年間1千万以上の費用対効果を生んだkintone導入・アプリ開発事例を大公開!アナログ管理を脱するためのポイントとは?|クレーン設置・点検業 株式会社クレーンメンテ広島さま
広島県を中心にクラウドシステムづくりやチーム作りを手掛けている株式会社ixisさまが2021年7月14日に開催した「いま、中小企業に必要なIT活用セミナー」に、コムデックラボにも何度かご登場いただいている株式会社クレーンメンテ広島さまが登壇されました!
kintoneを導入し約1年半、kintoneを導入したきっかけや苦労、活用状況や効果を、生の声でお届けします!
目次
「必要書類が残っていない……」現場に足を運んで課題を認識
これまでにも何度もコムデックラボにご登場いただいている通り、kintone(キントーン)を活用した業務改善に積極的に取り組まれている会社さまになります。
株式会社クレーンメンテ広島さまがバックオフィスの業務のすべてをkintoneで管理しはじめたのは2019年の末のことです。
では、それまではどのような形で仕事に必要な情報を管理していたのでしょうか?「アナログ管理」の初期段階だったという2018年ごろの様子から伺っていきましょう。
2018年に鳴谷社長が就任され、まずは現場に足を運んで業務に取り組む中で、以下のような問題点に気がつかれました。
- 書類のフォーマットや作成方法がバラバラ
- 必要な書類がない場合も
- 届いた請求書の内容をチェックせず支払処理をしている
- お客様都合で発生する待機時間がただの空き時間になってしまっている
- 今月点検が必要なクレーンの台数がわからない
- リアルタイムでの業績がわかるデータがない
M&Aにより社外から社長に就任されたため、まずは現状を把握したいということで「過去の記録」や「数字」を探そうとしましたが、調べようとしてもデータが見つからない状態だったといいます。
「デジタル化以前の問題で、必要なデータが紙でもそろっていない……そんな状態でした」と鳴谷社長は当時を振り返ります。
発注トラブルを契機にまず取り組んだことは「アナログでもとにかく記録!」
記録がきちんと残っていないこと、資料が管理されていないことに危機感を募らせていた矢先に、実際にトラブルが発生してしまいます。
取引先からの口頭発注を受けてクレーンの部品を手配したものの、先方自由でキャンセルに。
正式な発注書を取り交わしておらず、またお客様から一度は発注を頂いていたことも社内では共有されていませんでした。
キャンセル依頼があった段階でようやく鳴谷社長に相談があり、事態が発覚。
見積書の発行や受発注も全て個人の裁量でおこなわれていたため起こったトラブルでした。
このトラブルが契機となり、鳴谷社長は業務の流れを整理し、自分が確認すべきところでチェックが入る体制を整えることを決意されました。
鳴谷社長が取り組まれた業務改革は大きく3つのステップに分けることができます。
社内業務のフローを整理し、必要なところでチェックが入る体制を整えました。
そこで、各書類のフォーマットを社内共通とし、ナンバリングや保管のルールを定めました。
書類の保管方法は案件ごとにまとめてファイリングしていくことにし、後からでも探しやすい状態を目指しました。
kintoneプロセス管理機能を使ってワークフローをkintone化する方法についてはこちら!
▼ワークフローをkintone化!プロセス管理・申請承認業務をペーパーレス化した事例を紹介
毎日地道に数値の入力を続けた結果、業績がリアルに見えるようになってきました。
「アナログな記録」を積み重ねる業務に本業が圧迫されはじめた
この時点で、株式会社クレーンメンテ広島さまの全ての書類は紙で保管されていました。
紙の書類が着実に蓄積されるようになり、次に持ち上がったのは「書類作成が紙やエクセル、保管が紙」であるがゆえの問題です。
紙で保管された書類には、以下のような問題点があります。
- 保管に場所が必要
- 必要な書類を探すために時間や手間がかかる
- データ集計に時間がかかる
- ひとつの案件に対して発生する複数の書類に都度転記が必要
- 社内にいないと書類作成ができない
- 手書きに手間がかかる
保管場所以外の問題は全て、社員さんたちの業務時間を圧迫します。
「管理方法がアナログなことによる無駄な作業」が多く、本来時間を割きたい本業、株式会社クレーンメンテ広島さまの掲げる「突発修理ゼロを目指す」ための業務にかけられる時間が削られはじめていました。
脱・アナログ!kintoneの導入に向けて社長が動き出した
kintoneに大いに興味を持たれた鳴谷社長が、コムデックのある伊勢までお越しくださり、kintone導入に向けた打ち合わせがスタートしました。
まずは実現したい状態や現状の業務フローをていねいにヒアリング。
案件管理を軸としてkintone化を進めることに
案件の発生(取引先からの相談)から請求までを一元管理する「案件管理アプリ」を作成し、案件管理を軸として「顧客管理アプリ」「見積作成アプリ」「発注管理アプリ」…とkintoneによる情報管理を広げていきました。
kintoneはアプリ間のデータ紐づけが容易なため、それぞれに必要な取引先の基本情報なども簡単にコピーできます。
これによって案件の進捗もkintoneをチェックすれば一目瞭然、という状態になりました。
