中小企業の業務効率化・収益向上・事業価値向上を実現するための秘訣とは
2020年に続き2021年とコロナに振り回された1年でしたが、そんな中でも成長している企業はいったいどんなことをしているのか?果たしてそれは中小企業にも真似できるのか?
第19回DX担当者勉強会では、これまでコムデックが行ってきた様々な支援の中で得た
「成功企業の注力ポイント」
「具体的な取り組みの3ステップ」
「IT活用のビフォー・アフター事例」
等をご紹介し、2022年中小企業に必要なIT活用とは何なのか?をお伝えしました。
目次
成長企業の特徴は「集中と選択」と「オンライン化」
コムデックが考える、コロナ禍でも成長している企業の特徴は「消費者の行動変化をとらえて自社の事業を変革していること」と「顧客接点のオンライン化ができていること」の2点です。
成長企業の特徴1.消費者の行動変化をとらえて集中と選択
コロナ禍によって、消費者、つまりお客様の価値観と行動は大きく変わりました。
それは日常生活のことだけではなく、ビジネスシーンにおいても言えることです。
そこで、自社の従来の事業に固執しすぎず、お客様が何を求めているのか、何に興味があるのかを考えることで注力する部分を切り替えることが重要となります。
例えば、とあるスポーツ用品店や作業着販売店は、コロナ禍で密を避けながら楽しむことができるアウトドアレジャーに着目。
新商品の開発や、これまでとは違った層へのアプローチを行い成長しています。
成長企業の特徴2.顧客接点のオンライン化
これは言うまでもありませんが、お客様との接点が対面だけの場合と、オンラインでも対応できる場合ではその効率が大きく異なります。
もちろん、業種によっては対面以外では難しい、お客様がまだ対応できていない、そういうこともあるかと思います。
しかし、「対面をすべて無くしてオンラインに切り替える」のではなく「一部をオンラインにして顧客接点を維持する」、つまりオンラインと言う選択肢を持っておくことが重要です。
オンライン販売と対面販売、どちらもやっているお店と、対面販売しかないお店、どちらの方が顧客接点が多いのかは明白ですし、裏を返せばこれまではライバルは近隣の同業他社だったものが、オンライン販売を行っている全国の同業他社が競合となり得ます。
ここでポイントとなるのは、この2点は「コロナ禍が終わっても大きくは変わらない」ということです。
消費者の行動変化を読み解くことはもちろん、コロナ禍が終わってオンラインからオフラインに回帰したとしても「オンラインでも対応ができること」は強みとなります。
成長企業の特徴をどう自社に取り込むか?「やるべきこと」は顧客ニーズから逆算する!
すぐに新商品を作ったり、ECサイトを作ったりといったことは難しいかもしれませんが、原点に立ち返ることで十分自社に取り込むことができます。
成功事例を自社に取り込む方法1.顧客ニーズの把握
消費者の行動変化をとらえるとは、すなわち「お客様が何を求めているか=顧客ニーズ」が今現在どうなってるかを把握し、この先どう変わっていくかを考えることです。
「自分たちができること」「自分たちが提供できるもの」からスタートして、それを売り込む方法を考えるのではなく、
- 自社のサービスがお客様のどんな課題を解決するのか
- お客様は何を解決してほしいのか
という観点から、「お客様の求めるものを提供するために、今の自社に何が足りないか」を逆算して、事業戦略に盛り込んでいくことが重要です。
お客様のニーズを把握するためには、お客様との接点やその履歴を一人で保有するのではなく、部署全体、あるいは会社全体で共有してデータベースとする必要があります。
そこにITを活用することで、共有コストが削減され、本来時間を使いたい「どこにお客様のニーズがあるのか」を検討することに時間を使えるようになるのです。
成功事例を自社に取り込む方法2.ビジネスの付加価値向上
「付加価値向上」とは、サービスそのものの価値を上げるというよりも、それに付随する「体験」の価値を向上させるということです。
付加価値向上、競争優位性の獲得と言うと難しく聞こえますが、「ちょっと便利になる」という観点で簡単なことでも取り組み、そしてその取り組みをお客様に発信していくことが重要です。
例えば、これまでFAXでしか注文できなかったものをチャットでも受付できるようにする、定期的に情報を発信する等、些細なことでもそこに価値を感じてもらえる可能性はあります。
体験の付加価値はサービス・製品に比べて模倣されにくいため、お客様が「ぜひとも御社にお願いしたい!また頼みたい!」と思ってもらえるようなポイントとなるのです。
成功事例を自社に取り込む方法3.業務の効率化
業務の効率化で人時生産性を上げることは、経営改善の第一歩です。
しかし、ただ業務改善をして残業を減らして終わりではありません。
業務を効率化して生まれた時間は、「顧客ニーズの把握」や「ビジネスの付加価値向上」のために使うことが重要です。
営業・バックオフィスのIT活用は「効率・収益・事業価値」に着目
