kintoneのデータベース機能とは?マイクロソフトアクセスとの違いについても解説!
kintone(キントーン)は、自社の業務に合わせてアプリ作成ができるクラウドサービスです。
kintoneはプロセス管理機能やコミュニケーション機能等、「kintone上で業務を進める」ための機能も豊富ですが、顧客情報など自社のデータを蓄積するためのWEBデータベースとして利用を検討している企業さまも多いことでしょう。
そこで今回は、kintoneの持つデータベース機能について、エクセルやマイクロソフトアクセスといった他サービスとの比較を交えて解説します!
この記事でわかること
- kintoneのデータベース構造について
- kintoneとマイクロソフトアクセスの違い
- kintoneとRDBMSとの連携方法
こんな人に向いている記事です
- kintoneの導入を検討している社内担当者の方
- 現在社内で利用しているデータをkintoneにスムーズに移行できるか知りたい方
目次
kintoneのデータベース機能の特徴とは?
kintoneをデータベース的に活用するために、まずはkintoneの持つデータベース機能とその仕組み、具体的にどのような業務で活用できるかについて簡単に説明していきます。
ノンプログラミングで簡単にデータベース構築ができる
kintoneはドラッグ&ドロップで各業務に応じたデータベース(kintoneではアプリと呼ばれています)を作成できます。
あらかじめ項目の決められた専用ソフトとは異なり、自社の業務に必要な項目を任意に足していくことが可能です。
一度作ったデータベースも、業務状況に合わせて管理項目(kintoneではフィールドと呼びます)を手軽に追加・編集・削除可能となっています。
そのため、リレーショナルデータベースのようにエンジニアでなければ編集できないものに比べて作業担当者が編集できる分、時間やコストの削減にもつながります。
kintoneでは以下項目の管理項目を追加していくことができます。
各項目には入力の制限があるため、例えば「半角数字で入力してほしい項目なのに全角で入力されている」といった「エクセルデータベースあるある」のお悩みはkintoneにすることで解決です。
管理項目のカテゴリー | 使用する項目 |
テキスト | 文字列(1行) 文字列(複数行) リッチエディター 数値 |
計算 | 計算 |
選択肢 | ラジオボタン チェックボックス 複数選択 ドロップダウン ユーザー選択 組織選択 グループ選択 |
日時 | 日付 時刻 日時 |
URL・電話番号・メールアドレス | リンク |
ファイル | 添付ファイル |
テーブル | テーブル |
アプリ間の連携 | ルックアップ 関連レコード一覧 |
フォームの装飾 | ラベル スペース 罫線 グループ |
レコード情報 | レコード番号 作成者 作成日時 更新者 更新日時 |
出来上がったデータベースは、エクセルのように一覧で確認することができます。
任意の情報に絞って一覧を作っておくことができるため、目的に合わせてエクセルファイルを作り分ける必要はありません。
一覧からデータ入力画面と同じ「データの詳細画面」に遷移することができ、一覧に表示される情報は詳細画面に表示されている内容とリンクするため、「一覧には必要最低限の情報を表示しておき、詳細ではさらに細かい情報を管理する」ことが可能です。
このように、kintoneでは非エンジニアの方でも簡単にデータベースを構築することができます。
会社外やモバイル機器からも活用できる
kintoneはクラウドサービスなので、社外にいる場合でもスマートフォンなどで、手軽にデータを閲覧することができます。
クライアント先などで確認したい情報があった場合も、その場で確認することができるためスピーディな対応が可能になります。
また、クラウド上でデータの共有をすることで、ファイルの誤送信などによる情報の漏洩のリスクを回避することができます。
そのため、テレワークの導入を考えている企業様のデータ管理にもオススメです。
もちろん、セキュリティ面が気になるという場合には、IPアドレスによる制限や二段階認証、SSOのサービスと連携した端末認証等、様々な対策を講じることができます。
外部キーでの紐付けや1つのデータベース内で情報連携が可能に
kintoneではルックアップ機能(別のデータベースからキーとなる項目に紐づく情報を参照するイメージです)でリレーショナルデータベースのように外部キーでの紐付けができるため、正規化されたデータ構造を持つことが可能です。
紐づけが為されているデータは、「関連レコード一覧」として互いのデータベースに表示できるため、簡単にリレーションを可視化できます。
他にもデータベース内にサブテーブルと呼ばれる複数行のデータやドロップダウン等選択での登録も可能なため、必要に応じてデータベースを使いやすいように構築することができます。
ルックアップ:顧客管理に登録された情報を別のアプリで会社名をキーとして呼び出し
関連レコード:顧客コードで紐づけされた案件を顧客管理データベース内に表示
kintoneで作成できる業務用WEBデータベース(アプリ)の例を紹介
続いて、kintoneで作成することのできる業務用WEBデータベースの具体的な例を紹介いたします。
紹介する例からどのようにkintoneを活用できるかイメージしてみてください!
