時給を15分単位で計算する際の注意点・正しい勤怠の計算方法
給与計算は正確な勤怠時間の記録をもとに行うことが鉄則ですが、実際には企業によって15分単位・30分単位などさまざまな端数処理が行われています。
今回の記事では、法律では労働時間の計算がどのように決められているのか、効率良く運用するにはどのような方法があるのかを解説します。
この記事でわかること
- 労働時間を15分単位で計算する方法
- 労働時間を計算する際の注意点
こんな人におすすめの記事です
- 正しい勤怠の計算方法を知りたい人
- 給与計算を効率化したい人
目次
労働時間を15分単位で計算する際の注意点
労働時間を計算する際には法律を正しく理解しておく必要があり、誤った方法で計算すると賃金の未払いなど重大なトラブルにつながるおそれがあります。
1日あたりの計算の誤差がわずかなものであっても、それが数か月、数年と積み重なると、未払い額が何十万円もの金額になってしまうことも珍しくありません。
現在は未払い給与の消滅時効は3年とされていますが、いずれは5年まで延長される可能性が高いため、小さい金額と侮らずきちんと把握することが大切です。
給与面での労使トラブルを避けるためにも、まずは法的な原則をおさえておきましょう。
労働時間は1分単位で計算するのが原則
労働基準法には次のような条文があり、労働時間は原則1分単位で計算すべきと定められています。
(労働基準法 第24条)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
※労働基準法 | e-Gov法令検より引用
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049. Accessed 21 April 2022.
これは「賃金全額払いの原則」と呼ばれるもので、働いた時間は切り捨ててはならず、全ての労働時間に対して賃金を支払うよう定められています。
ところが、1分単位で労働時間を集計するためには60進法を使う必要があり、計算が非常に煩雑になります。
そのため実態としては、小数に換算しやすい15分単位などで勤怠管理をしている企業も多くあります。
この場合、15分単位で端数を切り捨てると「全額払い」に反してしまうおそれがあるため、現場レベルでの工夫も必要になります。
例えば「17:30まであと10分あるので、それまで書類整理をしてから帰ってください」というように、短時間でできる業務を指示して、意図的に15分区切りを作ることが有効です。
1か月単位であれば切り捨て・切り上げが認められる場合も
先ほど、「労働時間は1分単位での計算が原則」と解説しましたが、例外的に一部の項目では1か月単位であれば切り捨てを認める判例もあります。
(昭和63年3月14日付通達 基初第150号)
一か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に一時間未満の端数がある場合に、三十分未満の端数を切り捨て、それ以上を一時間に切り上げること
※19880314 基発第150号 労働基準法関係解釈例規についてより引用
http://www.joshrc.org/files/19880314-001.pdf
ここでのポイントは「時間外労働、休日労働、深夜業」の3項目のみであることと、それぞれ「1か月の合計時間」のみ端数処理できるという点です。
具体的には次のような計算になります。
(端数処理の例)
- 1か月間の時間外労働の合計が10時間29分→29分を切り捨てて10時間00分とする
- 1か月間時間外労働の合計が10時間30分→30分を切り上げて11時間00分とする
「1か月の合計時間」を端数処理することは認められていますが、1日単位の労働時間を切り捨て処理することは認められませんので、注意しましょう。
こんな場合はどうする?例外時の計算方法
労働時間を集計していると、次のような例外が発生します。
それぞれ、どのように計算すべきか見ていきましょう。
遅刻・早退・欠勤
遅刻・早退・欠勤に関して、労働していない部分には賃金を支払う義務がありません。
働いていない分は支払わなくて良い、という考え方を「ノーワーク・ノーペイの原則」と呼びます。
ただし、支払わなくても良いのは遅刻・早退・欠勤した「1分単位の」部分です。
例えば所定労働が8時間の企業で5分遅刻した場合、残りの7時間55分については1分単位で賃金を支払う義務があります。
また、遅刻に関連してよく問題になるのが、電車遅延の取り扱いです。
電車遅延は労働者本人のせいではなく不可抗力なので、遅刻として控除すべきか迷う担当者も多いことでしょう。
法的には、遅刻の原因が電車遅延であっても「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用でき、その部分の賃金は支払う義務がありません。
ただし、就業規則で「遅延証明書を提出したら支払う」などと定めている場合には、遅刻した時間分も支払いが必要になります。
企業ごとに個別のルールで運用することになりますので、一度就業規則を確認し、労働者にも周知しておくと良いでしょう。
時間外労働・休日労働・深夜業
勤怠管理の中で、最も問題になりやすいのが時間外労働・休日労働・深夜業です。
これらの項目も、先ほどご紹介した「1か月の合計時間」以外は、原則は1分単位で計算が必要になります。
賃金を計算する際には、割増率の違いにも注意しましょう。
勤怠の区分 | 割増率 |
時間外労働 | 25%以上 |
深夜労働 | 25%以上 |
休日労働 | 35%以上 |
時間外労働かつ深夜労働(25%+25%) | 50%以上 |
休日労働かつ深夜労働(35%+25%) | 60%以上 |
月60時間を超える時間外労働(※) | 50%以上 |
月60時間を超える時間外労働かつ深夜労働(※) | 75%以上 |
(※)は2023年3月までは大企業のみに適用。
労働時間を計算する際の注意点
労働時間の計算は、賃金の支払いに直結する作業です。
給与担当者にとっては単なる計算ミスであっても、労働者にとっては金額の大小に関わらず企業に対する信用問題になりかねないため、細心の注意が必要です。
エクセルでの計算は入力ミスに注意
エクセルで計算する際には、2つのミスに注意が必要です。
1つ目は、数字を入力する際のミスです。
人の手で作業する以上、どんなに気を付けていてもミスは起こりますので、ダブルチェックを行うなど仕組みで防ぐことも大切です。
2つ目は、設定した数式が崩れることによるミスです。
エクセルで勤怠管理をする場合は、関数機能を利用するのが一般的です。
一度設定すれば自動的に計算できるため便利ですが、意図せず数式を削除してしまったり、編集してしまったりすることが起こり得ます。
この場合、数式が間違っていることに気づきにくいうえ、「自動計算だから正しい」という過信も生まれるため、発見が遅れてしまう危険性が高いです。
防止策としては、自動計算を設定したセルには編集ロックをかけておくなど、うっかり触ってしまわないような設定をしておくことが有効でしょう。
タイムカードは打刻時間と労働時間がズレる
タイムカードで記録する場合は、打刻時間と労働時間がズレることがあります。
多くの企業では、タイムレコーダーが建物の入口や更衣室付近、事務所の隅などに設置されています。
そのため、労働者が実際に就業する場所から離れていることも多く、1分単位での厳密な管理が難しくなります。
企業によっては、タイムレコーダーは入退館の記録として扱い、これとは別に労働時間を自己申告させ、二重に管理しているところもあります。
正しい労働時間の計算なら勤怠管理システムがおすすめ
勤怠管理をエクセルやタイムカードで行うことには、正確性や即時性の面で不安が残ります。
そこで、これらを解決できる方法としておすすめなのが、クラウド勤怠管理システムの導入です。
クラウド勤怠管理システムでは、打刻さえすれば自動で集計されるため、計算ミスの心配がありません。
また、パソコンやタブレット、スマートフォンから打刻ができるため、実際の労働時間との差異も発生しにくくなります。
クラウド勤怠管理システムにはさまざまなものがありますが、コムデックがおすすめしているのは「KING OF TIME」というクラウド型勤怠管理システムです。
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