総務でkintone活用 備品の購入履歴を見える化|総合建設業 株式会社井藤工業さまのアプリ開発事例
業務に必要な備品を従業員からの申請で購入したり、従業員に貸与したりといったことは日常的に企業の中で行われています。
特に建設業では、作業着や安全靴、ヘルメットなど、様々な種類の備品を貸与しているケースが少なくありません。
それでは、誰の申請で何を買ったのか、従業員に何をどれだけ貸与しているのか、購入価格なども含めて正確に管理できているでしょうか?
今はエクセルや紙を使用して管理いるものの、しばらく更新されておらず情報が最新に保てていないというケースは多いでしょう。
これでは、せっかく管理方法を用意しても意味がありません。
建設業の総務でこうした備品購入履歴の管理に課題を抱えているなら、kintoneの活用がその打開策になるかもしれません。
そこで、今回は自社で作業服の購入履歴管理アプリを構築された建設業での事例をご紹介します!
購入履歴管理をつくりたい企業様はもちろん、「自社で作ってみたいけれど、どれくらいのものなら専門家じゃなくても自作できるのか知りたい」という企業様も参考にしてみてください。
目次
「誰が、何を、いくつ?」エクセルでは購入履歴管理が複雑に
愛知県名古屋市に拠点を構え、「お客様に喜んでいただける企業であり続ける」ことを理念に事業を展開されている株式会社井藤工業さま。
土木工事(路・堤防・橋梁・宅地造成など)を中心に、一般住宅からマンションやアパート、店舗、病院まで幅広い建築工事も請け負っています。
建設業の場合には、作業服や安全靴、ヘルメットや工具など、さまざまな備品が業務に欠かせません。
従業員個人が利用するものではありますが、こうした備品については従業員から申請を受けて会社で購入することも多いのではないでしょうか?
株式会社井藤工業さまでも、従業員からの要望に応じて会社が購入して従業員に貸与する形を取っていました。
しかし、そこで問題となっていたのが冒頭でもお伝えした備品購入履歴の管理だったのです。
これまで株式会社井藤工業さまは、作業服や安全靴といった備品について「誰からの申請で何をどれだけ購入したか」、つまりは購入履歴を管理していませんでした。
「申請したもの勝ち」の状態のため、人によって保持している備品の数や種類も異なっており、「多い人は多いし、少ない人は少ない」という不平等が発生していたのです。
また、いつも同じ仕入先から購入しているわけではなく、時期により購入するサイトを変えていることから価格変動が起きていたり、製品が廃版になって変更していたりすることもあり、いったい誰に何をいくら分貸与しているのかがわからない状態でした。
まずはだれが何を持っているかから管理をしようということで、エクセルで管理表を作成した株式会社井藤工業さま。
1つのシートで全従業員の情報を管理できる状態を目指して作成したのが以下画像の管理表です。
確かに必要な情報は1シートに収まっていますが、結局今「誰が何をどれだけ持っているのか」を一目で把握することはできません。
エクセルでの管理に限界を感じた株式会社井藤工業さまは、エクセルではなくkintone(キントーン)を用いて管理することで、「購入履歴管理」と「今誰が何をいくつ所持しているか」を一つのアプリで見える化できるのではないかと考えました。
kintoneの作業服購入履歴アプリに必要な情報とは?まずは自社で構築
購入履歴を管理することで「申請した者勝ち」になっている状況を打破して不平等を無くし、「誰に」「何を」「いつ」「いくらで」購入して、今現在「誰が」「何を」「いくつ」持っているか等の状況を明確に管理していきたいということでエクセルのkintone化を検討し始めた株式会社井藤工業さま。
株式会社井藤工業さまは、すでに総務を中心としてkintoneを活用していました。
コムデックラボでもご紹介している事例では、建設業における勤怠管理をkintone化し、出勤簿を元に給与計算に必要なデータを自動的に集計できるようなアプリを構築しています。
出勤簿をkintone化した事例については、こちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneで勤怠管理から給与計算まで完結!出勤簿の脱紙・脱エクセルを実現|総合建設業 井藤工業さまのアプリ開発事例
kintoneとは、高度なプログラミング知識を必要とせず、誰でも簡単に業務効率化アプリの作成が可能なツールです。
ドラッグ&ドロップやエクセル・CSVを読み込むだけで、簡単にアプリを作ることができます。
また、コムデックの対面開発では、お打ち合わせをしながら実際に目の前でアプリを作っていくため、その過程を見ながら自分たちでもアプリ構築を覚えることが可能です。
とは言え、項目が多く複雑なアプリや、プラグインの細かい設定が必要なアプリをいきなり自社で作成するのは難しいものです。
しかし、今回作りたいアプリは作業服の購入履歴管理アプリ。「誰が今何をいくつ持っているか」という「現時点での集計」はいったん横に置いておいて、購入履歴という観点で考えると必要な情報は「従業員名」と「備品名」、「購入先」、「購入日」、そして「値段」の最低5項目があれば運用できそうです。
比較的シンプルなアプリで運用できそうだと考えた株式会社井藤工業さまでは、 作業服購入履歴アプリについてまずは自社で構築してみることになりました。
kintoneについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
▼kintoneとは?実現できること・業務アプリの例もご紹介!
