人時生産性とは?計算式と改善するための3つのポイント
業務効率化や生産性の向上が求められる中、「人時生産性」という言葉に注目が集まっています。
人時生産性を用いれば、効率が良い・悪いという漠然とした状態を数値化できるため、業務改善にも役立ちます。
この記事では、人時生産性の意味や計算式、改善するポイントについて、具体的な計算例を交えて解説します。
この記事でわかること
- 人時生産性とは何か
- 人時生産性の計算方法
- 人時生産性を改善するためのポイント
こんな人におすすめの記事です
- 人時生産性について詳しく知りたい方
- 人時生産性を向上させたい方
目次
人時生産性とは?
人時生産性(にんじせいさんせい)とは、従業員1人が1時間あたりいくらの粗利益を生み出すかを表す指標です。
そもそも「生産性」という言葉は、どれぐらいのインプットを投入したら、それに対してどれぐらいのアウトプットが得られるのかという割合を表します。
したがって、人時生産性が高ければ高いほど、その企業は短い時間で価値の高い商品やサービスを生み出しているということになります。
人時生産性が注目される背景
人時生産性が注目される背景には、2つの社会的な変化があります。
1つめは、少子高齢化による労働人口の減少です。
内閣府が公表したデータ(※)によると、2021年時点で65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は28.9%となっており、2025年には30%に達する見込みとなっています。
残念ながら少子高齢化は加速の一途をたどっているため、今までの生産方法を続けていたのでは、多くの企業が人手不足で立ち行かなくなります。
人時生産性が注目されるもう1つの理由は、働き方改革です。
法改正によって時間外労働の規制や有給休暇取得の義務化などが始まり、今までのように長時間労働に頼って生産量を上げることが難しくなってきました。
これにより、限られた時間でいかに多く付加価値の高いものを生み出すかが問われ始めたのです。
※令和4年版高齢社会白書(内閣府)を参照
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf
人時生産性と労働生産性・人時売上高の違い
人時生産性とよく似た言葉に、労働生産性や人時売上高というものがあります。
労働生産性は「産出量÷労働投入量」で算出される指標です。
一般的には、企業などが生み出した生産量や付加価値を労働者数や総労働時間の投入量で割るため、組織の全体像を捉える際に用いられます。
人時売上高は「売上高÷総労働時間」で算出される指標です。
従業員1人が1時間あたりいくらの売上を上げたかを表しています。
人時生産性とよく似ていますが、人時生産性が「粗利益」を見ているのに対し、人時売上高は「売上高」を見ているため、材料費や人件費などのコストは考慮していないという点で異なります。
人時生産性の計算式と具体例
ここからは人時生産性の計算方法について、具体例を挙げて解説します。
人時生産性の計算式
人時生産性の計算式は次の通りです。
人時生産性(円)= 粗利益(円)÷ 総労働時間(時間) |
ここで言う粗利益とは、売上高から原価を引いた金額のことを指します。
人時生産性の具体例
具体例を挙げて、人時生産性を比較してみましょう。
部署A | 部署B | |
粗利益 | 100万円 | 300万円 |
総労働時間 | 200時間 | 800時間 |
人時生産性 | 5,000円 | 3,750円 |
部署Aの人時生産性 = 100万円 ÷ 200時間 = 5,000円
部署Bの人時生産性 = 300万円 ÷ 800時間 = 3,750円
粗利益だけ見ると部署Bの方が多く売り上げているように見えますが、実はその裏では膨大な労働時間がかかっており、あまり効率よく生産できていないことがわかります。
人時生産性の目安は5,000円
人時生産性の計算方法がわかっても、一体いくらなら生産性が高いと言えるのでしょうか。
人時生産性の目安は5,000円と言われていますが、実際のところ業種や企業規模によってかなり差があります。
一例として、2021年6月に中小企業庁から公表された分析結果を掲載します。
業種 | 人時生産性の平均(円) |
製造業 | 2,837 |
小売業 | 2,444 |
宿泊業 | 2,805 |
飲食店 | 1,902 |
※中小小売業・サービス業の生産性分析を参照
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/keieiryoku_kojo/pdf/005_04_00.pdf
これを見ると、どの業種も目安の5,000円を大きく下回っており、業種間で大きく差があることがわかります。
ひとまずは、自社の業種の平均を上回っているかどうかが第一の指標となります。
上回っているのなら、今度は目安となる5,000円を目標とすると良いでしょう。
業務改善の判断材料として人時生産性を用いる際には、部門ごとに算出することも有効です。
企業全体で算出してしまうと、生産性の高い部門と低い部門が相殺されてしまい、課題が見えづらくなります。
細かい組織単位で、また数か月ごとなど継続的に分析すると、課題の発見と効果測定がしやすくなるでしょう。
人時生産性を改善するための3つのポイント
人時生産性は「粗利益を総労働時間で割ったもの」ですから、改善するためには分母となる総労働時間を減らすか、分子となる粗利益を増やすことになります。
具体的には、次のような施策が考えられます。
- 従業員を適材適所に配置する
- 業務を効率化して労働時間を減らす
- 人件費を削減する
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
従業員を適材適所に配置する
従業員にも個性があり、それぞれに得手不得手があります。
例えば、パソコンが得意な人が作れば1時間で立派な資料ができるのに、実際はパソコンが苦手な人が半日かけて質の低いものが仕上がっている、などということはよくあります。
これは生産性の意味でも問題ですし、従業員のモチベーションが下がる原因にもなります。
一度すべての業務を洗い出して、その仕事は誰がやるのがベストなのかを考えてみると良いでしょう。
業務を効率化して労働時間を減らす
業務を効率化するためには、ボトルネックを把握することも大切です。
ボトルネックとは、瓶の首が細くなっていることになぞらえて、仕事上の流れが悪くなる部分のことを指します。
組織の業務がうまく回っていないときに、全体的にまんべんなく滞っているケースは意外と少ないものです。
多くの場合、特定の人に業務が集中していたり、どこかの工程で毎回時間がかかったりという偏りが発生しています。
こうしたボトルネックを取り除くことで、業務を効率化して労働時間を減らすことが可能です。
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