kintoneで工事見積書を簡単に作成!活用した標準機能とプラグインとは?|建設業 カエルデザインプロジェクト株式会社さまのアプリ開発事例
kintone上で売上管理や原価管理を行っている建設業の企業さまが増えてきましたが、せっかくkintoneを活用するのなら予実管理、つまり見積時と実際の売上や原価の比較もkintone上で見られるようにしたいですよね。
しかし、建設業の見積もりは複雑で、細かい内訳が必要になるため、kintone化は難しいのが正直なところ。
でも予実管理はあきらめたくない……そう思ったひとつの企業さまが、工事見積のkintone化にチャレンジしました。
今回の記事では、工事見積書の作成をkintoneで実装することに成功し、予実管理を実現した建設業 カエルデザインプロジェクト株式会社さまのアプリ開発事例をご紹介します。
目次
エクセルで工事見積書を作成するのは大変でミスも起こる…kintoneで効率化できないか?
カエルデザインプロジェクト株式会社さまは、北海道を中心に内装工事や電気工事、電気通信工事などを手掛ける企業さまです。
従来の設計・建設会社の枠にとらわれず、WEBサイトやビジネスツールも作成するなど、幅広いサービスを提供されています。
カエルデザインプロジェクト株式会社さまでは、すでにkintone(キントーン)で顧客・案件管理システムを構築済み。
これによって、現時点での売上管理や、未来の売上まで集計する売上予測管理をkintone上でできるようになりました。
顧客管理と案件管理をkintone化した事例はこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼krewDashboardで脱エクセル!kintone活用で案件管理の集計を自動化| 建設業 カエルデザインプロジェクト株式会社さまのアプリ開発事例
そんなカエルデザインプロジェクト株式会社さまが次に取り組みたいと考えたのが予実管理です。
予実管理をkintone化するために必要な「実」の部分(売上管理)は既にkintone内で集計できる仕組みが整っていますが、「予」にあたる見積部分が曲者でした。
というのも、カエルデザインプロジェクト株式会社さまが作成していた従来の工事見積書は、エクセルのシートを複数に分けて内訳を作成したり、関数をつかって印刷用のフォーマットに落とし込む形式でした。
内訳がいくつも必要になるため、kintone化してしまうとかえって複雑化してしまい、使いにくくなる恐れがあったのです。
しかし、工事見積書がkintoneで作成できれば、これまで行っていた売上管理・売上予測管理に加えて、予実管理も可能になります。
予実管理を実装するため、なんとか工事見積書をkintone化したいと考えたカエルデザインプロジェクト株式会社さま。
工事見積書は項目が多いうえに計算方法も複数あり、システム構築の難易度が高いため、できる限りシンプルな方法での構築を目指しました。
標準機能とプラグインを用いて、kintoneで工事見積書を作成
複雑な工事見積書をkintoneで実装するために、現在の見積書作成の手順を分解し、どうやったらその仕様をkintoneで実現できるかを1つひとつ検討していきました。
このセクションでは、どうやって工事見積書をkintoneに実装していったのか、そのプロセスを解説します。
エクセルでの見積書作成手順を因数分解
まずは、現在どのような工程で工事見積書を作成しているか把握するために、エクセルでの作成手順を因数分解しました。
工事見積書の作成手順は、「内訳を入力」と「関数を使って内訳をコピー」の大きく2つに分けられます。
ただし、内訳を入力するといっても一筋縄ではいきません。
カエルデザインプロジェクト株式会社さまでは、販売額を算出する際に「仕入原価に率をかけるパターン」と「商品ごとに決めるパターン」の2つがあるため、どちらのパターンなのかを判断して金額を決める必要があります。
内訳を作成したら、あらかじめ設定してあるエクセル関数を用いて売上・営業利益・利益率などの各数値を自動算出しています。
ここについてはkintoneで十分実装できそうです。
kintoneの標準機能でできること、プラグインでできることを整理
現状の手順を確認できたら、続いてkintoneの標準機能やプラグインを用いて実装できることを整理していきます。
検討の結果、今回のアプリ開発では以下のような標準機能・プラグインを利用することとなりました。
<標準機能>
