原価管理をkintone化!脱エクセルでリアルタイム自動集計|建設業 株式会社泰成さまのアプリ開発事例
建設業における原価管理では、現場ごとに材料費や各種経費を細かく管理する必要があり、項目も多岐にわたります。
原価に関わる情報を紙やエクセルで管理していらっしゃる場合には入力や集計にも時間がかかり、数字が出てくるのは一か月先……ということも珍しくないのではないでしょうか?
今回は、原価管理を紙とエクセルで行っていた建設業の企業さまが、kintoneで原価管理をクラウド化し、集計が自動化された導入事例をご紹介します!
目次
エクセル+紙の原価管理には手間も時間もかかる
三重県松阪市にある株式会社泰成さまは、東北地方の現場を中心に土木工事を担われている建設業の企業さまです。
「東日本大震災」の復旧工事も手掛けているほか、最近は工事の現場が日本全国へと拡大しており、原価管理のkintone(キントーン)活用はそんな全国の工事現場の経費集計を効率的に行いたいという経理担当者さんからの相談がきっかけでした。
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建設業では、従業員さんたちが現場へ移動して長期にわたって工事をおこないます。
各工事現場では交通費・燃料費・宿泊費・材料費・水道光熱費・食費等さまざまな経費が発生するため、それらを集計して予算管理・原価管理をするのが一般的です。
株式会社泰成さまではこれまで、原価に関わる経費はすべて紙やエクセルで管理されていました。
本社に届く請求書や明細は現場ごとに再集計し、エクセルに手入力。
各現場で都度購入したもの等はレシート等を送ってもらう必要があります。
経理担当者さんのいる三重県の本社と工事現場が離れているため、各現場から送られる情報がそろうのは早くても翌月。
さらにそれらの情報を取りまとめてエクセルに入力し……という処理を行うためには、情報が揃ってからさらに時間がかかります。
建設業では、現場監督さんが予算の残りを見ながらさまざまな判断をおこないます。
そのため、現場から「今の予算の状況を知りたい」と言われれば、経理担当者さんはその時点での集計作業が必要となり、この都度の集計が大変手間のかかるものでした。
また、「現場監督が知りたい数字」と「経理処理のために必要な数字」が異なるため、それぞれが見たい情報を管理するためのエクセルを別々に作成していたことも、原価管理をエクセルから脱却したいと考えた理由の一つ。
原価管理のための数字を集めること、エクセルへ登録し集計すること、突発的な集計が必要になること、そして経理処理のための別シートも編集すること…
経理担当者さんにかかる負荷は、現場が増えるたびに増大していく状態でした。
現場ごとに各経費を登録するアプリを作成!ひとつのレコード内で簡単登録
原価管理や経費関連の集計業務効率化のため、kintone導入をスタートした株式会社泰成さま。
kintoneであれば、遠隔地であっても同じ情報を見られる他、登録された情報を元にリアルタイムで集計を行うことができます。
さらに、登録した情報から自分が見たい情報だけを一覧の形にすることもできるため、これまで現場監督さん用と経理担当者さん用でそれぞれエクセルを作成していた株式会社泰成さまにはぴったりのクラウドツールでした。
リアルタイムな原価管理を行うためには、各現場が使ったタイミングで経費の情報が必要となります。
そこで、まずは現場で発生する各経費登録のため、経費申請・燃料屋・請求書・注文書・入金管理・現場日報を登録できるアプリを作成しました。
経費科目ごとにアプリが分かれていると登録するのが手間に思えるかもしれません。
実際、経費は全てひとつのアプリに登録し、科目を都度選択する仕組みを採用していらっしゃる会社さまもあります。
しかし、株式会社泰成さまの場合には、科目ごとにアプリを分けることで逆に入力の手間やミスを減らすことができると考えました。
これまで本社で集約して入力していた情報をリアルタイムで集計できるようにするためには、各現場で経費が発生した段階で情報を入力いただく必要があります。
各現場で入力を担うのは、これまでkintoneを使ったことがない方々ばかり。
全ての情報をひとつのアプリにまとめてしまうと、管理すべき情報が増えて管理しづらくなったり、入力項目が増えて使う人の負担になったりしてkintoneの活用を阻害する恐れがありました。
そこで、一つ一つのアプリの作りをシンプルにして、入力するときにはエクセルと大きくかわらない使い勝手となるよう工夫しました。
株式会社泰成さまの各経費登録アプリでは、「経費の締め日~締め日」までを1レコードとして、その月使った経費をレコード内にどんどん登録していきます。
テーブル機能を使うことで、エクセルのように必要な数だけ行を増やしていくことができ、登録されると自動で経費が合計されます。
現場でそれぞれのアプリに数字を登録してもらうことで、三重の本社でリアルタイムに数字を追うことができるようになりました。
複数アプリのデータ集計にはkrewDataを活用!
kintoneの導入により、経費申請・燃料屋・請求書・注文書・入金管理・現場日報といった経費に関係するkintoneアプリへ現場でデータが入力されるようになりました。
各アプリのデータ集計は、kintoneの標準機能で自動的に実施できます。
細分化されたアプリに集まった現場ごとの数字は、事前に設定しておけば勝手に集計されていくため、連絡が入る度に修正する必要がないどころか、kintoneを開けば最新の集計結果が表示されるため連絡する必要もなくなります。
kintoneの集計設定について、詳しくはこちら!
