条件分岐処理プラグイン応用編!アプリ間更新でkintoneの入力を効率化|株式会社松村製作所さまのアプリ開発事例
kintoneにはプラグインが豊富にありますが、その中でも多くの企業さまで使われているのが「条件分岐処理プラグイン」です。
「特定の項目が条件に合致した時に自動的に処理を行う」ことができるので、入力補助やエラーチェックなどで重宝されています。
他にも、条件分岐処理プラグインは複数アプリをまたぐデータ登録・更新にも使うことができます。
あるアプリにデータが入力されて、そのレコードが特定の条件を満たしていたら別のアプリにも自動で反映する、という使い方です。
本記事では、条件分岐処理プラグインを活用して、kintoneのアプリ間連携を自動化した株式会社松村製作所さまの事例を紹介します。
データ入力の手間を減らしたいとお考えの方は、是非ご覧ください。
目次
複数のアプリに同じことを何度も入力するのが手間…別アプリの情報を参照して自動入力できないか?
東京都昭島市に本社を構える株式会社松村製作所さまは、60年以上にわたり踏切で使われる警報灯や駅の行先案内表示板などを製造されている板金加工業者さまです。
株式会社松村製作所さまでは、以前から生産管理にkintone(キントーン)を導入されています。
具体的な使い方としては、お客さまから受注が入ったらまず「部品登録管理アプリ」に入力し、次に検査担当者が部品登録管理アプリの内容を確認しながら「塗装」や「素地」といった処理の種類別に「処理依頼登録アプリ」に登録して、アプリの内容に基づいて製品を作るという流れです。
何故処理別にデータを分けなければならないのかというと、処理内容によって依頼する業者が変わるため、それぞれの業者宛の依頼書を作る必要があるためです。
部品登録管理アプリと処理依頼登録アプリはそれぞれ管轄が異なるアプリですが、取引先名や工事番号、製品情報など重複する項目が多く、同じことを2回入力する手間がかかります。
わざわざ同じことを2回入力しなくても、「部品登録管理アプリ」に入力したら自動で「処理依頼登録アプリ」にも反映できればデータ入力の手間を省くことができると考えた株式会社松村製作所さまは、kintoneのプラグインを活用して自動登録の仕組みを構築することにしました。
kintoneのカスタマイズにはプラグイン必須!有料・無料それぞれおすすめのプラグインとは?
プラグインとは、標準機能ではできないことを可能にするために、機能を拡張する追加ツールのことです。
kintoneには豊富なプラグインがあり、無料で使えるものもたくさん公開されています。
今回は有料の「krewData(クルーデータ)」と無料の「条件分岐処理プラグイン」という2つのツールで実装を試みました。
【有料プラグイン】アプリ間のデータを自動集計!krewDataの特徴
krewDataは、複数のkintoneアプリにまたがるデータを自動で集計・加工するための有料プラグインです。
プログラミングの知識が無くても、直観的な操作で集計フローを設定できます。
数値だけでなく、文字列や日時、テーブル、チェックボックスなど、あらゆる形式のデータに対応しているのが特徴です。
また、krewDataは自動集計を実行するタイミングによって、「スケジュール実行プラン」と「リアルタイム実行プラン」が選べます。
「スケジュール実行プラン」は、「毎日8時」や「毎月末」のように、あらかじめ設定したスケジュールで定期的に実行するものです。
一方の「リアルタイム実行プラン」では、「レコードを更新したとき」のように、任意のタイミングで実行できます。
エクセルや基幹システムとも連携できるので、さまざまな業務の効率化に役立つプラグインです。
例えば、業務の特性に応じてプランを選ぶことで、次のような作業を自動化できます。
<krewDataの活用例>
- 支店ごとの売上集計をまとめて一覧化
- 月末になったら請求書データを作成
- 受注データが入力されたら請求書を作成
【無料プラグイン】あらゆる「こういう時にこういう自動処理」を実現!条件分岐処理プラグインの特徴
条件分岐処理プラグインは、TISが無料で公開しているプラグインです。
kintoneに入力された各項目の内容があらかじめ指定した条件に一致した場合に、自動的にアクションを起こしてくれます。
プログラミングの知識が無くても、「条件」と「アクション」を指定するだけで簡単に作業を自動化でき、様々なケースに対応できるのが特徴です。
<条件分岐処理プラグインの活用例>
- 特定のアプリに入力したら、連動する別のアプリのデータも更新する
- 生年月日を入力したら、年齢も自動入力する
- 案件ステータスが「受注」になったら、売上金額に計上する
条件分岐処理プラグインについては、こちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▼入力効率大幅アップ!kintone条件分岐処理プラグインの使い方徹底解説!
