予実管理をkintoneで行う方法は?標準機能・無料プラグイン・有料プラグインそれぞれで紹介!
予実管理をkintoneで実現したいとお考えの担当者様必見!
そこで、今回はkintoneの標準機能で実現するアプリの構成、無料プラグインで実現するアプリの構成、そして有料プラグインで予実管理を行うアプリの構成とその事例をご紹介します!
この記事でわかること
- kintoneで予実管理を実現する方法
- JavaScriptカスタマイズで予実管理を行う方法
- 予実管理ができる無料プラグイン「アプリ間レコード集計プラグイン」の設定方法
- 標準機能でできる範囲、無料プラグインでできる範囲
- kintoneで予実管理を行っている事例
こんな人に向いている記事です
- kintoneで予実管理を行いたいが、どのようにアプリを作ればいいかわからない人
- 予実管理に有料プラグインが本当に必要なのか知りたい人
目次
まずは標準機能でアプリ化!アプリストアのサンプルアプリを使ってみよう
kintone(キントーン)のアプリストアにも、予実管理が行える「予算・実績管理アプリパック」がありますので早速「このアプリパックを追加」からアプリを作成してみましょう。
アプリを追加すると、「予算管理」と「実績管理」の二つのアプリが自動的に作成されます。
予算管理アプリは「拠点ごと」の予算金額を入力する形になっていますので、実際に行いたい予実管理に合わせて例えば期や部門等を指定してもいいでしょう。
実績管理アプリでは、予算管理アプリに登録した拠点に対して、日付・担当者別に実績を登録していく形となっています。
ここで「あれ?」と思われた方もいるでしょう。
そう、kintoneは標準機能ではアプリ間のレコード集計ができないので、予算と実績にアプリが分かれていたら予実の比較ができません。
予算管理アプリと実績管理アプリ、それぞれに登録された数値を比較し、予算(目標)までの差を算出するためには、どちらのデータも同じアプリにされている必要があります。
ではこの予算・実績管理アプリパックはどうするのでしょうか?
答えは、「JavaScriptによるカスタマイズで二つのアプリの情報を集計する」です。
カスタマイズの方法は、実績管理アプリの上部にも表示されているリンク(https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/202640870)に詳しく記載されています。
kintoneのスタンダードコースをご利用であれば、無料のサンプルコードでカスタマイズ可能です。
少し手順が複雑ですが、設定手順をご案内していきます!
1.jqGridをダウンロードする
まず、先ほどのリンクページの中ほどにある「※jqGridについて」という部分のリンクから、「jqGrid」をダウンロードして解凍しておいてください。
↓
利用するファイルは以下の3つです。
よく似た名前のファイルも多く、それぞれどこに入っているのかも少しわかりにくいため、画像付きで場所を解説していきます。
・ jquery.jqGrid.min.js:js
js> minified
・ grid.locale-ja.js:js
js>i18n
・ ui.jqgrid.css
2.JSEdit for kintone プラグインをインストールする
こちらのページ(https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/205452653)からJSEdit for kintoneプラグインをインストールし、実績管理アプリに入れておきましょう。
JSEdit for kintoneプラグインについては、こちらの記事でもご紹介しています!
▼JSEdit for kintoneの使い方を解説!メリット・デメリットについても紹介!
3.サンプルプログラムを設定
インストールしたJSEdit for kintoneプラグインの設定画面を開きます。
最上部の「新規作成」を押して、ファイル名には「sample_grid.js」と入力し、OKを押します。
こちらのページ(https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/202640870#step3)の「サンプルプログラム」をすべてコピーします。
新規作成後、プラグイン側は以下のような表示となっていますが、いったん全て消して、コピーしてきたサンプルプログラムを貼り付け、保存します。
ライブラリは選択する必要はありません。
4.JavaScript/CSSでカスタマイズからファイルとURLを指定
保存ができたら、「アプリの設定」画面に戻ります。
「JavaScript/CSSでカスタマイズ」を開くと、先ほどJSEdit for kintoneプラグインで作成した「sample_grid.js」がファイルとして登録されています。
ここに、1でダウンロードしてきたファイル等を登録してきます。
登録順はこちらのページ(https://developer.cybozu.io/hc/ja/articles/202640870#step3)で指定されている通りです。
PC用のJavaScriptファイルは上二つが「URL指定で追加」、真ん中二つが「アップロードして追加」になります。
追加出来たら、左端の矢印ボタンをドラッグ&ドロップして順番を入れ替えて指定通りにしましょう。
PC用のCSSファイルは「アップロードして追加」のみです。
ここまで登録出来たら保存して、アプリを更新してください。
実績管理アプリで以下のように予算と実績の比較を一覧形式で見ることができるようになりました!
