役員の勤怠管理は原則不要!一部必要になるケースや従業員との違いを解説
役員は従業員ではなく、使役される立場ではないため勤怠管理は原則不要とされています。
しかし、役員の中にも色々な役職があり、場合によっては勤怠管理が必要となるケースもあります。
特に、「兼務役員」や「執行役員」など聞きなれない役職となると、どのような立場の人なのか、勤怠管理はすべきなのか等、役員の勤怠管理に戸惑った経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
「勤怠管理とは何なのか」「何を管理すべきなのか」についてはこちら!
▼勤怠管理とは?効率的な方法とクラウド勤怠管理システムの選び方
今回の記事ではそんな疑問にお答えするため、役員と従業員の違いや、それぞれの勤怠管理の方法について解説します。
この記事でわかること
- 役員と従業員の勤怠管理の違い
- 役員の勤怠管理の方法
こんな人におすすめの記事です
- 役員の勤怠管理について詳しく知りたい方
- 勤怠管理が必要な役員を知りたい方
目次
役員の種類
法人における役員とは、業務執行や業務・会計の監査などの権限を持つ人のことを指します。
原則、役員は従業員ではないため勤怠管理は不要とされていますが、ひとくちに役員と言ってもそこにはさまざまな役職があり、一部勤怠管理が必要な場合があります。
まずは代表的な役員の名称と、それぞれの業務内容について見ていきましょう。
取締役
株式会社を設立する際には、会社の最高決定機関として3人以上で組織された取締役会を設置しなければなりません(※)。
この取締役会のメンバーを取締役と呼び、その中のリーダーを代表取締役と呼びます。
これとは別に、従業員の最高責任者を意味する「社長」という役職もあります。
日本の企業では、代表取締役と社長を同じ人が兼任することが多い(代表取締役社長)ため混同されがちですが、正確に言うとこの2つは別の役職です。
したがって、副社長が取締役会のリーダーを務める場合には、代表取締役副社長という肩書きになります。
取締役については、勤怠管理を行う必要がありません。
※小規模の企業の場合、取締役会の設置が必要ないケースもあります。
専務取締役
専務取締役は、取締役会で代表取締役を補佐する役割を担います。
会社法では、必ずしも置かなければならない役職ではありません。
しかし実態としては、自社の経営全般を管理するために設置されていることが多いです。
専務取締役も取締役会の一員であるため、勤怠管理は必要ありません。
常務取締役
常務取締役は、経営に参画しながら、現場の日常業務も管理・推進することを任されるため、経営と現場の橋渡しをする役目があります。
役職の順位としては、専務より下になります。
専務と同様、必ずしも設置すべき役職ではありませんが、業務範囲が広いため複数の人が任命されることもあります。
常務取締役も取締役会の一員であるため、勤怠管理は必要ありません。
監査役
監査役は、一定の規模の企業(※)では設置が義務付けられており、中小企業でも任意で設置できる役職です。
会計監査や業務監査の権限を持ち、取締役らの会社経営に不正がないかをチェックします。
監査役は取締役とは兼任できず、独立した立場から企業の健全な経営を担保します。
監査役も勤怠管理を行う必要はありません。
※取締役会設置会社や会計監査人設置会社(大会社等)
執行役員
執行役員は会社法が定める役員(取締役・監査役・会計参与)には含まれず、法律上は従業員に該当します。
取締役会などが決めた経営方針に沿って事業を推進する役割を担いますが、経営そのものに参画する権限は持ちません。
法律上は従業員となるため、一般の従業員と同様に勤怠管理が必要です。
【補足】常勤役員・非常勤役員
役員には「常勤役員」と「非常勤役員」という分け方もありますが、法律上は明確な定義はありません。
多くの企業では、一般社員と同じように毎日勤務する役員を常勤役員、社員よりも少ない出勤日数で勤務する役員を非常勤役員と呼んでいます。
役員と従業員の違い
次に、役員と従業員の違いについて「雇用形態」「報酬」「保険」の3つの観点で解説します。
雇用形態の違い