株式会社松村製作所さまでは、最終的には条件分岐処理プラグインを利用することになりました。
何故krewDataでは株式会社松村製作所さまのご要望を満たせなかったのかは次のセクションで解説していきます!
krewDataでテーブルの情報を分割、区分ごとのアプリに自動コピーを実現。でもやっぱりリアルタイムで動かしたい…
まずは最初は、krewDataのスケジュール実行プランで「部品登録管理アプリ」のデータを「処理依頼登録アプリ」にコピーする仕組みを構築しました。
部品登録管理アプリの情報はテーブル形式なので、1行ずつレコードに分解し、「素地」「塗装」などの処理区分ごとにデータをグルーピングし、処理依頼登録アプリにコピーする仕組みです。
これにより処理依頼登録アプリを手入力する必要が無くなりました。
しかし、自動でコピーできるようにはなったものの、スケジュール実行プランでは自動登録のタイミングが限られてしまいます。
株式会社松村製作所さまの理想は、「1日1回」のように決まった時間にまとめて反映されるのではなく、入力したらすぐに連携されること。
1日待たなくては反映されなかったり、手動でボタンを押さなくては反映されなかったりでは、業務の流れもスムーズにいきません。
そこで、別の方法として白羽の矢が立ったのが条件分岐処理プラグインでした。
kintoneレコード保存時にリアルタイムで登録・更新!条件分岐処理プラグインで自動アプリ間更新を実装する方法とは
部品登録管理アプリに登録したデータを、その都度処理依頼登録アプリに反映する方法としては、krewDataのリアルタイム実行プランを使うという方法もあります。
ただ、krewDataは有料プラグインで、スケジュール実行プランとは別にリアルタイム実行プランを利用するにはさらに追加費用が発生してしまいます。
そこで株式会社松村製作所さまは、「条件分岐処理プラグイン」の「自動アプリ間更新」を使って、リアルタイムでの反映を目指すことにしました。
条件分岐処理プラグインの自動アプリ間更新なら、「レコードが保存されたタイミング」で自動的に処理を行うことができるため、株式会社松村製作所さまの望むリアルタイムな情報登録を実現できます。
処理依頼登録アプリには「処理」の種類ごとにデータを分割してレコード登録する必要があるため、条件分岐処理も処理の種類ごとに設定を行っています。
この設定を行って実際に動かしてみようとしましたが、最初はうまく動作しませんでした。
要因を調べたところ、本来は一つの設定で「連携先のアプリにデータがある場合は内容の更新」「データがない場合は自動追加」ができるはずが、何故か更新しか動作しない状態となっていました。
そこで、あえて設定を「新規追加の場合」と「テーブル内容の更新の場合」に分割し、それぞれ設定を行うことで問題なく実行できるようになりました。
kintoneを条件分岐処理プラグインでカスタマイズするメリットとは
株式会社松村製作所さまは、kintoneを条件分岐処理プラグインでカスタマイズしたことで入力作業の効率化を実現されました。
以前は部品登録管理アプリを入力してから同じことを処理依頼登録アプリに入力するという2ステップだった工程を1ステップで完結できるようになっています。
部品登録管理アプリにレコードが保存されたタイミングで自動的に処理されるため、「データコピーのボタンを押し忘れて処理が進んでいなかった」というリスクも未然に防ぐことができています。
プラグインを使ったカスタマイズで、kintoneをフル活用しよう!
kintoneを導入している企業さまからは、よく「あと一歩、これができたらいいのに……」という声をお伺いします。
こうした課題は、今回のようにプラグインや連携ツールを使うことで解決できるものも多くあります。
特に入力作業やデータの集計・加工、外部システムとの連携などは、プラグインの力を借りることで自動化・省力化しやすい分野です。
せっかくkintoneを使うのなら、単なるエクセルの置き換えではなく、自動化できるところは自動化する方法を検討してみてはいかがでしょうか?
コムデックでは、お客さまのご要望をお聞きして、その場でkintoneアプリを構築する対面開発を行っております。
kintoneのプロが、お客さまの業務やご要望、ご予算にあわせて、最適な方法を提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
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