kintoneのテーブル内で別行の情報を参照した計算を実現!|自動車運送業 株式会社新共ロジテムさまのアプリ開発事例
エクセルでデータの集計・管理を行っている企業さまが、それらの業務管理をまとめて効率化するためにkintoneを導入するケースが増えています。
kintone移行後はエクセルと同様の計算ができるのが理想ですが、kintoneのテーブル(表)では他行を参照した計算ができません。
そのため、エクセルと同様の集計ができずエクセルに逆戻りしてしまったり、わざわざ手入力したりと、逆に手間がかかってしまうケースも少なくないのが現実です。
今回は、JavaScriptカスタマイズによってkintoneのテーブル内で別行の情報を参照した計算を可能にし、エクセル同様の集計を実現した株式会社新共ロジテムさまの事例を紹介します。
「kintoneのテーブル内の別行の情報を参照した計算をしたい」「kintoneでエクセルと同様に集計を行いたい」という企業さまは、是非ご覧ください。
目次
kintoneの標準機能ではテーブル内で別行の情報を参照した計算ができない
株式会社新共ロジテムさまは、北関東を拠点に、大手半導体メーカーの入庫や管理・保管、ピッキングから輸送業務などの物流業務を展開する企業さまです。
半導体に特化した管理技術を活かし、精密機器やOA機器、大型機械の輸送も行っています。
株式会社新共ロジテムさまは、従来エクセルで行っていた運行日報の作成・管理業務をkintone(キントーン)へ移行しました。
もともとの運行日報では、「入力したメーターの数値と、ひとつ前の行に入力されたメーターの数値を元に走行距離を算出」していましたが、kintoneの運行日報でテーブルを作成してみたところ、標準機能のままでは別行の情報を参照した計算ができず、エクセルと同じように走行距離を計算できないことがわかりました。
kintoneのテーブルは、エクセルにおける列(縦軸)が「顧客名」や「連絡先」「開始時刻」「終了時刻」などのフィールドと呼ばれる項目で構成されます。
例えば、「一つの行の中の終了時刻から開始時刻を引いて、実働時間を出す」といった「同じ行の中での計算」は可能ですが、以下のような「同じテーブル内の別の行の値を使った計算」ができません。
走行距離 = (N行目のメータの値) ー (Nー1行目のメータの値)
標準機能のままで走行距離を出したい場合には、同じ行の中に「前の行のメーター数値をコピーして入力する」か、あるいは「計算は別で行い、走行距離を入力する」必要があります。
いずれにしてもエクセルと同じ形では運行日報に記載する走行距離を自動的に算出できないため、エクセル管理のときよりも業務効率が低下してしまいます。
kintoneでも同様の計算をできるようにしたいと考えた株式会社新共ロジテムさまでは、JavaScriptでカスタマイズを行うことにしました。
JavaScriptカスタマイズでテーブル内の別行の情報を参照した計算を実現!
kintoneのテーブル内で別行の情報を参照した計算ができない課題は、JavaScriptカスタマイズによって解消できます。
ここでは、JavaScriptカスタマイズを選択した背景と走行距離の自動計算を実現した仕組みを解説します。
だれでも簡単に利用できる環境をJavaScriptカスタマイズで構築
株式会社新共ロジテムさまの今回の課題は、実はJavaScriptカスタマイズではなくてもkrewData(クルーデータ)のスケジュール実行プランで解消できそうでした。
krewDataとは、kintoneのアプリ間の集計ができるプラグインです。
スケジュール実行プランは、毎日〇時、週1回、月1回等、指定したスケジュールにしたがって自動的に設定したフローを実行します。
このプラグインを使えば、「前の行のメーターを参照して、走行距離を自動計算する」ことも可能です。
しかし、運行日報に記録する走行距離は、担当者が必要情報を入力したあと総務部がチェックを行うタイミングで計算されているのが理想です。
krewDataによって決まったスケジュールで自動集計されるとなると、「必要なタイミングで走行距離が計算されていない」というケースが発生する可能性があります。
もちろん、手動で集計フローを実行すれば即集計は最新化されますが、実行を忘れて集計から漏れてしまったり、フローを動かす際に誤ってフローそのものを修正してしまったりといった危険性もあります。
そのため、株式会社新共ロジテムさまが考える「確実に集計されるようにする」かつ「だれもが簡単に操作できる」環境を実現するためには、JavaScriptカスタマイズが適しているという結論になりました。
JavaScriptカスタマイズなら、ニーズに沿った柔軟な機能やアプリを構築できます。
ワンクリックで走行距離を計算・反映するスクリプトを作成
今回は、レコードの編集画面の画面右上に「走行距離計算」のボタンを設置しました。
ボタンをクリックすると、自動で「(N行目のメータの値) ー (Nー1行目のメータの値)」の計算を行い、N行目に走行距離を反映します。
以下の画像では、2行目の明細メータ「988,054km」から1行目の「987,935km」が引かれ、走行距離に「119km」が反映されており、正しく計算されていることがわかります。
※誤入力防止のため、走行距離のフィールドは編集できないようにしています。
この仕組みであれば、総務部は任意のタイミングでボタンをクリックして走行距離を計算できます。
JavaScriptカスタマイズでkintoneでもエクセル同様の集計が可能に!
