Dropbox連携でレセコンの患者情報をkintoneと自動同期|訪問歯科診療 ナカハマデンタルさまのアプリ開発事例
病院や診療所、薬局では、診療報酬を請求するためにレセプト(診療報酬明細)を作成します。
最近はほぼ全ての医療現場でレセコン(レセプトコンピューター)が導入されており、紙からデジタルへの移行が進んできました。
ただ、レセコンが管理できるのは患者の診療に関する情報が中心となるため、スケジュールやタスク、在庫など直接診療に関係しない情報の管理には、別の業務管理システムを使っていらっしゃる医院さまが多いのではないでしょうか。
この場合、患者情報のように両方のシステムで共通して必要な情報は、それぞれで登録や更新をしなければならず、メンテナンスに苦労している方も少なくありません。
そこで今回は、レセコンとkintoneの連携を実現した訪問診療専門の歯科医院ナカハマデンタルさまのアプリ開発事例を紹介します。
「患者情報と業務管理システムを連携して、登録や更新を1回で済ませたい」とお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
kintoneとレセプトコンピューターの併用で、患者情報のメンテナンスが大変…効率化したい!
ナカハマデンタルさまは、通院が困難な患者さまを対象に、歯科医師やスタッフが自宅や施設に訪問して診療を行う歯科医院さまです。
三重県津市に2つの拠点を構え、車を使ってそれぞれのエリアで訪問診療を実施されています。
持ち運び可能な診療器具やレントゲンを使うことで、自宅や施設に居ながら一般的な歯科医院とほぼ同等の治療を受けられるのがメリットです。
ナカハマデンタルさまでは、訪問診療スケジュールの管理にkintone(キントーン)を導入され、業務の効率化を実現されています。
kintoneの導入によってスケジュール管理は便利になりましたが、今度はスケジュール管理にも必要な患者情報のメンテナンスに関して、新たな課題が出てきました。
ナカハマデンタルさまでは、レセコンとkintoneをそれぞれ独立して運用されています。患者情報はどちらのシステムでも使うため、新規登録や変更があれば、両方のシステムでメンテナンスをしなければなりません。
手入力ではなくCSVデータを使ったデータの取り込みはできるのですが、その場合は次のような作業が必要でした。
<CSVで連携する場合の手順>
- レセコンの患者情報をCSVで出力する
- 生年月日や診療開始日など日付の表示形式をkintoneに取り込めるように変換する
例:2024年1月1日であれば「20240101」→「2024/1/1」 - 老人ホームのような施設に入所している患者の施設名は、kintoneの「施設マスタ」をルックアップするため、登録の有無を手作業で検索して確認・反映する
- kintoneでCSVを読み込む
このように、CSVを使った連携ではデータの加工に手間がかかるうえ、誤って患者情報を取り込むとkintoneが上書き更新されてしまう恐れもありました。
そこでナカハマデンタルさまでは、患者情報をミスなく効率的に同期するため、レセコンとkintoneを連携する方法が無いかを検討することになったのです。
Dropboxに保存したレセコンのデータを、krewDataで自動的に同期させる
ナカハマデンタルさまでは、レセコンとkintoneを連携するために、レセコンから出力した患者情報をDropbox(ドロップボックス)に保存して、krewData(クルーデータ)を使って自動で同期させるという方法を採用されました。
ここからは、連携に使ったツールや連携方法について詳しく解説します。
Dropboxとは
Dropboxは、GoogleドライブやiCloudと同じクラウドストレージサービスです。インターネット上のデータ保管庫で、PDFや写真、動画などを含むあらゆるファイルを保管でき、複数人で安全に共有できます。
ナカハマデンタルさまでは以前からDropboxを利用されていたため、レセコンから出力した患者情報のCSVもDropboxに保存することにしました。
krewDataとは
krewDataは、kintone上の複数アプリにまたがるデータを集計・加工したり、レコードを自動登録したりできるプラグインです。プログラミングの知識が無くても、パズル感覚で直感的に集計の仕組みを構築できるのが特徴で、krewDataを使えば売上の予実管理や在庫管理、請求管理など、定期的に繰り返す集計作業を自動化できます。基幹システムや外部SaaS、エクセルなどとも連携できるので、あらゆる業務の効率化が期待できます。
クラウドストレージとkintoneの連携方法
DropboxとkrewDataを使ったレセコンとkintoneの連携は、次のような手順で進めました。
①レセコンから出力した患者情報のCSVと、kintoneの患者情報を比較し、どのような加工が必要かを整理する
②Dropboxに保存したCSVを、krewDataで読み込むよう設定する
このとき、読み込みが終わったCSVは自動的に別フォルダに移動させることで、常に最新のCSVを読み込めるように設定しておくことで、読み込まれたデータがフォルダに残り続け、誤った情報で更新されてしまうというリスクを回避することができます。
③krewDataで、連携時に必要な加工を1つずつ設定する
今回は、以下のデータ加工をkrewData内で実施しています。
- 日付の表示形式を「20240101」から「2024/1/1」に変換する
- すでにkintoneに登録されているデータは更新しない
- 老人ホームのような施設に入所している場合は、施設名がkintoneの施設マスタに登録されているかをチェックする
この仕組みの構築により、1日1回、担当者がレセコンから出力したCSVをDropboxに保存し、krewDataの実行ボタンをクリックするだけで、患者情報を同期できるようになりました。
はじめにレセコンとkintoneのデータ形式の違いをしっかり把握しておけば、あとは加工したい内容を1つずつ設定するだけで簡単に自動化が実現できます。
kintoneとDropboxを連携するメリット
今回、krewDataを使ってkintoneとDropboxを連携したことで、CSVを手で加工するのに比べて、格段に速く・正確にデータを同期できるようになりました。
これなら、誤って取り込んだ患者情報でkintoneのデータを上書きしてしまう心配もありません。
また、施設マスタの登録の有無を確認する作業も、kintoneで1件ずつ検索するのは現実的に困難ですが、krewDataが機械的にチェックしてくれるので一瞬で終わります。
施設マスタに登録がないデータは別のアプリの一覧で確認できるようになっているため、その一覧を見て施設マスタへ登録する作業だけは人の手で行っています。
krewDataの実行については、1日1回決まった時間に、DropboxにCSVファイルが保存されていたら自動で動作させることも可能ですが、krewDataのスケジュール実行の設定数に制限があるため、現時点では手動で実行ボタンを押す運用にしています。
kintoneはクラウドストレージ連携でさらに便利に!
ナカハマデンタルさまでは、kintoneとDropboxを連携したことで、患者情報の同期を速く・正確にできる仕組みを実現されました。
さらにRPAを使えばレセコンのCSV出力からkintoneへの同期まで全工程の自動化もできそうなので、今後の業務効率化の可能性が広がったとのことです。
kintoneは、クラウドストレージや外部ツールとの連携性が高いことも魅力の1つです。CSVによるデータ連携で課題をお持ちの方は、ぜひシステム連携を検討してみてください。
株式会社コムデックでは、お客様のお悩みをお聞きして、その場でkintoneアプリを構築する「対面開発」を行っております。
アプリを作ってお渡しするだけでなく、開発の過程も一緒にご覧いただくことで、メンテナンス方法が習得でき、今後のアプリ開発も自社で内製化できるようになるのが、対面開発のメリットです。
業務フローの見直しからお手伝いすることも可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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