役員と従業員では契約形態が異なり、役員は「委任契約」を、従業員は「雇用契約」を結んで勤務します。
また、役員は会社法で「使用人」と定義されており、企業に雇われるのではなく、従業員を雇う側の立場と位置付けられています。
先ほどご紹介した役員の種類で言うと、「執行役員」はあくまで「雇用契約」を結んだ従業員のため、勤怠管理が必要となるのです。
報酬の違い
役員と従業員では報酬の呼び方も異なり、役員は役員報酬、従業員は賃金と呼びます。
役員報酬を決めるのは、企業の定款や株主総会、代表取締役などです。
これに対し、従業員の賃金を決めるのは就業規則や雇用契約となります。
保険の違い
役員は企業を経営する立場であるため、従業員を守る趣旨の保険は適用外となることがあります。
例えば労災保険(正式名称:労働者災害補償保険)は、その名の通り、労働者を対象に業務中や通勤中のケガと病気を補償する制度であるため、役員は原則として適用外となります(※)。
また、雇用保険も従業員の生活を安定させることが目的の制度であるため、役員は適用外です。
一方、社会保険(健康保険と介護保険、厚生年金保険)については、前述した2つの保険とは考え方が少し異なります。
社会保険においては、役員も法人から報酬を得ているという点を重視し、役員報酬が0円でない限り加入対象となります。
※中小企業の事業主が特別加入の手続きをした場合は、適用されることがあります。
役員の勤怠管理は原則不要
ここまで解説してきた通り、役員の勤怠管理は原則不要です。
ただし、例外的に勤怠管理が必要な場合もありますので、以下で詳しく見ていきましょう。
役員には労働基準法・就業規則が適用されない
役員は法律上の労働者ではありませんので、労働基準法や就業規則が適用されません。
したがって、役員には労働時間や残業、休日という枠組みも存在しないのです。
役員の任務は委任契約に基づいて企業を経営することですから、出勤日数や時間に関係なく、業務を遂行することで報酬が発生します。
そのため、勤怠管理も必要ありません。
兼務役員は勤怠管理が必要
勤怠管理において注意しなければならないのが、「使用人兼務役員」の存在です。
使用人兼務役員とは、役員と従業員の両方の性質をあわせ持つ人を言います。
契約上も委任契約と雇用契約の両方を結ぶため、使用者の指揮命令を受けて業務を遂行する場合は、勤怠管理が必要です。
実際に企業では、従業員(部長など)が役員になる過程や、逆に役員が退任して一般の従業員になる過程で「兼務役員」という役職がよく使われます。
兼務役員に関する人事異動が発令されたときは、勤怠管理の方法も忘れずに確認しましょう。
出向先で役員になる場合は勤怠管理が必要
部長など管理職を務める従業員が、子会社や取引先の役員として出向することがありますが、この場合も勤怠管理が必要です。
このような在籍出向の場合、勤務する場所は出向先になりますが、籍はあくまで元の企業に残っているため、勤怠管理も出向元の企業で今まで通りに行わなければなりません。
使用する勤怠システムやタイムカード等、管理の方法は問われませんので、出向先のシステムを利用することも可能です。
また、給与については、出向元が出向者に直接支払い、出向先が出向元に給与負担金を支払うケースが一般的です。
この際、出向先での出向者の立場が役員の場合、出向先が支払う給与負担金は原則「役員報酬」として取り扱われる(※)ため、毎月の給与は同額、賞与は税務署に事前届出といった役員報酬の規制を受ける点に注意が必要です。
※出向先の株主総会等で給与負担金の額について決議がされている、出向期間・給与負担金の額があらかじめ定められている場合
役員と従業員の違いを理解して正しく勤怠管理を
役員の勤怠管理は原則不要です。
しかし、執行役員や兼務役員、出向先で役員になる場合など、勤怠管理が必要になるケースもあるため注意しなくてはいけません。
もし御社が自社の勤怠管理方法に不満があるようであれば、KING OF TIME(キングオブタイム)等のクラウド型勤怠管理システムを活用することで解決できるかもしれません。
システムもうまく利用しながら、正しい勤怠管理を行いましょう。
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