kintoneの日報・カレンダー管理アプリをJavaScriptカスタマイズで連携!複数レコードの自動集約・転記が可能に|建築業 株式会社ロッシュさまのアプリ開発事例
kintoneで日報やスケジュールを管理している企業さまは多くいらっしゃいますが、日報を書くときに「ほとんどカレンダーに登録したスケジュールとイコールなのに、イチから入力するのに手間がかかる」と感じたことはありませんか?
せっかく紙やエクセル、ホワイトボードを脱しても、kintoneの中で入力の手間が発生していてはせっかくの効果も半減です。
この他にも、kintoneの中で「こっちのアプリのレコードを取りまとめて、別のアプリに登録したい」といったケースは多々あるのではないでしょうか?
しかしそんな時、kintoneの標準機能では複数アプリを跨いだデータの転記や、複数レコードを自動で集約して別アプリに書き出すといった処理はできません。
それらを実現する有料プラグインもありますが、自社が本当にやりたい構築ができるかどうかはやってみないとわからない他、「たったこれだけのことをやるためにこの費用をかけるのはメリットが小さい」となるケースも……。
そんな時、解決方法の一つとして「JavaScriptによるカスタマイズ」があります。
JavaScriptでカスタマイズすれば「1日に複数登録されたスケジュールを取りまとめて、ひとつの日報データとして別アプリに自動登録する」ことができるため、転記作業なく業務を進められます。
今回の記事では、kintoneをJavaScriptによってカスタマイズすることで日報とカレンダーを連携してシームレスな業務進行を実現した建設業 株式会社ロッシュさまのアプリ開発事例を紹介します。
「kintoneで日報とスケジュールを管理しているけど、二重入力が発生している」「別アプリの情報を自動で集約・転記して、もっと効率的に業務を進めたい」とお考えの企業さまは、ぜひ最後までご覧ください!
目次
kintone化したのにスケジュール管理から日報への転記が必要…
株式会社ロッシュさまは、三重県津市に本社を構える建築業の企業さまです。
建物の建設からメンテナンスまでの「建設サービス」を展開しており、創業以来55年の経験と実績で培ったノウハウを活かして、お客さまごとのニーズに合わせたご提案・サポートを行っておられます。
株式会社ロッシュさまでは以前より「kintone(キントーン)」を導入されており、紙の日報をkintone化して運用していました。
kintoneはドラッグ&ドロップでアプリを作成できるため、専門家に頼らなくても自社でアプリを内製することができます。
しかし、運用を続けるうちに「もっとこうしたい」「こんなことはできないの?」といった要望も生まれます。
そういったご要望を解決するため、おすすめのカスタマイズをコムデックが実施しています。
前回実施したカスタマイズについては、こちらの記事で詳しく解説しています!
▼kintone伴走支援でアプリ作成・カスタマイズを実現!|建設業 株式会社ロッシュさまの伴走支援事例
今回も、そんなカスタマイズ事例のひとつ、カレンダーアプリの情報を元にした日報の自動作成についてご紹介します。
株式会社ロッシュさまでは、日々の業務のスケジュールをカレンダーアプリで管理していました。
アプリには「カレンダーPlus」というプラグインを活用し、業務の種類別に色分けをした見やすいカレンダーを実現しています。
カレンダーPlusについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼無料で使える!kintoneカレンダーPlusプラグインの使い方
そして、多くの企業さまがそうであるように、株式会社ロッシュさまでもカレンダーアプリでスケジュールを管理する一方、一日の終わりにはその日の業務を取りまとめた日報を作成していました。
この日報の登録が、株式会社ロッシュさまにとって大きな課題となっていたのです。
日報アプリにはその日一日に行った業務をとりまとめて登録するため、ほとんどスケジュール管理アプリに登録されている情報とイコールになります。
そのため、日報を登録する従業員の目線で見ると、カレンダーアプリと日報で二重入力が必要になっている状態でした。
標準機能でアプリ間の転記はできない?方法を模索
カレンダーと日報、二つのアプリの間でデータが自動、あるいはワンクリックで転記できればこの問題は解決できます。
そこで、カスタマイズを行う前に、まずは標準機能で解決できないかを検討しました。
kintoneの標準機能にはアプリアクションやルックアップという機能があります。
参照元のアプリのレコードと参照先のアプリのレコードが1対1の関係(参照したいレコードがひとつだけ)であれば、別アプリのレコードを参照したり転記したりすることは可能です。
しかし今回のケースでは、カレンダーアプリには1日に複数の予定が登録されている一方で、日報は「1日1データ(レコード)」にする必要がありました。