成長企業の特徴を取り入れ、「顧客ニーズの把握」「ビジネスの付加価値向上」「業務の効率化」を実践するために、中小企業が行うべき具体的なIT活用は、業務にも寄りますが大きく3つのステップにわけることができます。
すぐに取り組める「効率向上」のポイントは、「いつでもどこでも仕事ができる」「素早い情報共有」。
しかし、効率向上だけでは売上、つまり収益は増えません。
収益を向上させるためには、自社に問い合わせてくれるお客様を増やす取組や、案件の進捗管理、さらに営業の業務をサポートする仕組みが必要になります。
そして最終的には、自社の恒常的な成長を支える「事業価値向上」につなげていくことが重要であると考えています。
営業におけるIT活用の3ステップ
Step1:効率向上
- スマートフォン活用…社外でも仕事の情報を見られる・仕事ができる環境づくり
- オンライン商談…移動が無くなることで時間コスト削減
- チャット活用…社内だけではなく、お客様ともチャットで連絡を取ることで付加価値向上
Step2:収益向上
- ホームページやECサイトでSEO対策(検索エンジン最適化)を行いオンラインで集客強化(問合せ数増加)
- Google Analytics等のツールを活用し、ホームページ等の閲覧数やコンテンツのクリック数、成約率を元にお客様が求めているものと自社が提供しているものが合っているかを分析
- CRM/SFA…顧客情報、案件進捗等のデジタル管理による営業行動分析
Step3:事業価値向上
- 蓄積したデータに基づく商品/サービス開発
- プラットフォームの構築…他者に模倣されにくい「体験」で参入障壁を作り、ユーザーを囲い込む
- プロセスエコノミー…サービス・商品を提供するまでの過程を共有することで商品に「意味」(付加価値)をもたせる
バックオフィスにおけるIT活用の3ステップ
Step1:効率向上
- 毎月、毎週行う繰り返し業務(データ入力/集計)の自動化
- 「直接行く」業務を減らす…銀行やハローワーク、年金事務所、法務局等、オンラインでできることは移行する
Step2:収益向上
- 営業サポート…効率向上で生み出した時間を活用して、組織の役割分担を変える
- 見積/企画書の作成…例:現場監督ではなく事務の人が書類を作れる
- 問い合わせ対応…一次受けはバックオフィスで行い、営業担当にはより確度の高い状態で引き継ぐ
- ホームページ/ECメンテナンス…自分たちで柔軟に内容修正できることで、より集客力アップ
Step3:事業価値向上
- インナーブランディング(社内研修/評価制度)…スタッフの育成
- アウターブランディング…経営企画(自社を良くしていく)意見が社員から出てくるように
具体的なIT活用の取り組みと変化の事例
営業のIT活用事例:【士業】問合せ件数10倍、は売上3倍に
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こちらの士業さまでは、ホームページに自社がどんなサービスを提供できて、どんなふうにお客様の課題を解決できるのかをしっかり記載したことで、問合せ増に繋げただけではなく、ミスマッチな問い合わせを減らすことができました。
ホームページ上にお伝えしたいことが揃っているため、営業時の説明コストを省くこともでき、まさに「ホームページが自社にとっての一番の営業マン」となりました。
それに加えて、士業の業務は専門性が高く、例えば法改正についての情報や補助金についての情報等、顧客企業にとって有益な
「専門性が高い情報(Expertise)」
「権威性の高い情報(Authoritativeness)」
「信頼性の高い情報(Trustworthiness)」
たくさん持っています。
それらをブログのように記事として公開することで、自社ホームページのSEO効果を高めていきました。
バックオフィスのIT活用事例:【介護】業務効率化&付加価値向上
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こちらの介護業さまでは、ただ業務効率化に取り組んだわけではなく、「業務がアナログなことで入居者様に向き合う時間が圧迫されてしまっている、もっと入居者様やそのご家族の方に安心・快適に過ごしていただくために何ができるか?」という観点から業務改善をスタートさせました。
まさに、「顧客のニーズを考え、自社の現状とのギャップを埋める」ためのIT活用だったのです。
紙中心のアナログな業務をデジタル化するにあたり、紙の業務の流れをそのまま置き換えるのではなく、業務フローをデジタルに合わせて最適化していきました。
それに加えて、日々繰り返す業務を自動化することで入居者様に向き合う時間を増やすことができました。
中小企業の業務効率化・収益向上・事業価値向上を実現するための秘訣とは
ここからは、ご紹介したような事例の企業さまが、どんなことに取組んだ結果Afterのような効果を得られたのか、3つのステップをさらに細分化してお伝えします!
