管理会計システムとは?導入による効果と選ぶポイントを徹底解説
自社の経営状況を把握するためには、「管理会計」による会計情報の分析が必要不可欠です。
管理会計に必要なデータの集計やグラフ化、分析をエクセルで行う企業さまも少なくありませんが、それらを手動で実施するには手間と時間がかかります。
『管理会計を効率化し、分析結果を元に今後自社がどのような戦略を取っていくべきかを考える方に時間を使いたい……!』そんな時には「管理会計システム」の導入がおすすめです。
この記事では、管理会計システムの機能、導入メリットと選ぶポイントを解説します。
予実管理や会計情報の分析などの機能を活用し、経営分析・会計業務を効率化して自社の戦略アップデートを目指しましょう。
この記事でわかること
- 管理会計システムの役割と機能について
- 管理会計システムの導入で得られる効果
- 管理会計システムを選ぶポイント
こんな人におすすめの記事です
- 管理会計システムについて詳しく知りたい方
- 管理会計システムを導入することで得られる効果を理解したい方
- 管理会計システムの選び方を知りたい方
目次
管理会計システムとは
そもそも管理会計とは、自社が経営管理の改善に活かすためにまとめる社内向けの会計情報のことです。
全企業が一定のルールに基づいて行う財務会計とは異なり、経営層が経営における意思決定や業績管理に活用するために用いられる自社独自の指標になります。
「自社の経営情報を把握し、今後の戦略を検討するための会計」になるため、集計・見える化すべき情報は各社異なります。
以下にご紹介するのは、管理会計で見るべき情報の一部です。自社の管理会計の参考にしてみてください。
- 予実管理:自社の利益目標を達成するために、期初の予算管理・期末の実績を分析して評価する
- セグメント別損益管理:サービス・部門・製品などのセグメントに分けて損益を算出し、自社における効率的な事業体制構築を目指す
予算管理もセグメント別損益管理も、自社の売上向上・損失拡大の回避・コスト削減において欠かせない視点です。
そして管理会計システムとは、予算管理やセグメント別の損益管理をサポートする会計システムのことを指します。
手間がかかりがちな管理会計に最適なシステムを導入することで、効率的かつ効果的に会計情報を分析・可視化できます。
管理会計はエクセルでもできるが手間がかかる
規模の小さい企業さまであれば、管理会計(予実・セグメント別の集計と管理など)はエクセルでも可能です。
エクセルは自由度が高いため、自社の運用に合ったフォーマット作成も難しくありません。
しかし、エクセルによる管理会計の運用には以下のようなデメリットがあります。
- 会計情報を手入力する必要があり非効率
- 手入力によるミス・漏れのリスクがある
- 属人化しやすく、異動や退職にともなって運用が立ちゆかなくなるリスクがある
経理・会計部門の負担軽減を考慮すれば、管理会計システムの導入がおすすめです。
最適なシステムを活用すれば、手入力の大幅削減による業務効率化を実現できます。
財務会計システムとの違い
企業の会計には、管理会計のほか「財務会計」も存在します。
財務会計とは、企業外部(利害関係者)に情報を開示するために必要な会計であり、財務会計システムはこの運用をサポートするものです。
伝票の入力や会計帳簿・試算表・財務諸表作成を主な機能としており、一般的な会計システムはこちらにあたります。
簡単に言うと、管理会計は「社内向けの会計情報」、財務会計は「社外に情報開示するための会計情報」となります。
それぞれ必要な機能が異なるため、システム導入時には「自社の業務効率化に必要な機能はなにか」という点を考慮しましょう。
財務会計システムについては、以下の記事で詳しく解説しています。
▼財務会計システムとは?主な機能と導入のメリット・デメリットを解説
管理会計システムの主な機能
管理会計システムの主な機能は以下のとおりです。
- 予実管理:企業の予算・実績の管理
- 帳票作成・管理:経営における関係書類の作成と管理
- 会計情報の分析・シミュレーション:店舗・部門ごとのデータを分析
- レポート:分析したデータの可視化を実現するレポートの作成
管理会計システムには、集計・分析に役立つ機能が多数搭載されています。
会計情報の取得だけでなく、帳票作成やデータの分析、経営層がひと目で経営状況を把握できるレポート作成の機能など、幅広く対応しているのが特徴です。
管理会計システムのタイプ
管理会計システムは、主に3つのタイプに分類されます。
- 経営管理に幅広く使えるタイプ
- 予実管理に特化したタイプ
- 財務会計ソフトに管理会計の機能が搭載されているタイプ
タイプによって、それぞれ異なる特徴・メリットがあります。
例えば、経営管理に幅広く使えるタイプには会計情報の分析機能のほか、各種テンプレートやデータの自動送信など、経営における利便性の高い機能が多数搭載されています。
予実管理に特化したタイプは、他システムとの連携でデータ収集や進捗管理、データ分析が容易といった点が特徴です。
一方、財務会計ソフトに管理会計の機能が搭載されているタイプには、財務会計のデータをそのまま利用できるため低コストかつ導入ハードルが低いなどのメリットがあります。
どのタイプが最適かはその会社が管理したい内容によって異なります。
企業規模やシステム管理のしやすさなど、自社が最も知りたい情報は何なのか、何をしたいのかを念頭に選ぶことが大切です。
管理会計システムの導入で得られる効果・メリット
続いて、管理会計システムを導入することでどんなメリットがあるのかを解説します。
