kintoneのゲストスペースを活用して外部共有を効率化|不動産管理業 株式会社スマイルサポートさまのアプリ開発事例
御社では、外部の業者と協力して業務を進めるときの情報共有をどのように行っていますか?
メールや電話、FAXを用いて情報共有を行っている企業さまも多いかと思いますが、それらの方法では共有にも手間や時間がかかります。
kintoneのゲストスペースを活用すれば、転記や管理の手間を省いたシームレスな外部共有が可能です。
協力業者ごとに情報を制限して共有できるので、安全性も保てます。
当記事では、kintoneのゲストスペースを活用して情報の外部共有を可能にした不動産管理業 株式会社スマイルサポートさまのアプリ開発事例を紹介します。
協力業者への情報共有に関する課題を抱えている企業さまは、ぜひ最後までご覧ください。
目次
案件状況の把握と情報の外部共有をスムーズに行いたい!
株式会社スマイルサポートさまは、茨城県つくば市に2つの拠点をもつ不動産管理業の企業さまです。
不動産売買や仲介業のほか、賃貸保証やリフォームまで幅広いサービスを展開しておられます。
株式会社スマイルサポートさまが展開している事業の中でも、原状回復工事やリフォーム、塗装工事では複数の業者と協力しながらサービスを提供しています。
お客さまの要望に応えるためには不動産の管理会社と協力業者とをつなぐ仲介業務を正確かつスピーディに行う必要がありますが、株式会社スマイルサポートさまではこれらの仲介業務をエクセルやFAX、基幹システムを用いて行っていました。
見積書や請求書、発注書や各種報告書などが発生するたびに管理会社や協力業者とやり取りする必要があり、検討〜作業完了までに何度も情報のやり取りが発生します。
また、自社内での情報管理手段に加えて複数の外部への連絡手段を用いると「最新情報が分からなくなる」「転記の必要があって作業負担がかかる」「二重管理で更新が手間…」など、管理が煩雑になりがちです。
情報の一元化と外部共有ができるツールを探していたとき、株式会社スマイルサポートさまが出会ったのがkintone(キントーン)です。
kintoneであれば、自社に合ったアプリを構築することでデータの一元管理ができるだけでなく、基幹システムとの連携も可能です。
いずれかで登録したデータはもう一方のシステムに自動登録されるので、二重入力の手間を削減できます。
今回は「使うツールはなるべく1つにしたい」というご要望があり、kintoneと基幹システムをJSカスタマイズでAPI連携することにし、まずは社内データの一元化を進めることにしました。
最終的には、案件状況の把握だけでなく、データの外部共有が可能なアプリ開発構築を目指します。
協力業者ごとに案件管理アプリを作成!kintoneでデータ管理を一元化
kintoneの導入でデータの一元管理を目指した株式会社スマイルサポートさまでは、まず社内で情報を登録する案件管理アプリを作成しました。
案件が発生したときに物件の基本情報を登録する案件管理アプリには、工事の情報と協力業者への見積依頼内容を記載します。
この段階では、その工事に関わる全ての協力業者への依頼内容を同じテーブルに一行ずつ登録していき、この後ゲストスペースに情報を展開するときに協力業者ごとにデータを分割する仕組みです。
ゲストスペースを活用して業者間のやり取りがスムーズに!