▼kintoneで売上管理を実現!アプリの作り方やグラフ設定方法を解説
しかし、kintoneの標準機能では各アプリ内での集計しかできないため、複数の経費アプリの数字を現場ごとにまとめることや予算と比べることができません。
複数の経費集計アプリの情報をさらにとりまとめ、一画面で現場ごとの予算使用状況や原価を管理するために、krewData(クルーデータ)を活用することになりました。
krewDataはアプリをまたいだ集計を自由にできるだけではなく、スケジュールされたタイミングやアプリにレコードが追加されたタイミングなど、業務フローに合わせて必要なタイミングで更新を行うことができます。
このkrewDataの活用で、すべての原価管理に関わる数字がアプリをまたいで現場ごとに自動集計されるように!
また、集計をkrewDataで行うため、kintoneアプリは従業員さんの入力のしやすさを優先した作りにすることも可能になりました。
扱う項目の多さで見づらさも…krewDashboardで一工夫
krewDataの活用によって、各経費アプリへ登録された情報を現場ごとに自動集計し、さらにそれらの情報を一画面で確認できる状態を実現した株式会社泰成さま。
kintoneの導入は順調に思われましたが、「見え方」という点で新たな課題が持ち上がりました。
株式会社泰成さまの場合には、同時に展開している工事現場の数が多く、各現場の期間も数か月から年単位とバラバラで、なおかつ建設業ならではの経費の科目が多く、原価管理もより複雑になります。
それらの原価をkintoneの標準機能で一画面で確認できるようにしようとすると、以下画像のような画面になります。
kintoneではエクセルのように枠固定等ができず、またどんどんデータが追加されていくためkintoneで集計結果を確認しようとすると縦にも横にも長さが出てしまい、画面上でスクロールしないと全体の確認ができません。
krewDataでアプリをまたいだ集計はできても、集計結果の見え方はkintoneの標準機能に依存します。
端的に言って、「見たい数字は集計はできているけれど、とにかく見づらい」という状態でした。
これまで使い慣れていたエクセルから画面構成が変わっている上、スクロールが多くて見づらくなってしまうようでは、またエクセルや紙での管理に逆戻りしてしまう恐れがあります。
そこで、これまでのエクセルと同等以上の見た目を実現でき、なおかつ見たい情報の粒度に合わせて表示項目を都度調整できるkrewDashboard(クルーダッシュボード)を導入。
krewDashboardでkintoneのデータをピボットテーブル化することで、見やすくかつ使いやすき原価管理表を実現することができました。
原価管理をkintone化するメリット
krewDataとkrewDashboard、ふたつのプラグインを活用し、kintoneを活用した原価管理が本格スタートした株式会社泰成さま。
これまでは、現場監督の方が自分が見たい情報をまとめるために独自のフォーマットを使用することも多かったため、これまでのやり方を重んじる従業員さんやITに不慣れな従業員さんからは不安の声も挙がっていました。
各種経費入力や日報入力などが定着するまではじっくり時間をかける必要がありますが、プラグインを活用することで「入力のしやすさ」「データの見やすさ」を重視したアプリ構成をとれることが強みとなります。
原価管理をkintone化したことによって、紙やエクセルから手入力したり計算したりしていたことによる作業時間がほぼゼロになり、さらに入力内容に応じて原価情報がリアルタイムに集計され、予算の使用状況をすぐに把握できるようになりました。
本社の経理担当の方が各現場から挙がってくる予算使用状況の問い合わせ対応に割く時間が必要なくなったのはもちろんのこと、現場では予算の余り、見通しなどが知りたいタイミングで把握できることで現場監督の意思決定がスムーズに行えるようになったのです。
みんなが使いやすいアプリにブラッシュアップして効率化・自動化を推進したい
建設業ならではの経費や原価管理にkintoneを導入し、現場での意思決定や集計作業などが大きく効率化した株式会社泰成さま。
まずは経費項目を中心にkintone化をすすめましたが、さらに詳細な原価管理を行うためには各種経費の情報だけではなく、従業員がどの業務にどのくらい従事したのか、「工数」の情報も必要となります。
今後は、工数管理から労務費の算出にもkintoneを導入していき、原価管理のkintone化を完成させたいとのこと。
そのためには、従業員さんによる日報の入力が必須となるため、現場にいる従業員さんが使いやすい、入力しやすいアプリになるようブラッシュアップしていく予定です。
建設業のkintone活用法に関しては以下の動画でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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