kintoneとAWSでIoT連携!来店数・客層を自動カウントしデータ分析を実現|小売業のアプリ開発事例
来店したお客様は、何かを求めてお店に足を運んでくださっています。
来ていただいたからには、求められているものを提供し、そして購入して帰ってもらいたい…!「望まれる商品を取りそろえ、お客様に満足していただく」なおかつ「購買率を上げる」ことは、全ての小売業の方の願いではないでしょうか?
今回は、kintoneとAWSを活用することでIoT来店カウンターを実現。
来店数と客層のデータ分析から、売上向上のための施策立案までをおこなっている小売業の企業さまの活用事例をご紹介します!
目次
来店客の傾向からニーズを把握したい!でも感覚だけでは限界が…
小売業において大切なことのひとつは、来店されるお客様のニーズを的確に捉えることです。
そのためには、来店されるお客様の年齢や性別等、所謂「客層」をしっかりと把握することが第一歩となります。
かつて客層把握の主流はメールマガジンや店頭での会員登録などでしたが、今は店舗ごとのアプリやLINE公式アカウントなどを活用されている企業さまも多いのではないでしょうか。
もちろん、会員登録やLINEの友達登録をしてくださるお客様はそれだけ感度の高いお客様ということなので、重要な客層把握の手段となります。
しかし、ここでネックとなるのは「すべての来店者に登録はしてもらえてはいない」という点。
今回kintone(キントーン)とAWSを活用して来店客数のカウントを実現した小売業の企業さまでも、客層把握に課題がありました。
商品の仕入れは、来店数や客層を感覚で把握しているスタッフに大きく頼っていました。
感覚的に「数年前より、若いお客様が増えた」といったことはわかるものの、日々来店されるすべてのお客様の年齢層や性別は把握できません。
そのため、客層から顧客ニーズを予測することが難しく、商品ロスや品不足が発生。
ニーズを捉えきれず、感覚に頼った発注判断が多くなった結果、お客様が欲しい商品が品切れしていて帰ってしまわれたり、仕入れた商品の余剰が発生したりといった事象が発生してしまっていたのです。
この小売業の企業さまは、お客様にとっての利便性向上や情報発信手段、そして客層把握のためにLINE公式アカウントは導入済み。
LINE公式アカウントの友だち数は4,500名を超えており、友だち登録してくださっている方ほぼ全員の年齢層や性別は、LINE公式アカウントManagerを使用することで把握・分析できています。
しかし、来店される方すべてが友だち登録されているわけではないため、来店客全体の数、年齢層や性別の把握には至っておらず、ニーズを深く追求しきれていないというのが実情でした。
IoTで解決!深層学習・顔認識で来店数カウント・属性データを取得
来店数、そして客層をしっかりと把握、分析することができれば、お客様のニーズに対する仕入れの最適化や商品ロス削減、来店予想によるスタッフさんのシフト最適化等、生産性向上につなげていけると考えた小売業の企業さま。
「LINE公式アカウントの友達分析だけではなく、実際に来店数をカウントするとともに、年齢層・性別・時間帯などもデータにし、分析したい」というご要望に対し、できるだけスタッフの負担少なく実現できる方法を検討した結果、インターネットに繋がっているカメラと画像認識技術、kintoneを使った自動カウントでした。
店頭にカメラを設置し、AWSの顔認識システムでカウントと属性データを取得、さらにkintoneでデータを集計・分析しようというわけです。
Amazonは言わずと知れた大手EC(electronic commerce)モールですが、それと同時に社内にあるさまざまな問題を解決するために用意したITノウハウを活かし、クラウド型のサービスを提供している企業でもあります。
これをAWS(Amazon Web Services)と呼び、今では提供サービス数は100以上。
サーバやネットワークといったインフラから機械学習やコンテンツ配信など、幅広いサービスを手軽に利用できます。
今回はその中から、顔認識システムのAmazon Rekognitionを利用しました。
Amazon Rekognitionでは、画像や動画データを分析して顔認識や分析、比較などができます。
このAmazon Rekognitionをディープラーニング(深層学習)による画像認識機能があるビデオカメラ、AWS DeepLensと連携させ、全ての来店客の性別や年齢層、来店時間等のデータを蓄積できるような仕組みを構築。
以下のような手順でIoT来店カウンターを実現したのです。
1.AWS DeepLens(カメラ)に顔認識システムを構築し、店頭のカメラで人が認識されると画像を自動でDropboxへ送る
「来店されたお客様」だけではなく、「実際に商品を購入したお客様」のデータもより詳細なニーズ分析には必要です。
そこで、レジのキャッシュドロアにもセンサーを設置し、レジが写るようにカメラを設置。
設置した店内のカメラは会計の際、「キャッシュドロアが開いたら認識する」よう設定することで、「購買者」だけのデータを取得することもできるようになりました。
2. 保存した画像をAmazon Rekognitionで分析
Dropboxへデータが保存されると、Amazon Rekognitionを利用して来店数カウントとともに性別・年代・喜怒哀楽の情報を取得します。
3.連携させたkintoneアプリへパラメータ化したデータを登録
年齢、性別、来店またはレジを通った時間、喜怒哀楽の情報を一人1レコードとしてkintoneに保存します。
データはkintoneに蓄積、ダッシュボードで集計結果をわかりやすく
今回、 Amazon RekognitionとAWS DeepLensに加えて活用したのが、サイボウズ者の業務改善プラットフォームkintone(キントーン)です。
kintoneは、自社の使いたい形に合わせて情報を管理するアプリを作っていくことができます。
データはいつでもどこでも参照できる他、データを蓄積するだけではなく自動集計やグラフ化といった見える化も可能。
今回のように外部からデータを取り込んだり、逆にkintone内のデータを外部サービスに連携したり等、柔軟なシステムで生産性向上に大いに活用できます。
今回、kintoneには来店数をカウントし客層を集計するためのアプリを作成しました。
このkintoneアプリには、カメラが認識した場所(入口、レジ)・日時・顔認識システムが予測した年齢層・性別などがDropbox経由で登録され、一覧で表示されます。
時間帯ごとの来客推移や男女比等、見たい形でいくつもグラフや表を作ることができ、それらのグラフはリアルタイムで更新されていきます。
自動作成された各グラフや表を一画面にまとめるダッシュボード化により、kintoneをチェックすれば一目で来店数や客層が把握できる上、分析もスムーズにおこなえる状態を実現しました。
IoTで顧客満足度向上!データ分析を経営改善に活用
kintoneとAWSの連携により、来店数や客層をほぼ正確に把握でき、さらにそれが自動で集計・グラフ化される仕組みが完成。
あくまで顔認識システムによる判断のため完全ではないものの、スタッフの感覚値よりも正確に男女比や年齢層の把握ができるようになりました。
来店数や購買率などの現状を数字で見ることができるため、今後の戦略目標や企画を立てる際もこれまでよりも具体的に議論を進めていくことができるようになったのだとか。
蓄積された来客データを活用することで、ニーズの把握はもちろんのこと、セール・イベントの実施や商品配置・ディスプレイの変化による「来店数・客層の変化」の相関も定量的に確認することが可能になったため、お客様により満足していただけるような店舗づくりに繋げていくとのことです。
今後は、同一人物認識の機能なども使って、リピーターさんの把握も目指されています。
何回目の来店か、どのようなものを求めて来店されているのか等をしっかりと把握することで、「より足を運んでもらうためにはどうすればいいのか」、「同じニーズを持った新しいお客様にアプローチするためにはどうすればいいのか」を検討し、効果的な施策をおこなっていきたい、とのことです。
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