扶養人数が変更された際に給与計算はどうする?変更タイミング・数え方についても解説
結婚や出産などにより、従業員の扶養人数が変更されることは珍しいことではありません。
扶養人数は所得税の額に影響を与えるため、給与計算を行う際に意識しておかなければいけないポイントの1つです。
扶養人数が変更となった場合、給与計算には具体的にどのような影響があるのでしょうか。
また、扶養人数の変更は、どのタイミングで給与計算に反映すべきなのでしょうか。
この記事では、扶養人数の変更と給与計算の関係について、扶養人数によって所得税の金額がどう変わるのかなどの具体例を解説します。
この記事を最後までご覧いただければ、扶養人数に変更があった従業員の給与計算に頭を悩ますことはなくなるでしょう。
この記事でわかること
- 扶養人数が考慮される給与計算の項目
- 扶養人数と具体的な所得税の金額
- 扶養人数の変更に対応するためのクラウド型給与計算ソフト
こんな人に向いている記事です
- 扶養人数と給与計算の関係を知りたい方
- ミスなく効率的に給与計算を行いたい方
目次
給与計算において扶養人数が考慮される項目
給与計算の項目のうち、扶養人数が影響を与えるのは、所得税と社会保険料の2点です。
ただし、金額的に影響があるのは所得税のみとなります。
ここでは、これら2つの項目と扶養人数にどのような関係があるのかを具体的に解説します。
所得税
労働者が納める所得税の額は、扶養人数によって変化します。
12月31日時点での扶養親族1人ごとに扶養控除が適用され、扶養人数が多いほど所得税の額は低くなるためです。
例えば、16歳以上19歳未満の子どもであれば、1人当たり年間38万円の扶養控除を受けることができます。
給与計算では、毎月の給与から源泉所得税を差し引きます。
源泉所得税は、年間の所得税額を見積もった金額を月割りしたものです。
そのため、扶養控除により年間の所得税額が低くなると、源泉所得税の額も低くなります。
つまり、年の途中で扶養人数が増えると月々の源泉所得税の額は低くなり、扶養人数が減ると月々の源泉所得税の額は高くなるということです。
社会保険料
日本の社会保険制度では、被保険者の扶養親族と認められれば、社会保険料を負担することなく保険証を利用することができます。
扶養親族の範囲は、配偶者及び3親等内の親族です。
社会保険料の額は、被保険者の給与の額を基準として決まります。
そのため、扶養人数が変わっても社会保険料の額は変わりません。
届け出は必要ですが、扶養人数の変更があっても給与から控除する社会保険料額は従前の通りとなります。
【具体例】扶養人数と所得税の金額
扶養人数の変更で給与の額に影響するのは所得税の金額ですが、人数の変更で具体的にどのように変化するのでしょうか。
ここでは、扶養人数と所得税の金額について具体例をもとに解説します。
人数による金額の変化
社会保険料等控除後の給与の額が30万円の人を例にすると、扶養人数と源泉所得税の金額は次のようになります。
扶養人数 | 月の源泉所得税 | 年間の源泉所得税 |
0人 | 8,420円 | 101,040円 |
1人 | 6,740円 | 80,880円 |
2人 | 5,130円 | 61,560円 |
3人 | 3,510円 | 42,120円 |
扶養の人数に変更があっても、月々の源泉所得税の額は数千円程度の差です。
しかし、それが年間で積み重なると数万円の差となるため、扶養人数の変更が給与の額に与える影響は決して小さなものではありません。
例えば、扶養人数が1人であるとして源泉所得税を納めていた従業員が、子どもの独立などで扶養人数が0人になると、年末調整で約2万円の不足分を負担しなければならなくなります。
扶養の人数に含まれる対象者
源泉所得税計算時の「扶養親族等の数」に含まれる対象者は、原則として次のどちらかです。
- 源泉控除対象配偶者
- 控除対象扶養親族
源泉控除対象配偶者は、本人と生計を同じくする配偶者で、本人の年収が1120万円以下、かつ配偶者の年収が150万円以下という要件を満たす場合に扶養人数としてカウントされます。
控除対象扶養親族は、本人と生計を同じくする16歳以上の親族で、年収が103万円以下の者のことです。
源泉控除対象配偶者は1人ですが、控除対象扶養親族は、子どもや同居の親族など人数に限りはありません。