建設業における作業服購入履歴アプリ構築のポイント
株式会社井藤工業さまが一度自社でアプリを作成されるにあたって、事前にコムデックから以下の3つのアドバイスをお伝えしました。
作業服購入履歴アプリ構築のポイント
- 従業員名簿をマスタとして引っ張ってくる(ルックアップを使う)こと
- 購入先も「協力業者」アプリをマスタとして活用すること
- 既にコムデックが構築済みのメンテナンスアプリの形をベースに作成すること
まず一つ目と二つ目は「直接従業員名や購入先を入力するのではなく、マスタとなるアプリから参照する形にしましょう」というアドバイスとなります。
kintoneには、「ルックアップ」という「別のアプリの情報を参照して自動入力する」機能が標準で備わっています。
この機能を使うことで、例えば「○○株式会社」「○○(株)」などの表記ゆれが起きず、統一した名称で情報を登録できます。
ルックアップ機能では、一つの項目だけではなく周辺の別の項目も一緒にコピーできるので、例えば「会社名」をキーとして、会社名だけではなく郵便番号や住所も元の「会社情報」アプリから取得してくることが可能です。
何故このルックアップ機能を使うことを推奨したかと言うと、後々「誰が何をどれだけ持っているか」「金額合計はどれだけか」といった集計を行う際、表記ゆれがあると正しく集計できなくなってしまうためです。
三つ目のメンテナンスアプリの形をベースして作成するというアドバイスは、メンテナンス管理アプリが株式会社井藤工業さまの作りたい作業服購入履歴と構造が同じだったためです。
「メンテナンス履歴管理」アプリは、案件管理アプリの「工番」をルックアップのキーにして、顧客名や工事名、引渡日を案件管理から連動させています。
作業服購入履歴も、前二つのアドバイスの通り「購入先」を「協力業者」アプリからルックアップし、「協力業者」アプリから購入先名だけではなく購入先のURLも参照してくる仕組みが良いのではないかと考えたため、ルックアップ構造の参考のためにメンテナンス履歴管理をベースに作っていただくことにしました。
これらのポイントを踏まえ、株式会社井藤工業さまの作成されたアプリがこちらです。
アプリの画面上で、「誰に」「いつ」「何を」「いくらで」購入したのかを表示。さらに、外での作業が多い建設業だからこそ、季節ごとに異なる備品に配慮して「どの季節に使うものなのか」も分かるようになっています。
購入履歴をこのアプリに登録していくことで、「誰がいつ何をいくらで買ったか」というデータが蓄積されていきます。
データが蓄積されたら、次は「現時点で誰に、何をいくら分購入したのか」を集計しました。
この集計にはクロス集計という機能を使い、人別に何をどれだけ買っているのかを一目で判断できるようになっています。
kintoneのクロス集計は、エクセルのような使用感で、データの比較や詳細な分析が可能という点が大きな特徴です。
さらに、グラフは円グラフや折れ線グラフ、棒グラフなど、さまざま形式が標準機能として搭載されています。
kintoneのクロス集計機能についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneでのクロス集計の手順を徹底解説!利用上の注意点についても紹介
バックオフィス業務をkintoneで管理するメリットとは?
株式会社井藤工業さまでは、建設業の総務で課題となりがちな備品の購入履歴管理にkintoneを活用することで見やすくかつ適切に管理できるようになりました。
同じような同様の備品をいつ買ったのかを従業員別に把握できるため、買い替えの購入申請タイミングが適切なのかどうかをデータを元に判断することができます。
これまで点でしか管理できなかった情報が、kintoneによって線で管理できるようになったのです。
従業員ごとの購入金額も見える化されるため、不要な備品購入による無駄遣いを防ぐこともできるようになりました。
履歴を蓄積していけばデータは自動で集計されるため、もしも無駄があればすぐに発見し、是正へとつなげることが可能です。
会社全体の購入金額が明確になったので翌年の予算を検討しやすくなったというメリットもあり、ただ履歴が見える化しただけに留まらない効果が期待できます。
また、kintoneのルックアップ機能を使うことで、従業員の情報や購入先の情報は別アプリから参照して入力することができます。
これによって入力の手間やミスが減るほか、各情報を紐づけて「関連レコード」として相互に参照しあうことも可能です。
例えば株式会社井藤工業さまの場合、従業員の情報は社員名簿アプリから、そして購入先の情報は協力業者アプリからルックアップしています。
そうすると、社員名簿のその従業員のページでも、関連レコードとして「これまで何を購入しているか」が見られるようになるのです。
自社でアプリを作って総務でkintoneを活用しよう!
今回は、建設業のバックオフィス業務でkintoneを活用し、備品購入履歴の見える化を実現した事例をご紹介しました。
特に従業員個人の使用する備品を会社で購入されている場合は、「誰に」「いつ」「何を」「いくらで」購入したのかという情報を把握し、無駄が生じないよう管理することが大切です。
もちろん、従業員が自ら購入して後日清算するというケースでも、同様のことが言えるでしょう。
kintoneはドラッグ&ドロップによる簡単操作のため、プログラミングや難しいアプリ構築の知識がなくても、自社でアプリを作成し活用することができます。
アプリによる情報の見える化は適切な管理体制の構築だけでなく、業務改善や経営の健全化などにもつながるでしょう。
備品の購入履歴に関する情報の管理、そして集計・分析等に課題をお持ちの建設業の企業さまは、自社でアプリを作ることでkintone化を検討してみてはいかがでしょうか。
自社でアプリを構築するのが難しそうな場合には、専門家に依頼するのも一つの方法です。
今回の事例のように、対面開発で作り方を覚えて、簡単なアプリは自作してみるという手段もありますので、アプリ構築をやってみたいけれどいきなりは不安……という場合には是非コムデックにご相談ください!
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