kintoneで送付物管理、プラグインで帳票出力も実現|NISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さまのアプリ開発事例
近年では、業務の様々な面においてIT活用によるペーパーレス化が推奨されていますが、実際には書面が必要となるケースも多く存在しています。
特に、社労士等の士業においては、公文書など法律的な側面で書面での送付が要求されるケースも少なくありません。
確実に、抜けもれなく書類をお送りするためには、どの顧問先様にどの書類をいつお送りしたかを管理する必要があります。
加えて、書類をお送りする際には、書類そのものだけではなく必ず「送付状」をお付けするのがマナーです。
多くの士業さまでは送付状のテンプレートをお持ちかと思いますが、郵送する書類に合わせて都度送付状を作るのは、ちょっとしたことですが忙しい時ほど煩わしい手間と言えます。
今回は、送付物そのものの管理に加えて、送付先の住所を確認し、正式名称で宛名を記載し……という手間を、kintoneで解決した事例をご紹介します!
kintoneで「送付状の作成、帳票作成・帳票出力を効率化したい」、「書面送付の進捗管理を効率化したい」事業者さまは是非参考にしてください。
目次
郵送物が月に100件……送付状況の管理はエクセル
鹿児島県鹿児島市を拠点とするNISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さまは、「『たくさんの笑顔』のために、私達にできることは!?」をテーマに、障害福祉・介護・保育の開業・運営の支援を専門として、「福祉に関するコンサルティング」、「就業規則・人事評価制度の作成コンサルティング」、「給与・賞与計算手続きコンサルティング」を提供しています。
冒頭でお伝えした通り、士業において書類の送付は避けて通れません。
また、これらの書面は送付漏れや配送先の誤りなどミスがあってはならない重要な書類です。
ミスなく確実に顧問先様へと書類を届けるためには、それらの重要な書類を「いつ」、「誰が」、「どこの会社」の「誰宛」に、「どのような書類を送付したのか」を管理しなければなりません。
NISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さまでは、多くの社労士さまと同じようにエクセルを用いて送付物の管理を行っていました。
当時の送付物管理のエクセルはこちらです。
管理している情報自体はシンプルですが、エクセルという特性上最新情報への更新や共有と言った点で課題がありました。
それに加えて、お客様に書類を送る際の送付状の文面もエクセルで作成していました。
都度送る書類に合わせて送付状を作成する必要があるため、送付先が多くなればなるほど「書類を送るための準備」に時間がかかってしまいます。
これらの課題に対して、kintone(キントーン)を活用することで「いつ」、「誰が」、「どこの会社」の「誰宛」に「どのような書類を送付したのか」を漏れなく状況を管理し、ミスなく効率的に送付状を作成できるようにしたいと考えたNISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さま。
ここで、既にkintoneをご利用いただいている企業さまは「あれ?」と思われたかもしれません。
そう、kintoneは「印刷」や「PDF出力」があまり得意ではなく、送付状のような「決まった位置に決まった情報を配置して出力する」ことは標準機能では難しいのです。
kintoneは複数のデータを連携して一元管理し可視化できる便利なシステムですが、kintoneの標準機能ではレコードの詳細画面そのままの印刷になるため、郵便物の送付状として利用できないという問題があります。
そのため、kintone化を諦めてそのままエクセルを利用し続ける事業者さまや、印刷のたびにデータをkintoneから一旦エクスポートして、エクセルなどにデータをインポートして帳票出力しているケースもあるでしょう。
そんな時には、kintoneのプラグインを活用することで送付状の作成・印刷まで自動化・効率化を実現可能です。
次のセクションからは、どのようにアプリを構築したのかを詳しく解説していきます!
