販売管理システムをkintoneと連携!集計・分析はkrewDashboardで見える化
kintoneはさまざまな業種のあらゆる業務に対応できる便利なツールですが、いくつか苦手なことがあります。
帳票印刷やアプリをまたぐ集計などがその代表例で、これらを補うためのプラグインが有料・無料問わずリリースされています。
それに加えて、「請求の締切」、「合計請求書の作成」といった、いわゆる販売管理システム(基幹システム)が持つ機能も、kintoneが苦手とすることの一つです。
もちろん、複数プラグインやアプリを組み合わせて販売管理システムをkintone化することは可能ですが、使い勝手が悪くなり逆に不便になってしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、請求締め切り等の機能は専用の販売管理システムに任せてデータをkintoneに自動連係することで、その後の売上集計や分析をkintone化したコムデックの事例をご紹介します!
目次
販売管理はkintone化できる?専用システムを使う理由とは
いままでに多くのお客様のkintone(キントーン)活用やIT化を支援してきたコムデックは、もちろん自社内でもkintoneを活用しています。
顧客情報の管理から始まり、お客様との契約情報の管理、案件管理、営業管理、売上管理、受注管理など、開発したアプリは数え切れないほどです。
いまやkintoneがなければ社内の業務が回っていかないほどにフル活用しているコムデックですが、それでも「kintoneを活用していない分野」がいくつかあります。
それは「勤怠管理」「会計や給与計算」「販売管理」の分野です。
勤怠管理と会計・給与計算については、法律に従った管理をする必要があったり、頻繁に法改正が発生したりするため、kintoneで実現しようとすると都度メンテナンスが必要になります。
それらの変更をキャッチアップし、自社内でアプリを開発するのはコストが見合わないため、専門のシステムで運用しています。
では「販売管理」はどうでしょうか?
kintoneはデータを柔軟に分析、集計が可能で優れた能力を発揮しますが、一方で、「販売管理業務」に必要な以下のような処理が標準機能では対応できません。
kintoneの標準機能では実装が難しい販売管理の機能
- 締め処理(合計請求書の発行)
- 請求書のフォーマットに合わせた印刷
- 取りまとめた金額に対する入金の消込
- 未入金分を繰り越し、自動的に翌月の請求書に反映させる
- 商品の販売に連動した在庫の変動
これらの機能に加えて、お引き落としによる請求がある場合、インターネットバンキングに登録するための引き落としデータ作成(全銀形式)などをkintoneで運用するのはかなりの手間がかかります。
もちろん、さまざまなプラグインを駆使すればkintoneで処理を行うことも可能ですが、現場でアプリを使うスタッフのオペレーションに負荷がかかり、逆に作業工数が増えてしまう可能性もあります。
一方で、販売管理の専用システムは販売管理を行うのに特化した最適なユーザーインターフェースを採用しているため、作業フローや操作が分かりやすく使いやすいという利点があります。
販売管理をkintone化しない理由については、こちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneと販売管理システムを連携!使いやすさと便利さを両立
販売管理とkintoneが独立……情報をkintoneに一元化したい!
これらの理由から販売管理システムのkintone化を見送っていたコムデックですが、その一方で販売管理のデータが独立していることでさまざまな業務上の不便が発生していました。
販売管理システムもクラウド化しているため、いつでも、どこでもデータの登録や閲覧は可能ですが、売上金額や受注金額を確認するためだけにその都度販売管理システムを起動しなければなりません。
加えて、販売管理システムの集計フォーマットは既定の集計と分析しかできないため、細かな分析や柔軟な集計をしたいときにはデータを一旦エクスポートとしてエクセルで改めて集計をしなおす必要がありました。
見積書の作成や受注伝票の登録、請求書の発行、繰越処理などのオペレーションは販売管理システムが使いやすいのですが、他のほとんどの業務がkintone化しているからこそ、売上や受注金額の集計や分析はkintoneで柔軟に実施したいというのが本音です。
集計や分析には、それの元となるデータが必要となります。
しかし冒頭で伝えたように、kintoneの機能だけで販売管理のシステムそのものを置き換えるのは現実的ではありません。
ここでポイントとなるのは、「合計請求書の発行や未入金分の繰り越しをkintoneで実施したい」わけではなく、あくまでやりたいのはそこから先のデータ分析だけということです。
必要なのはデータだけということであれば、複雑な販売管理のオペレーションは販売管理システムにまかせて、「結果」だけをkintoneに受け渡して、kintoneで集計・分析を行う運用を取ることができるのではないかと考えました。
kintone連携システムで受注伝票データを自動連係
外部のシステムからデータをkintoneに連携するには、いくつかの方法があります。
最も簡単な方法は、外部システムからCSVで書き出したデータを取り込むことですが、それでは都度手動での処理が必要になってしまいます。