▼【紙での資料管理にお困りの企業必見】膨大な紙資料をkintone化!顧客管理・案件管理をペーパーレスに|クレーン設置・点検業株式会社クレーンメンテ広島さまの事例ー前編ー
エクセルなどへのデータを移し替える必要がないため、手間もミスもなくなりました。
毎日手入力していたエクセルの売上集計も自動化!分析に時間を使えるように
これもkintoneで案件管理をするようになり、自動で計算され集計されるようになりました。
日々の業績もkintoneによってデータ化されるため、各所への確認と打ち込みの作業から解放されたのです。
kintoneを開けば、業務の種類別など見たい形でデータを確認できるようになりました。
kintoneを導入するまでは、データを作るまでに手間と時間がかかりすぎてしまい、データ化することがゴールになってしまっていた売上管理。
今ではデータ化までは自動でおこなわれるため、比較や分析にしっかりと時間を掛けられるようになり、会社の戦略検討に時間を使えるようになりました。
経験してわかったIT活用の難しさ!kintone導入の過程には苦労も
ただ、これらの苦労は、今回のkintone導入が成功するキーとなったともおっしゃいます。
鳴谷社長が感じられたkintone導入で苦労されたポイントを、アプリ構築期と運用期に分けてご紹介します。
・実現したいことを言葉や文章にして伝えることに苦労した
理想の状態に関してイメージはあるものの、それをアウトプットすることの難しさを感じられたそうです。現場を良く知る鳴谷社長と、ツール(kintone)を良く知るコムデックで、実際の書類なども見ながらホワイドボードを使ってたくさんの議論を重ねました。
・あらゆる事態を想定したため時間とパワーを要した
「業務の根幹をkintoneに切り替えるのだから、下準備をしっかりすべきである」と考えられ、時間をかけながらの作成でした。実際に、試作アプリの運用は早めにおこなって社員さんからの意見も参考にしながら改善を重ねており、完成品であるアプリの運用までには半年ほどかけています。
また、従業員さんに「何をどう進めているのか」の報告を欠かさないようにすることも意識されたそうです。
・すべての要望に対応しようとしてアプリが使いづらくなってしまった
改めて「何のためにkintoneを導入しようとしているのか」に立ち返り、「社員さんの負担を減らすこと」というはじめの問題を改善できるものになるよう、修正していきました。
・社員さんたちへのストレスへのフォローをじっくりおこなう必要があった
改善であっても業務のやり方が変わることは、ストレスとなります。社員さんが使ってみての不満、使いにくさについては細かくフォローをおこない、使う社員さんたちがなるべくストレスを感じずに済むよう気を付けて進行。
一方でダブルスタンダードはあえて作らない(kintone使えない人は紙でもいいよ、としない)ことを徹底し、環境をしっかり整えたのです。
kintone導入で得られた成果、費用対効果は?
kintone導入の効果1.物理的保管場所、紙の量の問題の解消
その結果、紙やファイルの使用量が減り、経費の大きな削減につながっています。
収納スペース確保のための作業や心配もゼロになりました。
紙の書類については今後もさらに減らしていける見込みがあるそうです。
kintone導入の効果2.作業効率アップ
kintone導入によって、出先での空き時間や移動中にタブレットから作成できるようになりました。
テレワークで対応できる業務が増え、柔軟な働き方が実現しています。
また、複数書類が発生する場合も重複しての入力が不要になるなど、月210時間の作業時間が削減され、従業員7名の株式会社クレーンメンテ広島さまで月間84万円、年間1008万円分の費用対効果が得られているとのことです。
kintone導入時に気を付けるべきポイント……ITを本業に力を注ぐためのツールとして活用していく
kintone導入実施から一段落した鳴谷社長は「ITは本業により注力するためのツール」だと強く感じていると話されます。
「本業により注力するためのツール」としてkintoneを活用するために、鳴谷社長が考えるkintone導入時に気を付けるポイントは以下の通りです。
- 社内の問題点の洗い出しと業務フローの明確化、ルール化が必要
- 導入するなら準備期間をしっかり確保し、従業員への情報展開を行う
- ダブルスタンダードは作らない(kintone使えない人は紙でもいいよ、を許さない)
- 使う側の立場になって、ストレスフリーになるような改善を常に行っていく
株式会社クレーンメンテ広島さまは、業務をより効率化すべく動きつづけておられます。
現在はRPA(Robotic Process Automation)も活用して、誰でもおこなえる業務の自動化にも取り組まれています。
今後は「突発修理ゼロ」というミッション実現のために不具合の原因や周期などのデータを蓄積し、現場での判断にも活用していくようなものを作ること、を目指していかれるそうです。
株式会社クレーンメンテ広島さま、鳴谷社長さま、貴重なkintone活用事例のお話をありがとうございました!
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