1.クラウド、モバイル、データ活用
ひとつめは、導入いただいているツールは全てクラウド対応、スマートフォン対応しているツールであることです。
いつでもどこでも自分の仕事に必要な情報を確認することができ、仕事に対する意思決定を随時行うことができます。
日報やトラブルの記録等も即時共有されれば、その情報を元に日時で行動を改善していくことができます。
2.数値管理(KPIの振り返り)
ふたつめは、数値を定期的に振り替えることです。
数値とは、重要業績評価指標(KPI)、つまり自社の業績を向上させてくれる要因を把握・分析し、目標を立てて管理をしていくことが成功の秘訣と言えます。
ここでポイントとなるのは、「数値の変化を見る」ことです。
リアルタイムな最新情報が見られることはもちろん重要ですが、ここまでどう変化してきたのか、伸び率はどうなっているのかという観点で数値を管理することで、「これからどう変化していきそうなのか?」という部分を検討する材料となります。
本来は、次に説明する「自社の事業構造」を踏まえた上で自社独自のKPIを設定するのが望ましいですが、コムデックの考える建設業・建築業・介護業のKPI参考例をご紹介します!
是非自社のKPIを検討する時の参考にしてみて下さい。
土木系建設業
重要業績評価指標
(KPI) |
業績向上の要因
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BtoC向け建築業
重要業績評価指標
(KPI) |
業績向上の要因
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介護業
重要業績評価指標(KPI)
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業績向上の要因
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3.事業(収益)構造整理
管理すべき数値を考えるときには、ただやみくもにKPIを設定するのではなく、「自社の業績はどんな数字が上がったら向上するのか?」という事業構造をきちんと分析する必要があります。
あまりに漠然とした目標、例えば「売り上げをいくらにする!」という目標だけでは、「そのために何をするのか」が示されておらず、あってないようなKPIとなってしまう恐れがあるためです。
とは言え、自社がどのように収益を上げているのかを分解していく「事業構造整理」はそんなに簡単なものではありません。
以下の画像はコムデックの収益構造を整理したものですが、一口に「新規顧客を増やす」と言っても、どこのチャネルからの顧客を増やすのか、商品を新しくして顧客を増やすのか、既存商品を強化して増やすのか等、関係する項目は多岐にわたります。
このように、ツリー上に分解していくと数値項目の因果関係が分かりやすくなるのでお勧めです!
目標の構造を明らかにすることで、「何故その数値を目標とするのか」が明確になり、目標を与えられた従業員にも納得感が生まれます。
また、一度KPIを設定した後、「この数値は目標達成されたから、次はこちらの数値に注力していこう」と言ったように目標をずらしてくことも簡単になります。
※コムデックでは、無料でも使えるmindmeisterを使っています!https://mindmeister.jp/
4.組織/スキル/人材/スタイルのアップデート
企業を成長させたいと思ったとき、「顧客のニーズを把握して、そこに向かって自社のビジネスを変えていく」のと同じくらい重要なのが「従業員/組織の成長」です。
お客様のニーズに応え、さらに付加価値を生み出していくためには、従業員の成長、そして組織の成長が欠かせません。
しかし、「人や組織の成長」を管理できている中小企業は少ないのが現状です。
先ほどお伝えしたKPI等を活用することで目標を組み立て、評価の基準を明確にすることで従業員のスキルアップをはかったり、仕事の体系化(QCDの明確化)で「誰がやっても同じクオリティ」になるよう整備したり、組織/スキル/人材/スタイルのアップデートは、ここまでお伝えしてきた効率向上、収益向上、事業価値向上のどれにも欠かすことのできない要素です。
評価制度について詳しくはこちら!
▼「企業価値が向上する」効果的な評価制度とは?「続ける」ために必要な2つのポイント
中小企業に必要なIT活用とは
単純に値段が下がっただけではなく、「使いたいときに使いたいだけ使う」サブスクリプション型のクラウドサービスがビジネスシーンでも当たり前になっています。
2022年からは電子帳簿保存法、通称電帳法も改正されて請求書のペーパーレス化がしやすい環境が整い、来年度のIT導入補助金もほぼ確定する等、国を挙げて中小企業のIT活用を後押ししてくれている、そんな状況です
逆に言えば、このタイミングで「デジタルファースト」、つまり「IT活用を前提とした業務」に組み立て直し、デジタル技術を活用して自社のデジタル環境を整えなければ、大きく機会を損失することにもつながりかねません。
お客様との接点や関係性、ニーズをデジタルで管理して全社で、あるいは協力会社も巻き込んで共有していくこと、自社が業務を行う上で重要な業績評価指標(KPI)の変化を管理することは、これからの前提となるのです
理想は全従業員の活動結果をデジタルで管理し、日時で改善可能な組織をつくること。
日々少しでも改善できれば、徐々に自社の業務効率・収益・事業価値も向上していくでしょう。全部いっぺんに取り組むのは難しいかもしれませんが、「どこから始めればいいのか」は「お客様が何を求めているか」を考えることで導き出すことができます。
是非このタイミングで、自社のIT活用の状況を見直していきませんか?
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