JavaScriptカスタマイズは難しい……一つのアプリで予算と実績を管理する方法
カスタマイズはちょっと難しそう……という方には、もっと簡単な目標と実績を一つのアプリで管理する方法をご紹介します。
アプリの構成としては、一つのレコードの中に予算も実績もどちらも登録し、そのレコード内で差を算出するものになります。
テーブル形式で実績を追加していくと、自動で実績合計と予算差異、達成率が計算される仕組みです。
この形であれば、先ほどのJavaScriptによるカスタマイズとほとんど変わらない一覧形式で予実管理を行うことができます。
無料プラグイン「アプリ間レコード集計プラグイン」で案件管理から売上集計!
ここまでご紹介した方法は、予算管理と実績管理、それぞれ専用のアプリを作って、レコード内あるいはアプリ間で集計していました。
しかし、実際にkintoneを活用している企業さまであれば、「実績の数字は案件管理アプリや売上管理アプリから集計したい」となるのではないでしょうか?
そこで今回は、無料のプラグインを使って「案件管理アプリ」から実績値を集計し、目標差を算出するアプリを作ってみました。
1.予算と実績集計結果を登録するアプリを作る
まずは、予算と実績集計結果を登録するアプリを作りましょう。
内容はいたってシンプルに、以下の5つの項目です。
予算の区分…これは期でも部署でも構いません。実績のアプリから集計をするときの集計対象を判断するものとなりますので、必須項目にしてください 予算額…数値項目 実績合計…数値項目 案件管理で集計した結果が登録されます。 予算差異…実績合計-予算額 達成率…(実績合計/予算額)*100 |
2.案件管理アプリにアプリ間レコード集計プラグインを設定
続いて、集計すべき実績が登録されている案件管理アプリを開きます。
まずは、予算を登録するアプリと全く同じ「区分」の項目を追加しましょう。こちらも必須項目にしておいてください。
続いて、TIS社の「アプリ間レコード集計プラグイン(https://www.tis2010.jp/referencecalc/ )」をインストールします。
集計先アプリとして、1で作成したアプリを指定し、区分に応じて受注金額を集計し、実績合計に登録するよう設定します。
この時、案件管理アプリの「案件状況」が受注以降のステータスのレコードだけを集計してくるようにしました。
基本的には条件に合致したら自動で集計を行いますが、一覧画面から一括で集計したい場合にはボタンを表示させることも可能です。
設定はこれだけで完了です。
今、案件管理アプリには以下の3つの案件が登録されており、内2つは「受注」以降のステータスです。
受注以降の、A案件とB案件の合計金額が予算実績集計アプリに登録されました!
これで、実績値が自動で集計され、差異や達成率も自動計算されます。
レコードのステータスが受注前に戻ったり、削除されたりすれば合計額も変動します。
krewDataでリアルタイム自動集計を実現
単純なアプリ間集計であればアプリ間レコード集計プラグインで対応できそうですね!
しかし、この方法だと「一つのカテゴリに対して一つのレコード」の予算を登録していく必要があるため、「全体の目標値」を把握するためには別途予算実績集計アプリ内で表の集計設定を行う必要があります。
また、あくまでレコード内の単一フィールドの集計しか行えないため、テーブル形式の明細ごとにカテゴリー分けをして集計を行ったり……といったことは難しいのが現状です。
しかし、現実に予実管理を行おうとすると、一つの実績(売上)金額の中でも細かく予算が振り分けられていることも多いのではないでしょうか?
そんな時にお勧めしたいのが、kintoneにおける様々な集計業務・自動化に活用できるkrewData(クルーデータ)です。
コムデックラボでも何度かご紹介しているこのkrewData、標準機能では難しい、kintoneアプリ間のデータを集計・加工するプラグインです。
複雑な集計設定や、kintoneの標準機能では難しい関数による計算等も行えるほか、条件に応じたレコードの自動作成等もできる、いわばkintoneでだいたい何でもできるようにするツール。
このkrewDataを使うことで、標準機能はもちろん、無料のプラグインでも手が届かなかった予実管理を実現できるのです。
krewDataにはスケジュール実行とリアルタイム実行を選択でき、スケジュール実行は「一週間に一度」や「一日に一度」など決まったタイミングで集計を行います。
対してリアルタイム実行は「アプリの更新が行われたら即時に」集計が走るため、常に最新情報を表示しておきたい場合にはリアルタイム実行が良いでしょう。
ただ、どちらのプランとも手動で実行ボタンを押せば即時集計されるため、自社の運用方法に合わせて適した方をお選びください。
気になる料金は以下の通り。
プラン
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料金
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リアルタイム実行
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19,800円/月
※実行スケジュール数3つまで
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スケジュール実行
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13,200円/月
※実行フロー数3つまで
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割高に見えるかもしれませんが、エクセル等で手動で毎日、毎月集計することを考えればその分の時間コストは十分補えるだけのパフォーマンスを出してくれるのではないでしょうか?
