コムデックラボ)を提供できるようにしました。
最後に検討した多角化戦略は、以前までは既存顧客向けに発信していたオウンドメディアに対してSEO対策などを行うことで全国の新規顧客に対してアプローチをかけることでした。
ノウハウ(構築の仕方やポイント)を掲載することで、幅広くITを活用した業務改善に興味がある方に向けたサイトにバージョンアップしています。
さらに、業種に特化した「kintone業務改善パッケージ」を商品化することで、これまでの「対面開発のみ」だった状態に比べてより多くのニーズに応えることができるようになりました。
「事業のずらし」の考え方
ここからは実際のずらしの考え方をご紹介します。
是非御社でも、エクセル等を使って実施してみてください!
既存事業の棚卸
まずは既存の推し事業の棚卸を行います。
特に、いつ、誰がどのような商品・サービスを、どんなお客さまに、どんなチャネルで売っているか、その事業は稼げているのか、というところを細かく棚卸していきましょう。
その際、SWOT分析などよく知られているフレームワークを活用するのもおすすめです。
既存事業を棚卸した結果、まだまだ深堀(市場浸透)する伸びしろがある場合は、注力して進めても良いでしょう。
新規市場の検討
次は、既存リソースをまた届けられていない新市場に届けるにはどうすればよいのかを検討していきましょう。
「市場」を検討する際には、ただ「隣の市町」等にするのではなく、競合企業をベンチマークとして「競合はどんな市場を得意としていて、その中で自社がまだリーチできていないのはどこか」という視点で考えてみてください。
例えば、他エリアで事業を拡大している企業を参考にして「自社ではどうするのが良いか」をキャッチアップしていきます。
万が一、同業他社で参考にする企業がない場合は、家具をインテリアに、家を豊かな生活に、などといったように業種の抽象度を上げてみるのがおすすめです。
新規サービス開発への取り組み
サービス開発の場合、「新商品を考えないといけないんでしょ?」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
「誰に何をどうやって届けるか」のどれか一つでも変わればそれは新たな商品・サービスとなります。
新規サービス検討への取り組みのポイントは、データベース(kintone)を活用しつつ、お客様の困りごとを考えながら事業を作ることです。
アンケート等で顧客から求められているサービスや商品を確かめながら進めるのもいいでしょう。
多角化
アイデアをイチから考案のには労力が必要です。
多角化の成功事例として、自社の成功事例を元に、同業他社向けにコンサルを始めるケースが代表的です。
多角化を検討する際には、ここまでの市場開拓やサービス開発で出てきた「新規市場」「新規リソース」を使って検討していくのがポイントです。
多角化と言うとこれまでの事業とは全くかかわりのない新しいことを始めると考えがちですが、「全く新しい市場と全く新しい商品を掛け合わせる」のはおすすめできません。
これまでの事業と全くかかわりのない市場とリソースでいきなり多角化をしようと思っても、データやノウハウが不十分で成功しない確率が高くなってしまいます。
2023年はデジタル化の先にある「新しいなにか」を仕掛けていきましょう!
2023年はデジタル化による業務改善だけでなく、さらにその先の「新規事業の見直し」「付加価値の向上」などを検討する必要があります。
「新しい何か」を仕掛けていくためには既存事業の見直しと伸びしろの整理をすることが大切なので、新しい打ち手を検討する中で「ずらしの考え方」を参考にしてみてください!