案件管理
案件進捗や受注確度などを確認できる案件詳細、顧客情報、活動履歴の記録を1つのデータベースに一元化することができます。
そのため組織全体での共有が容易に実現可能です。
日報管理
日報の入力や管理ができるデータベースです。
カレンダー形式での表示も可能であり、過去に自分が行った業務の振り返りを簡単に行うことができます。
見積書管理
顧客情報と紐づけることで、毎回会社名や住所の入力といった面倒な作業を減らすことができます。
kintoneとエクセルの違いは?
kintoneとよく比較されるツールとしてエクセルがあります。
kintoneの導入を検討中の会社さまの中には、「現在エクセルで管理しているデータを、今より便利に管理できるツールを探している」という方も多いことでしょう。
このセクションでは、kintoneとエクセルの違いを解説していきます。
エクセルは「表計算ソフト」であり、大量のデータ保有に向いていない
エクセルはデータの入力・更新・削除を手軽に行うことができるため、少ないデータを管理することには向いています。
しかし、100万行単位でのデータ保有となると、ファイルが重くなり、データが破損してしまう危険性があります。
また、エクセルではファイル・シート別でのデータ格納となるため、データ検索の際にひとつひとつのファイルを開いて検索をする必要があり、手間がかかってしまいます。
一方で、kintoneはクラウド型データベースのため容量に関係なく作業でき、データが重くなる・破損する可能性は低いです。
また、データをkintone上で一元管理でき、一つのアプリの中でデータを検索することも、kintone内のデータ全てを対象として横断的に検索することもできるため、エクセルと比べて非常に利便性が高くなっています。
関数機能はエクセルの方が柔軟に設定できる
kintoneには、エクセルのような「一覧に表示されているデータ」に対するSUMIF関数やCOUNTIF関数などの関数機能はありません。
しかし、標準機能で絞り込み条件付きの「グラフ」や「表」といった集計機能が搭載されているため、よほど複雑な集計を行いたいのでなければkintoneでも十分対応することができます。
また、一つのデータ内(エクセルで言う一行のデータ)であれば、計算フィールドや文字列フィールドの自動計算機能において数値の四則計算や&を用いた文字列の結合、IFやSUM等の関数を使うことも可能です。
利用できる関数を簡単にまとめました。
関数 | 説明 |
SUM | フィールドの値を合計することができます。 |
YEN | 計算結果を3桁区切りの金額形式で表示します。 |
DATE FORMAT | 日時の形式を変更します。 |
IF | 条件を指定し、その条件の真偽によって異なった値を返します。 |
AND | 条件を指定し、その条件の真偽によって異なった値を返します。 |
OR | 計算式で指定した条件のいずれかが真となる時は真を返し、そうでなければ偽を返します。 |
NOT | 条件を反転させます。 |
ROUND | 計算結果の数値を四捨五入します。 |
ROUNDDOWN | 計算結果の数値を四捨五入します。 |
ROUNDUP | 計算結果の数値を切り上げます。 |
CONTAINS | 指定したフィールドが条件と一致しているかどうかを判定します。 |
kintoneとマイクロソフトアクセス(RDBMS)の違いは?
データベースとしてよく利用されているものとしてマイクロソフトアクセスが挙げられます。
現在、マイクロソフトアクセスでデータを管理している会社さまで、「今のデータをスムーズにkintoneへ移行できるだろうか?」と考えられている方もいらっしゃることでしょう。
こちらではマイクロソフトアクセスにはあるものの、kintoneにはない機能に焦点を当てて解説をしていきます。
kintoneではトランザクション処理が難しい
kintoneの標準機能では、RDBMSのようにトランザクション処理を行うことができません。
そのため、商品の在庫数や価格など複数のアプリで利用するデータに関しては、注意をしながら更新をする必要があります。
また、どうしてもトランザクション処理を行いたいという会社さま向けに、レコード一括処理API「bulkRequest」というものがあります。
やや難易度は高いですが、このAPIを利用することでkintoneでもトランザクション処理をすることが可能です。
テーブル内のデータ更新方法が違う
マイクロソフトアクセス(RDBMS)では、外部キーに紐付けされたデータは常に最新となります。
kintoneにも「ルックアップ」という機能がありますが、関連先のデータをコピーとして貼る機能のため、関連先のデータが更新されても、ルックアップで引っ張ってきたデータは更新されません。
kintoneをマイクロソフトアクセスのように常に新しいデータに更新するには、カスタマイズで対応する必要があります。
外部キーに紐づけられたデータの自動更新についてはこちらで詳しくご紹介しています。
▼kintoneのルックアップ機能設定方法、よくあるご要望を徹底解説!