また、krewDataができることは集計だけではないため、主目的は集計の為だったとしても、他の部分でも業務効率を上げるための手助けができます。
建設業業務改善パッケージで一気に課題解決!
krewDataの設定方法は各アプリの内容や条件によるため一概にこう!とお伝えするのは難しいのですが、コムデックの「建設業業務改善パッケージ」であれば予実管理に必要なアプリもkrewDataの設定も全て実施済みの状態で使い始めていただくことが可能です。
また、予実管理だけではなく、その他建設業の業務に必要な様々なアプリもまとめて入っており、業務フローに合わせてアプリをカスタマイズすることもできます。
せっかくkintoneを使うのなら、予実管理だけではもったいない!kintoneを使って業務改善を考えているのであれば、是非ご検討ください。
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kintone予実管理の事例を紹介
これまでコムデックがご支援してきた、kintoneで予実管理を行っている事例を2つご紹介します!
どちらも建設業の企業様で、krewDataをフル活用されています。
建設業 株式会社太昭組さまの目標・実績管理事例
▼kintoneで予実管理!実績集計はkrewDataで自動化
株式会社太昭組さまでは、目標と実績の管理をエクセルでおこなっていました。
毎月会議の度に集計をしなおすのですが、その資料作成のためにかなりの手間と時間がかかっており、部長さんの業務時間を圧迫していたとのことです。
そこにkintoneとkrewDataを導入し、案件管理にあたるアプリから期毎の実績値が自動集計できるようになりました。
また、それまでは翌月にならなければ出てこなかった「見込みの案件が成約になった場合の達成率はどうなのか?」というシミュレーションも、kintone上でステータスを変えるだけで自動集計しなおされ、会議中に確認できるように。
目標に対する実績が見える化され、目標達成にはあとどれくらい案件が必要なのか、どの案件を契約に導くべきなのかをより効率的に検討できるようになりました。
建設業 株式会社泰成さまの原価管理事例
▼原価管理をkintone化!脱エクセルでリアルタイム自動集計
遠く離れた現場から届くレシートや領収書をエクセルに打ち込み、交通費・燃料費・宿泊費・材料費・水道光熱費・食費等さまざまな経費を集計していた株式会社泰成さま。
そもそも資料が揃うのに時間がかかり、さらにそこから集計するのに時間がかかる状態で、「今現在の予算の使用状況を知りたい」という連絡があればその都度集計をし直していました。
また、建設業によくあるお悩みの一つですが、「現場監督が知りたい数字」と「経理処理のために必要な数字」が異なるため、それぞれが見たい情報を管理するためのエクセルを別々に作成していたこともあり、経理担当者さんにかかる負荷が大きい状態だったのです。
kintoneとkrewDataを活用し、遠隔地であっても同じ情報を閲覧・編集できるというクラウドの強みを生かして各経費を登録いただくアプリを作成し、現場から直接入力いただく形へ。
現場でそれぞれのアプリに数字を登録してもらうことで、三重の本社でリアルタイムに数字を追うことができるようになりました。
さらに、打ち込んでもらった数値をkrewDataで集計し、現場ごとの各経費の予算額と比較して現在の予算消化状況がわかるように。
株式会社泰成さまでは、krewDashboardも活用することで、エクセル以上に見やすく、使いやすい工事台帳を作り上げています。
各予実管理方法のメリット・デメリット比較
予実を管理することは、企業の業績を管理する上で不可欠なことです。
リアルタイムな実績が把握できることが一番ですが、現実には翌月の終わりにならないと状況がわからない、といった企業さまが多いのではないでしょうか?
変化の激しいビジネスシーンにおいては、その時々の状況を素早く判断し次の決断を行う必要があります。
まずは予実をリアルタイムで見える化するところから始めてみてはいかがでしょうか?
今回の記事では、kintoneで予実管理を行う方法を4つご紹介しました。
それぞれメリットとデメリットをまとめましたので、自社の運用にどれが一番合っているかの参考にしてみてください!
方法
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メリット
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デメリット
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標準機能(一つのアプリ内で管理)
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シンプルに管理できる
アプリ構築も簡単
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対応する予算のレコードを探して、都度実績を打ち込む必要がある
都度実績を打ち込む必要がある
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JavaScriptカスタマイズ
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シンプルなアプリで、アプリ間をまたいだ集計が行える
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最初の設定が少し難しい
都度実績を打ち込む必要がある
JavaScriptを書き換えれば複雑な集計もできるようになるが、プログラミングの知識がないと改変が不可能
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アプリ間レコード集計プラグイン
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比較的簡単な設定で、案件管理等のアプリから集計を行うことができる
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複雑な集計は行えない
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krewData
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複雑なアプリ間の集計や、関数を用いた計算等がおこなえる
集計以外の場面でも活用できる
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費用が発生する
集計フローの設定が個々のアプリによって変わってくるため、少々複座鵜t
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