- テーブルに対するSUM関数を利用し、現在編集中の工事費計と変更前の工事費計を表示して編集前後の価格を確認する
- 各明細に対して仕入先を紐づけ
- 原価と掛率から参考単価を算出し、単価項目へ手動でコピーする
- 入寮した工事費と原価から粗利を自動計算
<プラグイン>
- ルックアップ内サブテーブルコピープラグイン:あらかじめ登録された見積書のフォーマットを呼び出す機能
- 条件分岐処理プラグイン:仕入れ先や掛率を一括更新する機能、各内訳の合計金額を表紙へ反映する機能
- タブ表示プラグイン:縦に長い入力画面をタブで切り替えることで入力しやすくする
- krewData(クルーデータ):入力された見積書の内容を案件管理や原価管理アプリへ転記し、売上管理、売上予測管理、予実管理を可能にする
- krewSheet(クルーシート):エクセルに近い操作性を実現
- ちょっと便利なプラグイン:テーブルの行追加ボタンを左にするなど、運用上で使いづらい点を解決
- フィールド非表示プラグイン:一部の項目を非表示にし、入力・閲覧画面をすっきりにする
各プラグインの整合性も考えつつ、標準機能とプラグインの最適な組み合わせを検討しました。
1つずつプラグインや機能を設定していき、動きを確認
活用する機能とプラグインが整理できたら、実際に1つずつ設定を進めていきました。
しかしここでも問題が発生。
kintoneのプラグインは追加機能のため、組み合わせによっては競合が発生することもあり、そうなると想定通りの動作になりません。
競合が発生してしまった場合には、運用フローの変更や別プラグインの導入など対処法を模索していきました。
特定のパターンでエラーが出るたびに操作手順を確認して、エラーをつぶしていくプロセスにはかなりの時間がかかりましたが、なんとか実装することができました。
今後も運用を続けつつ、操作性などの改善を進めていく予定です。
複数階層の工事見積書をkintoneで実装
試行錯誤を重ねた結果、出来上がった見積書アプリがこちら!
工事項目ごとに内訳が入力できるようになっており、左のタブから対象の内訳を選択できます。
操作する内訳を開いたら、テーブル形式で詳細な見積を入力していきます。
ここは標準機能の計算フィールドで、原価と掛け率を入力すると参考の単価が自動で計算されるようになっています。
内訳の内容を登録が終わったら、「内訳明細を表紙反映」ボタンを押下することで内訳の内容が見積書の表紙に自動反映されます。
これにより、内訳(2階層目)の情報を元に表紙(1階層目)のデータを自動作成できるようになりました。
あとは、このデータをkintoneの連携サービス「プリントクリエイター」で出力すれば、工事見積書の完成です。
kintoneで工事見積書を作成するメリット
カエルデザインプロジェクト株式会社さまでは、工事見積書をkintone化したことで予算額を自動集計できるようになったため、案件管理アプリに予算の合計額を手入力する必要がなくなりました。
また、過去の見積書を検索・参照することも容易にできるようになったため、必要な見積もりに似ている過去の見積書を複製することができ、見積書作成の手間を削減できています。
画面上でワンクリックで見積にアクセスできるため、どのような見積内容だったかをすぐに把握できるという副次的な効果もありました。
しかしその一方で、kintone化したことによりどうしてもエクセルに比べて自由度は落ちてしまいます。
リリース直後はエクセルの見積書を使い慣れていた現場からの改善要望の難易度が高く、解決までには時間を要するものもありました。
また、kintoneでは応えきれない要望には現場の運用でカバーしてもらう必要があり、その都度現場への説明が必要だった点も、実装までの苦労の一つです。
kintoneで工事見積書を作成することで、業務効率化・予実管理が可能に
カエルデザインプロジェクト株式会社さまでは、工事見積書をkintone化することで予実管理も効率化し、過去の見積を参照しやすくなりました。
複雑な工事見積書も、1つひとつ工程を分解し、kintoneの機能やプラグインを組み合わせて設定していくことでkintone化できます。
今回の実装でカエルデザインプロジェクト株式会社さまの工事見積書作成の形は完成したため、今後は現場から出てくる要望を吸収し、さらに使いやすい環境の構築を進めていく予定です。
コムデックでは、お客さまの要望や課題に合わせたアプリを構築する「kintone対面開発」を行っております。
自社では構築が難しい実装も承りますので、まずはお気軽にお問い合わせください。