案件管理アプリを作成したら、次は案件管理アプリに登録した依頼内容を協力業者別に分解して「ゲストスペースの案件管理アプリ」に登録する仕組みを構築します。
ゲストスペースは自社のkintoneユーザー以外の人が「ゲスト」として参加できるスペースで、スレッドの閲覧や投稿、スペース内アプリの利用ができます。
ゲストスペースを活用すれば、外部の協力業者も情報の閲覧や登録が可能です。
(ゲストユーザーアカウント、または招待したいゲストの会社のkintoneアカウントは必要)
なぜ案件の情報を協力業者別に分割する必要があるかと言うと、業者ごとにゲストアカウントを付与して、「自社に関係のあるレコードしか閲覧できないよう制限をかける」ためです。
この情報の分割と登録にはkrewData(クルーデータ)を活用しています。
krewDataとは、マスタとなるアプリの情報を元に別のアプリにデータを登録したり、アプリ間をまたぐデータの集計や加工ができたりするkintoneのプラグインです。
標準機能では別アプリへのデータ自動登録やアプリをまたいだ集計などはできませんが、krewDataを活用することでそれらが可能となります。
案件管理アプリに登録された情報を分割して登録するためのkrewDataのフローは以下の通りです。
このフローを動かすことで、業者別の依頼内容がゲストスペースのアプリに登録されます。
1つのアプリのなかに「大元のA案件に紐づく、協力業者B用の案件」「同じ案件のうち、協力業者C用の案件」が別のデータとして登録されるため、協力業者からは自社に関係があるものだけが見えている状態となります。
協力業者が登録された工事の情報と見積依頼内容を確認し、見積内容をアプリに入力すると、今度はその内容が元の案件管理アプリに集約されていきます。
この「ゲストスペースのアプリに登録された見積情報を、ゲストスペース外の案件管理アプリに戻す」処理にもkrewDataを活用しています。
今ご紹介した流れは「案件登録から見積依頼と見積回答」まででしたが、同様の仕組みで「発注から工事日の報告、工事完了報告」も実施できるようになっています。
これにより、「案件発生→協力業者への見積依頼→業者からの見積登録確認→検印&発注→工事実施→完了確認」という一連の流れを同アプリ内で実施可能となりました。
ゲストスペースとkrewDataを上手く活用することで、外部の協力業者への情報共有と情報の一元化を両立することができたのです。
ゲストスペースの権限設定で特定業者のみへの情報共有が可能に
不動産管理業や建築業・建設業といった業種では、業務の特性上1つの案件に対して複数の協力業者が関係しています。
案件の情報は各協力業者に共有したいものの、「A社がB社の情報を閲覧できてしまう」という事態は避けなければならず、それ故に協力業者との情報共有はそれぞれの業者ごとに行う必要があり、それが非効率を生む一つの要因となっていました。
システム化するにあたっても、「A社にはA社の情報だけ」「B社にはB社の情報だけ」というように、複数ある協力業者のうち、閲覧できる各業者を制限する必要があります。
そこでkintoneのゲストスペースを活用し、業者ごとにアカウントを割り振ることで他社の情報が見えないように権限設定を行っています。
また、そもそもゲストユーザーは招待されたゲストスペース内でのみ情報を閲覧できるので、社外秘の情報が漏れる心配もありません。
今回のケースでは、ゲストスペースではない社内用のアプリと協力業者用のゲストスペースのアプリを分けて運用する都合上、案件管理アプリとゲストスペースとの双方向の連携を行う必要がありました。
複雑な構築となりましたが、最終的に見積りの明細1行ごとに「見積番号」を持たせ、相互更新のキーとすることで解決できました。
kintoneで案件情報を共有するメリットとは
kintoneで案件情報を外部共有する最大のメリットは、kintone内でやり取りが完結することです。
依頼のたびにエクセルで作成していた発注書や見積書などの書類が不要になり、すべてkintoneまたはゲストスペース上で業務を進めることができます。
過去に同じような案件があった場合にはデータの複製も可能で、初回の登録時の手間も省力化できます。
この仕組みを使うためには協力業者のゲストユーザーアカウントが必要となるため、協力業者の数が多い場合にはゲストスペースではなく別の方法(kViewerやじぶんページ等)を活用したほうがいいケースがあります。
共有したい情報が何なのか、相手にも登録してもらいたいのか、どれくらいのアカウントが必要そうなのかを見極めて、外部共有の方法を検討することが重要です。
kintoneのゲストスペースを活用して外部共有を実現しよう!
自社だけでなく管理会社や協力業者と一緒に業務を進める企業様は多くいらっしゃいますが、その度にエクセルやメール・電話等で情報共有をしていると、やり取りのたびに手間がかかってしまいます。
そんな時、kintoneでデータを一元化したうえでゲストスペースを活用すれば、情報の外部共有が容易になります。
業者ごとのやり取りが各アプリ内で完結するため、無駄な手間や時間の大幅な削減が可能です。
株式会社スマイルサポートさまでは、完了した工事の支払い通知書を自動作成し、協力業者は内容確認後、問題がなければFBデータをCSVで作成し支払い、というようにスムーズに業務を進められるようになりました。
報告書は建物を管理しているオーナーに公開できるので、信頼性構築にも役立ちます。
「エクセルで情報を管理していて、都度発生するデータ探しや集計、加工などが大変」「外部共有が困難で、都度やり取りや書類の作成が発生してしまう」とお悩みの企業さまは、ぜひkintoneの導入をご検討ください。
ゲストスペース以外の外部共有方法は動画で紹介しています。