カレンダーに登録されている情報は「〇時〜〇時までこの仕事」が1レコード、日報は「今日は1日でこの仕事とこの仕事とこの仕事をやった」という取りまとめた情報を1レコードとして登録するため、単純に「カレンダーアプリに登録されたひとつのスケジュールを日報アプリに転記する」だけでは機能として不十分です。
また、アプリアクションやルックアップを使う場合、一件ずつ手動で実施する必要があるため、転記の手間としては以前とあまり変わりません。
それならいっそ「日報を別アプリにするのを辞めて、カレンダーアプリに登録されたスケジュール情報1件1件に日報の要素を加え、スケジュール管理と日報管理が同時にできるようにすればいい」と思うかもしれませんが、株式会社ロッシュさまでは日報を上長に申請し、承認してもらうというプロセス管理を実装していました。
もしカレンダーアプリに登録されたスケジュールを承認フローに流すと、それぞれの予定がバラバラになって上がってくるため「この従業員が今日1日でどれくらいの仕事をしたのか」が把握できないほか、上司が承認すべきレコードが大量になってしまうため非効率的です。
上司に承認してもらうなら、従来の日報のような「1日に行った仕事が1画面で確認できる」形式である必要があります。
そこで、これらの課題を解決するため、株式会社ロッシュさまではカレンダーアプリの複数レコードを集約して日報へと転記できるようにJavaScriptカスタマイズを実施しました。
JavaScriptは柔軟性が高く、ピンポイントで要望に合致したカスタマイズが可能です。
日報アプリとカレンダー(スケジュール管理)アプリを連携!
kintoneのJavaScriptカスタマイズで日報アプリとカレンダー(スケジュール管理)アプリを連携し、業務効率化を目指した株式会社ロッシュさま。
まずはJavaScriptによるカスタマイズで日報アプリに「カレンダーからデータ取得」のボタンを設置しました。
このカスタマイズによって、標準機能ではできなかった日報アプリとカレンダー管理アプリのデータ連携が可能になりました。
「カレンダーからデータ取得」のボタンを押下すると、「指定した日付」の「指定した担当者」のカレンダーデータから予定を取得できます。
kintoneのJavaScriptカスタマイズで日報とカレンダーを連携するメリットとは
kintoneのJavaScriptカスタマイズで日報アプリとカレンダー管理アプリを連携するメリットは、通常では実施できない便利な機能が実装できることです。
kintoneはプラグインや連携サービスを使うことでさまざまなカスタマイズが可能ですが、複雑な機能を追加したい場合は、これらだけでは難しい場合があります。
JavaScriptカスタマイズなら構築の柔軟性がより高く、自社の課題や要望に沿ったベストな機能の実現が可能です。
株式会社ロッシュさまでは、カレンダーに登録されている予定から日報のデータを作成することで、日報の登録コストの削減を実現しました。
日報アプリとカレンダー管理アプリの二重入力が不要になり、日報の精度があがったと好評です。
また、業務内容が転記されることで物件データとの紐づけが容易になり、物件情報を管理しているアプリから日報の内容を活動履歴として参照できるようになりました。
これまでは点でしか管理できていなかった情報が、kintone内で紐づけされることで活用できるようになったのです。
ただし、今回のアプリ間連携はJavaScriptによるカスタマイズ、つまりプログラミングによる機能追加のため、エラーが発生した場合にはデベロッパーツールを参照しないとエラー内容が確認できません。
自分たちでエラーの原因を特定して修正することが難しくなってしまうことはデメリットと言えます。
そこで、なるべくエラー発生のリスクを軽減するため、株式会社ロッシュさまではデータ更新は実装せず、取得だけに限定しています。
アプリ間の情報を自動転記して効率的に業務を進めよう!
kintoneは業務改善に役立つITツールですが、カスタマイズすることでより業務の効率化を実現可能です。
標準機能では手の届かない、自社が運用するうえであったらいいなと感じる機能を自在に追加できます。
カスタマイズの方法はプラグインが主流ですが、今回、株式会社ロッシュさまではJavaScriptカスタマイズで日報アプリとカレンダー(スケジュール)管理アプリを連携したことで、日報登録の手間を削減できました。
また、登録した日報が物件に活動履歴として紐づくことで、物件に対するアプローチが管理できるようにもなりました。
kintone上に日報データが蓄積されれば、担当者不在時の問い合わせにも、物件に対する活用履歴を確認することで、これまでより効率的に物件に対してアプローチができる想定です。
今回の株式会社ロッシュさまの事例のように、「アプリ間で自動でデータを転記できたら楽なのに」「こっちのアプリの情報を集約・集計して別のアプリに登録したい!でも標準機能では難しい…」という場合には、ぜひkintoneのカスタマイズをご検討ください!