そこで今回は、販売管理システムとkintoneをつなぐ「kintone連携システム」を活用して連携を行うことにしました。
kintoneのデータ連携についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneとデータ連携を行う4つの方法・おすすめサービス・拡張機能を紹介
kintone連携システムの特長は、「販売管理システム」「販売契約管理システム」「販売生産管理システム」などのシステムはそのままで、kintoneにリアルタイムなデータの値のみ受け渡すことができる点です。
そこから先の集計や分析はkintoneで実施するため、連携システムではあくまでデータを自動で登録・更新するだけの機能にとどめてあります。
既存のシステムを利用した仕組みのため、システムのリプレイスも不要で現場のオペレーションも変更がなく、分析のためにエクセルや別のシステムにデータを再入力する工数も不要になり、特段の負荷なく業務改善を進めることが可能です。
実際に販売管理システムから連携されたデータがこちらです。
登録された売上伝票のデータが自動的に登録されており、販売管理システム側で更新された際にはkintoneの登録データも自動更新されます。
少しだけシステムの中身の話をすると、販売管理システムの情報をkintoneへ連携するのにはコマンドラインツールcli-kintone(クリキントン)を使っており、この連携処理を定期的かつ自動で行うように開発しています。
cli-kintoneとは、kintoneのデータベースから簡単にデータを入出力できるツールです。
操作手順をファイルに記述(シェルスクリプト化)することで、決まった操作を好きなときに呼び出して実行できます。
接続する販売管理システムのデータベース、連携するkintoneアプリ、この連携で用いるcli-kintoneのシェルスクリプトを指定し、cli-kintoneのシェルスクリプトの中には連携するデータの項目を記載しています。
集計はkintoneで実施、Dashboardで分析しやすく
売上等のデータがkintoneに登録されたら、それ以降の処理はkintone内で進めることができます。
今回は販売管理からkintoneに連携されたデータを元に、krewData(クルーデータ)を使って自分たちが見たい切り口での集計を実施しました。
krewDataとは、複数のアプリにまたがる集計やデータの自動登録を実現できるプラグインです。
krewDataの活用により、それまでは「その時の最新のデータを販売管理システムから書き出して、エクセルで見たい形に集計」していたものが、自動的にリアルタイムな集計結果を確認できるようになりました。
さらにコムデックでは、krewDataだけではなくkrewDashboard(クルーダッシュボード)を用いて見やすくデータを表示しています。
krewDashboardとは、複数アプリのデータを連携集計して、リアルタイムに分かりやすくデータを表示できるプラグインです。
簡単な操作でグラフ作成やクロス集計が表示可能で、ワンクリックで複数のグラフ・表の絞り込みを行うことができます。
krewDashboardを活用して「商品ごと」、「商品分類ごと」、「得意先ごと」、「担当ごと」などの切り口で集計されたデータをタブを切り替えるだけで確認できるようになりました。
販売管理システムとkintoneを連携するメリットとは?
販売管理システムをkintone化することも不可能ではありませんが、無理にkintone化しようとしても構築の工数がかかったり、逆に現場のオペレーションが複雑になったりしてしまう恐れがあります。
そこでコムデックでは、販売管理システムが持つ機能はあくまでそのまま利用し、システムに登録されたデータだけをkintoneに自動連携することでデータ分析や集計はkintoneを用いて行う環境を実現しました。
これまでは売上や受注金額を確認するためだけに販売管理システムを開く必要がありましたが、現在ではkintoneだけでそれらの情報も閲覧できる状態になっています。
さらにkrewDataとkrewDashboardというプラグインを用いることで、さまざまな視点で集計・分析できる基盤が整い、経営の意思決定に必要な情報を一元管理できるようになりました。
販売管理システム側のデータが更新されればkintoneのデータも自動更新される一方、データの削除をしたときにはkintone側のデータが削除されず残ってしまうという課題はありますが、連携方法の変更で改善を検討中です。
kintone+αで長所を生かした運用を
kintoneは用途に合わせた柔軟なアプリ開発ができるシステムです。
しかし、専門特化した業務に関しては専用のシステムを用いた方が良い場合もあります。
全てをkintone化することが目的になってしまい、業務効率が低下しては本末転倒なので、既存のシステムの長所とkintoneの長所を活かす運用を検討しましょう。
「既存の販売管理システムを活かしながらデータを一元管理したい」、「経営に役立つデータをリアルタイムで入手したい」、「複数のシステムに分散したデータを一元管理したい」とお考えの事業者さまは、是非、一度、既存の販売管理システムとkintoneの連携を検討してみてはいかがでしょうか?
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