kintoneでデータベース設計するには注意が必要
非エンジニアの方でも簡単にデータベースを構築できるkintoneですが、知識がない状態でアプリを作成すると、後々思わぬ落とし穴に引っかかる可能性があります。
kintoneでデータベース設計をする際には、こちらで紹介する注意事項に気をつけながらアプリを構築していきましょう。
各データベースに格納するデータの範囲を決めて正規化する必要がある
kinotneは正規化されていないデータを格納することが可能です。
そのため、例えば既存データからそのままアプリを作る際等、データの状態によっては登録する際データが重複してしまう恐れがあります。
kintoneをデータベースとしてしっかりと機能させるためには、自社でのkintoneの活用方法に応じて、事前にデータを正規化する必要があります。
以下画像は正規化されていないデータの例です。
「顧客データベース」と「顧客担当者データベース」で住所情報が重複しています。
この状態では、住所が変更されたときには両方のデータベースを更新しなくてはなりません。
このような場合には、顧客担当者データベースでは顧客名をキーとしてルックアップを設定し、住所情報を顧客データベースから参照してくる形または関連レコードとして表示する形が望ましいでしょう。
▼正規化されていないデータの例
顧客データベース
顧客担当者データベース…顧客データベースと住所情報が重複
▼正規化された顧客担当者データベース
正規化と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、今あるエクセル等のデータを一度確認し、各エクセルで被っている情報がある場合には「どちらを正とするか」を決めてアプリ化し、従となるデータベース側には「ルックアップか関連レコードで表示」ができれば問題ありません。
kintoneを外部のDBと連携する方法は?
ここまでkintoneのデータベース機能や他のツールとの違いについて説明しました。
kintone自体がWEBデータベースとしての機能を持っているのですが、中には「kintoneのデータをSQLで操作したい」という方もいるでしょう。
そんな方向けにCData Syncというツールについて紹介します。
クラウドサービスからリレーショナルデータベースにデータ連携・同期ができるサービス「CData Sync for kintone」
「CData Sync for kintone」とは、クラウドサービスからリレーショナルデータベースにデータ連携・同期ができるツールとなっています。
SQL SeverやMySQLなど様々なリレーショナルデータベースにノンコーディングで同期をすることができるため、リレーショナルデータベースでのデータ操作に慣れている方には利用をおすすめします。
CData Sync for kintoneの具体的な利用方法
CData Sync for kintoneの具体的な利用方法を紹介します。
インストール後すぐに同期を行うことが可能ですので、気になったものがあればぜひ利用してみてください。
BIツールでの分析に利用可能
リレーショナルデータベースにkintoneデータを同期することで、TableauやPower BIといったBIツールでの分析をすることができます。
BIツールの活用によって、社内に蓄積された大量のデータを収集・分析し、迅速な意思決定を手助けすることができます。
データレイクとしての活用
kitnoneデータやその他業務で使われているデータを集約することで、機械学習に利用するデータ蓄積が可能になります。
データレイクはあらゆる情報を生データのまま保存することができるため、データサイエンティストなどの専門家が事業戦略の立案・企画・開発に活かす事ができます。
kintoneのバックアップに
いざという時用に、kintoneデータのバックアップとしても利用可能です。
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誰でも簡単にアプリを作成し、データベースを構築できるkintoneですが、データ量が増えてくると管理の煩雑さや運用上の大きな問題点が出てくる可能性があります。
そんな時は、まずは自社がkintoneを活用する目的・現状の課題の洗い出しを行い、その上でどのようなデータベースやアプリを構築すべきかを再検討することをおすすめします。
自社だけでは難しい場合には、kintone開発のプロに相談するのも一つの方法です。
コムデックではkintone伴走支援も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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