株式会社新共ロジテムさまの課題は、JavaScriptカスタマイズによって解消され、kintoneでも走行距離を自動で計算できるようになりました。
また、ボタンをクリックするだけの簡単な運用になり、kintoneに慣れていない従業員でも計算ができるようになりました。
ただし、JavaScriptカスタマイズはアプリの設定変更やkintoneそのもののアップデートの影響を受けて急に動作しなくなったり、意図しない動作をしたりする可能性があります。
そのため、自社内での調整が難しい場合は、信頼できるパートナーに構築・アフターフォローを依頼することをおすすめします。
kintoneのテーブルを使いやすくするプラグイン
今回株式会社新共ロジテムさまではJavaScriptカスタマイズによってピンポイントに課題を解決しましたが、kintoneのテーブルをより使いやすくするにはプラグインという方法もあります。
ここでは、テーブルをさらに便利に使う際におすすめのプラグインをご紹介します!
無料のプラグインも多いため、気になった方は是非使ってみてください。
プラグイン | 概要 |
テーブル分割プラグイン | テーブルが横に長くなりすぎて見にくい場合、画面幅に応じて複数行に折り返して表示できる |
テーブルデータ一括編集プラグイン | レコード詳細画面に遷移せずに一覧画面からテーブル内のデータを直接編集できる |
関連サブテーブル一覧表示プラグイン | テーブル形式のデータを関連レコードとして表示し、集計できる |
項目選択フィールド連動各種設定プラグイン | ラジオボタンやチェックボックスなどの選択肢に応じて、関連するフィールドグループの表示・非表示や必須入力の切り替え、自動入力・自動コピーができる |
テーブルデータ一括表示プラグイン | 「表示する」ボタンをクリックせずにテーブル内容を表示できる |
テーブル拡張プラグイン | フィールドの並び替えや行のコピー・ソートおよび移動などができる |
エクセルから移行すると、kintoneのテーブルは使いにくさを感じることがあります。
そのようなときは、まずJavaScriptカスタマイズよりも簡単に導入できるプラグインを試してみるのがおすすめです。
プラグインを組み合わせることで、さらにテーブルを使いやすくすることが可能です。
テーブルを使いやすくするプラグインを含め、10個の便利なプラグインを紹介している記事もありますので、あわせてご覧ください。
▼無料で使えるkintoneプラグイン!効率化を実現するおすすめ10選
kintoneを活用してさらなる業務効率化を目指す
株式会社新共ロジテムさまは、JavaScriptカスタマイズによってテーブル内で別行の情報を参照した計算をできるようにしたことで、kintoneでもエクセルと同様の集計ができるようになりました。
コムデックでは、お客さまのニーズに合わせてその場でアプリを構築する「kintone対面開発」を提供しています。
「kintoneのテーブルを使いやすくしたい」「エクセルのようにテーブルを活用したい」という企業さまは、お気軽にお問い合わせください。
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