配偶者控除について、よく103万円の壁、106万円の壁、130万円の壁、201万円の壁という言葉を耳にしますが、所得税の扶養控除に関わるのは103万円と150万円、そして201万円です。
本人の年収が1120万円以下のケースで解説します。
配偶者の年収が103万円以下の場合…配偶者控除(38万円)を受けることができる 配偶者の年収が150万円以下の場合…配偶者特別控除を満額(38万円)受けることができる 配偶者の年収が150万円を超える金額~201.6万円未満の場合…金額に応じた配偶者特別控除(36万円~3万円)を受けることができる 配偶者の年収が201.6万円以上の場合…扶養控除対象外 |
例えば、本人の年収が1000万円で、妻は専業主婦、子どもは16歳と10歳の2名という家族では、扶養親族は2人となります。
10歳の子どもは控除対象扶養親族とならないためです。
同じ例で、妻の年収が300万円の場合、妻は扶養から外れるため扶養親族は1人となります。
なお、障害者が含まれる家族においては、別途扶養人数の加算についてのルールがあるため注意が必要です。
扶養人数変更のタイミング
扶養人数の変更があった場合、給与計算における源泉所得税の金額は、いつから変更すれば良いのでしょうか。
この点について、法律などでの決まりはなく、年末調整で金額の調整を行えば問題がないことになっています。
所得税の扶養控除を受けられるのは、その年の12月31日の時点で扶養に含まれる者であるため、年末調整のタイミングで人数の変更が反映されていれば、その年の扶養控除の計算に反映させることができるためです。
ただし、扶養人数が減った場合に、月々の源泉所得税の額を低いままにしておくと、年末調整で給与から大きな金額を差し引く必要が出てきます。
そのため、扶養人数の変更が確定した場合には、なるべく早いタイミングで源泉所得税の額に反映させるのが良いでしょう。
扶養の人数変更に対応するにはクラウド型給与計算ソフトの導入がおすすめ
扶養人数の変更と給与計算の関係について解説してきましたが、扶養対象者の年齢や年収によって控除の対象となるかどうかや金額が変わります。
また、所得税法上の扶養に含まれる場合でも社会保険上の扶養には含まれない場合がある等、管理はより複雑です。
そんな扶養人数の変更に簡単に対応するためには、クラウド型給与計算ソフトの利用が効果的です。
クラウド型給与計算ソフトのなかでも、コムデックがおすすめしているのは「マネーフォワードクラウド給与」です。
マネーフォワードクラウド給与であれば、子どもの年齢も考慮して自動的に源泉所得税の額を計算してくれます。
子どもの生年月日さえ登録しておけば扶養人数に含まれるか否かの判断はソフトが自動的に行うため、見落としやすい子どもの年齢による扶養人数の変更が漏れる心配がありません。
クラウド型給与計算ソフトを導入することは、扶養人数の変更への対応以外でも、多くの利点があります。
給与計算の担当者を増やす、給与計算を外注するなどの方法より費用を抑えて正確な給与計算が可能となります。
また、マネーフォワードクラウド給与であれば、給与や扶養者の情報をそのまま活用してマネーフォワードクラウド年末調整を利用することができます。
紙を配る必要もなく、従業員自身が保険料等の情報を入力してくれるため、年末調整業務を大幅に効率化することが可能です。
扶養人数と給与計算のルールを把握しよう
扶養人数の変更は、給与計算における源泉所得税の額に影響を与えます。
年末調整で還付または追徴を行えば年間の金額としては合致しますが、月々の給与額にも影響を与えるものとなりますので、扶養人数の変更があった場合にはなるべく早く給与計算に反映させるのが望ましいでしょう。
子どもの年齢などによる扶養人数の変更は、ルールを理解していても見落としがちなものです。
扶養人数の変更に的確に対応し、正確かつ効率的な給与計算を行うにはクラウド型給与計算ソフトの導入をおすすめします。
給与計算業務で不安をお持ちの方は、ぜひ一度、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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