管理会計と言うと難しく聞こえますが、「今自社の状態が良いのか悪いのか」を判断し、「それを元に次にどんな手を打てばいいのか」を考えるためのツールが管理会計です。
企業の成長に欠かせない効果ばかりなので、以下を参考に管理会計システムの導入を検討してみてください。
管理会計業務の効率化
管理会計システムの導入による効果は、管理会計のためのデータ入力や集計・グラフ化にかかる時間を削減できる点です。
自社をより良く、言ってしまえば「利益を増やす」ための取組が管理会計になるので、その管理会計そのものに時間を取られ非効率な状態になっていては本末転倒です。
管理会計システムでは、以下のような機能を活用することで管理会計業務にかかる工数・時間を大幅に削減できます。
- クレジットカード・銀行口座とのデータ連携
- 自動仕訳
- レポート作成
管理会計のためには、まず正確な仕訳で資金の動きを可視化しなくてはなりません。それを助けるのがデータ連携機能と自動仕訳機能です。
さらに、それらの情報を元に自動的に集計・分析をしてくれる機能があれば、わざわざエクセルに書き出し・入力をしてグラフ等を作らなくても良いため、業務を大幅に効率化できます。
コムデックのおすすめするマネーフォワードクラウド会計なら、上記すべての機能を利用可能です。
データ連携で手入力がほとんど不要になるため、人為的ミスやチェック、修正といった工数の削減を実現します。
さらに、以下のような管理会計で見るべき数値を自動的に算出してくれるため、通常通りの会計処理を行うだけで自動的に管理会計まで網羅することができるのです。
リアルタイムで経営状況を把握できる
管理会計システムを導入すれば、リアルタイムで経営状態を把握できるようになります。
システムが日々の仕訳データをもとに各種帳票を自動作成するため、社内向けの会計情報がひと目でわかります。
また、マネーフォワードクラウド会計なら資金繰り・収益レポートなどの作成にも対応しています。
経営に役立つレポート機能が多数搭載されているため、自社の経営状態を容易に把握できます。
的確な経営管理に有効
管理会計システムの導入によって、「セグメントごとに評価する」「財務諸表の数値をもとに定量的に分析する」など、適切な経営判断に役立てることができます。
管理会計システムの多角的な収益管理、分析・レポート機能の活用で、スピーディかつ正確な経営判断につなげることが可能です。
管理会計システムを選ぶときのポイント
続いて、管理会計システムを選ぶときのポイントを紹介します。
帳票の対応範囲や分析単位の細かさなど、自社の業務効率化に欠かせない機能が搭載されているシステムを選ぶのが大前提にはなりますが、それを踏まえた上でさらに注意したいポイントは4つです。
数値に整合性をもたせてシステム移行できるか
社内で導入している会計システムがある場合、システム移行時に部門・取引ごとの数値に不整合が生じるケースがあります。
各数値に整合性がないと、経営判断に役立てられるデータ分析ができません。
そのため、管理会計システムを選ぶときは、数値に整合性をもたせてシステム移行できるかという点に注意しましょう。
マネーフォワードクラウド会計なら、他システムからのデータ移行をスムーズにおこなうことができます。エクセルをはじめ、表計算・主要会計ソフトで仕訳を簡単に取り込むことが可能です。
経営層が見やすいレポートを作成できるか
管理会計システムを選ぶときは、経営層が見やすいレポートを作成できるかどうかという点も重要です。
担当者がレポートを作成して経営者に提出する場合も多いため、作成者以外が見ても視覚的にわかりやすくまとめる必要があります。
マネーフォワードクラウド会計では、色・グラフ付きで見やすいレポートが作成できます。
管理会計システムの目的である「的確な経営の判断材料」として活かせるレポートを作成可能かという点に注目し、システムを比較・検討しましょう。
他システムとの連携・機能の拡張に柔軟に対応できるか
他システムとの連携・機能の拡張に柔軟に対応できるかという点にも注意しましょう。
例えば、銀行口座やクレジットカードと連携できれば、明細取得が容易かつデータの自動入力が実現します。
また、給与計算システムや経費清算システムと連携することで経理業務を大幅に効率化できるため、自社が求める機能・サービスに対応しているかどうかもチェックしておいてください。
クラウド型かパッケージ型か
管理会計システムを選ぶときは、利用形態にも注目しましょう。
クラウド型は、インターネット環境があれば操作するデバイス・場所を選びません。そのため、テレワークにも対応可能です。
また、会計業務で入力ミスが発生しやすい税制改正時には自動でシステムをアップデートしてくれます。
一方、パッケージ型のメリットは「オフラインで操作できる」という点です。
しかし、手動でのバージョンアップ・保守運用に手間とコストがかかるというデメリットがあります。
自社の経理・会計部門の業務効率化を実現したいなら、常に最新の状態で利用できるクラウド型の管理会計システムがおすすめです。
自社に合った管理会計システムを導入して経営に役立てよう!
管理会計システムを選ぶなら、当然ですが自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。
管理会計システムを活用すれば、「数値を管理するための業務」にかかる時間を削減し、本来の目的である自社の経営戦略の検討に時間をかけることができます。
もし今御社が経営に必要な数値をエクセルで管理されているようであれば、管理会計もできる会計システムを導入されてみてはいかがでしょうか?