kintoneで工事台帳の集計を自動化して原価管理を効率化!|建設業 KRS株式会社さまのアプリ開発事例
建設業の企業さまの多くが、ひとつの工事に対する原材料や労務費、作業明細を管理するための工事台帳をエクセルで作成しています。
しかし、エクセルで工事台帳を作成していると、過去データを探して参照するのが難しかったり、台帳を作るために他の資料の情報を集計・転記しなければならなかったりといった課題があり、工事台帳の管理にかかるコストに頭を悩ませている企業さまも多いのではないでしょうか。
このような課題は、kintoneを用いて工事台帳をデジタル化することで解消できます。
今回の記事ではkintoneを活用して工事台帳の集計を自動化し、原価管理を効率化したKRS株式会社さまのアプリ開発事例をご紹介します。
目次
工事台帳をエクセルで管理するのは手間がかかる…集計作業を自動化したい!
KRS株式会社さまは、愛知・岐阜・三重を拠点に多岐にわたる建設工事を展開する企業さまです。
「建設業を通じて人々を幸せに」という経営理念をもとに、新築工事や改修工事、吊り足場や重量足場、イベント足場などさまざまな仕事を請け負っていらっしゃいます。
KRS株式会社さまでは労務費をkintone(キントーン)の日報アプリで管理していましたが、工事台帳はエクセルで作成していました。
そのため、原価を管理するためには、kintoneで算出した労務費をエクセルの工事台帳に手入力で転記しなければなりません。
また、転記の手間に加えて、エクセルで管理していると過去データを探しにくく、過去にどのような工事を行ったかを検索するのにも時間がかかるという課題もありました。
転記するデータ自体はkintone内にあるものなので、工事台帳をkintone化できれば自動で集計することも可能です。
そこで、KRS株式会社さまでは、日報データのように工事台帳の管理もkintoneで行うことで集計業務の効率化を図れないかと考えました。
工事台帳をkintone化する3ステップ
KRS株式会社さまでは、元々利用していたエクセルと同じ見え方はなるべく変えたくないという思いがありました。
というのも、長くこのエクセルの工事台帳で業務を行ってきたため、見た目が大きく変わってしまうと逆に業務効率が落ちる恐れがあったためです。
そこで、実際の運用に支障が出ないよう、従来のエクセルの内容を踏襲しつつ工事台帳のkintone化を目指すことになりました。
このセクションでは、KRS株式会社さまが工事台帳をkintone化したステップをご紹介します。
kintone化によりエクセル工事台帳の集計の手間を削減
まずは、これまでの工事台帳を再現するためのkintoneアプリを作成しました。
アプリ全体の構成は、従来のエクセルに則って「基本情報」と「原価明細」、「経費一覧」「科目別集計」「請求書管理」の5つのセクションに分かれています。
基本情報
現場名・着工日・工事場所・工事金額などの基本情報が確認できます。
原価明細
従来の工事台帳の「原価明細」にあたる部分は、工事台帳アプリとは別の「工事台帳明細アプリ」から参照し、その工事に関わるものだけを表示するようにしています。
なお、工事台帳明細アプリは従業員が登録した日報アプリを元に自動的にデータが登録されてくる仕組みです。
科目別集計
これらの明細からkrewDashboard(クルーダッシュボード)を使って、科目ごとに原価を集計したのが「科目別集計」です。
krewDashboardとは、kintone内のデータを表やグラフといった見やすい形で可視化できるプラグインです。
レコード内表示機能を使いピボットテーブルの形で表示しています。
経費一覧
原価の中から、特に経費だけを抜き出したものも表示しています。
ここでは経費の詳細も表示されるため、より詳しく原価を把握することができます。
請求書管理
建設業の工事の場合、お客様への請求が複数回に渡ることも珍しくありません。
そこで、お客様への請求情報は複数回登録できるようになっており、請求しなければならない費用があとどれだけ残っているかを自動算出しています。
これでもともとのエクセルに記載されていた、基本情報・科目別集計・原価明細・請求管理がまとまった工事台帳アプリが完成しました。
日報と経費申請アプリ作成により、原価計算が効率化
次に、工事台帳アプリに表示する数値をkintone内から自動的に集計し、原価計算を効率化させるため、日報アプリと経費申請アプリを作成しました。
日報アプリ
日報アプリは、もともと運用していたアプリを工事台帳と連携するようにブラッシュアップしました。
このアプリでは、毎日の工事単位での日報を登録し、作業記録から直接労務費を算出します。
また、経費用の項目も新たに追加し、交通費や購入品などの経費もその場で登録できるようにしました。
これにより、労務費と経費の計算が一元化され、従来の手間を大幅に削減することが可能になりました。
経費申請アプリ
基本的には日報に経費を登録できるようになっていますが、日報登録のタイミングで登録できない経費というのも存在します。
そこで、経費申請アプリを作成し、後からでも簡単に登録できるようにしました。
krewDataにより集計結果を工事台帳画面で一覧で見ることが可能に
最後に、krewData(クルーデータ)を利用してそれぞれのアプリのデータを集計できるようにしました。
krewDataは、複雑なデータ集計を可能にするプラグインで、特に原価管理の分野でその力を発揮します。
日報や経費申請と言った原価登録用のアプリからデータを集計し、工事台帳アプリや工事台帳明細アプリへの登録を自動化するフローを構築したことにより、集計された結果を工事台帳アプリのレコード詳細画面で直接一覧表示することが可能になります。
もともとKRS株式会社さまがエクセルで作成されていた工事台帳は、一画面に複数のセクションを持ち、それぞれで集計や明細を表示するという独自のフォーマットにこだわりがありました。
特定の表示方法をkintone上で再現するために、日報アプリと連携するkrewDataのフローを作成するのには時間がかかりましたが、一画面で全ての重要な情報を把握できるようになり、作業効率の向上だけでなくデータの可視性とアクセス性を大幅に改善することができました。
kintoneで工事台帳を自動作成するメリット
KRS株式会社さまでは、工事台帳をkintone化することにより、日々の労務費や経費等の原価が工事台帳に自動で反映されるようになりました。
従来の手作業による集計作業が不要となり、それに伴う時間コストや入力ミスのリスクが大幅に削減されています。
また、kintoneによって全てのデータが一元管理されることで、過去の工事情報の検索が容易になりました。
これにより、工事情報を探す際にかかっていた時間も短縮されています。
kintoneにデータが蓄積されるため、その情報を元に分析を行うことも可能です。
注意点として、kintoneに日報や経費の登録がなければ、当然集計に漏れが出てしまう点には気をつけなければいけません。
運用の際は、従業員に漏れなくアプリに登録してもらうよう周知が必要です。
工事台帳をkintone化して集計作業を自動化しよう!
KRS株式会社さまは、工事台帳をkintone化することで原価の自動集計が可能になり、手間と時間を大幅に削減することができました。
過去の工事も検索しやすくなったため、情報にアクセスするための時間も短縮されています。
また、売上・原価の情報がkintone上で閲覧できるようになったので、ダッシュボードを使った売上や生産性の分析も可能です。
今後は日報に作業進捗を登録することで、日別の売上をリアルタイムで把握できるようにしていく他、受注したタイミングで工事台帳を作成し、工事予定を同時に登録することで、プロジェクトのスケジュール管理を一元的に行うことも目標としています。
コムデックでは、企業さまの要望を反映させ、業務を改善するアプリを作成する「kintone対面開発」を行っております。
「脱エクセルを図りたい」「工事台帳のデータ集計を自動化したい」とお考えの企業さまはお気軽にお問い合わせください。
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