kintoneで郵送管理アプリを作成、テーブル形式で郵送物を登録
送付状の印刷までの一元化を目指し、NISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さまではまず従来のエクセルに相当する発送物を管理するアプリを作成しました。
「誰か」、「いつ」、「どのような方法で」送ったのかに加えて、「問い合わせ番号」を含めて登録することが可能です。
kintoneには、別アプリに登録された情報をキーとして、自動的に情報をコピーしてくるルックアップという機能があります。
今回のようなケースでは、ルックアップ機能を活用して顧客管理マスタにあたるアプリから「宛先名」をキーとして郵便番号や住所を参照してくる仕組みにするのが一般的です。
kintoneのルックアップ機能については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
▼kintoneのルックアップ機能設定方法、よくあるご要望を徹底解説!| コムデックラボ
ここで問題になったのは、ルックアップで別のアプリからコピーしてくるデータはあくまで参照であり、参照先のアプリのレコード内で編集することはできないという点です。
顧客管理のアプリには顧客の基本情報が登録されていますが、送付する内容によっては宛先を本社ではなく支店にしたり、代表者宛や担当者宛にしたりといったケースを考慮する必要があります。
そういった時、顧客マスタから参照してきた情報そのままでは宛先として適しません。
ルックアップ時にコピーしてきた項目を編集できるようにするプラグイン等もありますが、NISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さまでは送付頻度等を鑑みて直接入力する方式にしました。
普段、エクセルで直接入力しているときには問題にならないことも、kintoneでデータベース化して複数のデータと連携をする際は、実際に起こる頻度や運用の実態を考慮してアプリを構築することが大切になります。
逆に、郵送物管理のアプリ内でルックアップを活用したのは、送付状に印字する「お知らせ文」の部分でした。
書面に定型で記載するお知らせの文章に関しては、テンプレートのテキスト文章が収録されたマスタアプリを作成し、送付する書類にあわせてテンプレート文章の種類を選択する形式にしています。
お知らせ文の種類を選択すると、送付状印字用の備考欄に自動的に文章がコピーされるため、後述する「印刷用のフォーマット」はひとつでも、複数の定型文印刷に対応できます。
PDF出力はRepotonUを活用!FAX送付状も印刷
「いつ」、「誰が」、「どこの会社」の「誰宛」に「どのような書類を送付したのか」を管理できるアプリができたら、続いて同じアプリから送付状を印刷できるように設定を進めました。
送付状に必要なデータはアプリ内に揃っている状態なので、あとは「送付状フォーマットのどの位置にどの情報を印字するか」を指定して、所定の書式で印刷する必要があります。
kintoneからPDF出力や印刷ができるプラグインは多々ありますが、今回はRepotonU(レポトンユー)を導入しました。
RepotonUは、kintoneで管理しているデータをPDFやエクセル形式帳票に出力するプラグインです。
見積書、請求書、各種報告書などのあらゆる帳票書面に対して、直感的な操作で帳票をデザインできます。
月額課金制の機能プランや、機能を絞ったライセンス買い切りのプランなどの複数のプランが用意されているため、今回は買い切りプランを採用。
詳細画面上部の「送付状作成」ボタンをクリックするとPDFが出力されるように設定しました。
RepotonUを使って、kintoneから実際に出力した帳票がこちらです!
エクセルで作成していた時とそん色ない送付状が出来上がっています。
これまでは、郵送物管理のエクセルと送付状、それぞれが独立した状態になっており、情報入力も二度必要でした。
しかし、kintoneとプラグインを活用することで、一度の入力で郵送物の管理と送付状の印刷の両方をスムーズにおこなえるようになったのです。
また、今回の送付状と同じ仕組みを使い、FAXを送る際の送付状についてもkintoneから出力できるようにしています。
ひとつ利用方法がわかると、社内で同じ仕組みを転用して業務効率化を図ることができるのも、kintoneのメリットです。
「誰にいつどの書類を送ったか」をkintoneでしっかり管理+帳票印刷で効率化
今回ご紹介したNISHIDA OFFICE社会保険労務士法人・行政書士法人さまの事例では、今までエクセルで管理をしていた、「いつ」、「誰が」、「どこの会社」の「誰宛」に、「どのような書類を送付したのか」などの書類の送付状況管理をkintone化しました。
また、郵送用の送付状の作成と出力をkintoneのルックアップ機能やプラグインRepotonUを活用して、手間なくワンクリックで出力できるようになりました。
RepotonUで書類を作成するという仕組みを応用して、それまでワードで都度作成していたFAXの送付状作成と出力もkintone化しています。
この郵送管理アプリの実装で、重要書類の送付ミスの防止や、自動化による作業工数の削減など大幅な業務効率化に成功しました。
今後は、さらなる業務効率化に向けてkintoneの活用範囲を広げ、給与計算の業務や諸手続きの管理もkintoneで一元管理できるように計画をしているとのことです。
「送付状の作成、帳票作成・帳票出力を効率化したい」、「書面送付の進捗管理を効率化したい」とお考えの事業者さまは、是非、一度、kintoneを用いたシステム構築を検討してみてはいかがでしょうか?
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