kintoneとRPAで業務をさらに効率化!ひと工夫でイレギュラー時の手動実行が可能に|クレーン設置・点検業 株式会社クレーンメンテ広島さまのアプリ開発事例
最近はRPA(Robotic Process Automation)を活用する企業様も増えており、さまざまな業務を自動化できるようになってきました。
RPAを活用すれば、決まったタイミングで、手間をかけずに速く・正確な処理ができるようになります。
しかしその一方で、自動化したがためにイレギュラーが発生したときの部分的な処理ができず困ったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
イレギュラーな処理のためにシステムの設定を変更すると全体の処理の方に影響が出てしまうため、仕方なくそのイレギュラーな処理だけは手動で行ったという方も多いかと存じます。
そんなときに便利なのが、任意のタイミングでRPAを手動実行できる仕組みです。
本記事では、RPAツール「Coopel」を手動実行する仕組みを構築した、株式会社クレーンメンテ広島さまの事例を紹介します。
自動化には興味があるけれどなかなか踏み切れないという企業さまも、ぜひ参考にしてください。
目次
ルーティンワークはkintoneとRPAで効率化に成功
株式会社クレーンメンテ広島さまは、広島市に本社を構えるクレーン設置・点検業の企業さまです。
クレーンの設置や点検において、万が一にも故障などでお客さまの業務に支障が出ることのないよう「突発修理ゼロ」を目指して、職場環境や業務の改善にも積極的に取り組まれています。
株式会社クレーンメンテ広島さまはコムデックラボで何度もご登場いただいており、すでに自社の業務に合わせてアプリを構築できる業務改善プラットフォーム「kintone(キントーン)」や、RPAツールの「Coopel(クーペル)」を導入されています。
CoopelはWEBブラウザやエクセル、kintoneをはじめとしたクラウドサービスなどの操作を自動化できるRPAツールで、直感的な操作で開発できるのが魅力で、プログラミングの専門知識が無くても単純な定型業務やデータの収集・分析を自動化できるのが特徴です。
kintoneとRPAの連携を成功させるためには、一気に自動化を実現しようとせず、段階を追って進めることがポイントになります。
具体的にはまず、業務を整理して「いつ・誰が・何をしているのか」を見える化します。
そのうえで、「どこまで人の手で作業をして、どこから自動化するか」を定義して、なるべくシンプルな仕組みを構築することが必要です。
また、RPAで処理する情報がなるべく一か所に集まっているように準備しておくことも重要です。
情報の一元化ができてから定型作業を選んでRPAを導入すると、スムーズに運用が開始できます。
実際に株式会社クレーンメンテ広島さまでも、このステップを意識してルーティンワークの自動化を進めて来られました。
例えば、RPAで自動化する前のクレーンの点検報告書に関する業務フローは以下の通りでした。
- クレーンを点検したら、現場の担当者がkintoneの「実績管理アプリ」に情報を入力する
- 点検表をPDFで出力して、ファイル名を変更
- PDFをメールに添付して取引先に送信する
1件1件にかかる時間は少ないものの、点検台数が多いためとにかく手間と時間がかかることが点検報告書出力業務の課題でした。
そこで、このうち定型作業である「2.点検表をPDFで出力して、ファイル名を変更」と「3.PDFをメールに添付して取引先に送信する」をCoopelで自動化した結果、作業時間を月20時間ほど短縮してミスも減らすことができました。
また、PDFを直接メールに添付するのではなく、GoogleDriveへPDFファイルをアップロードしてリンクをメールで送付する形に変えることで、一通のメールで済むようになっています。
▼kintoneで作業自動化!RPA Coopelの連携で作業月20時間のコスト削減
さらに、株式会社クレーンメンテ広島さまはスケジュール管理についても自動化を実現されています。
顧客やクレーンの種類ごとに異なる定期点検のサイクルをkintoneで管理しているのですが、毎月のメンテナンス対象をワンクリックで抽出し、スケジュールアプリに反映するというものです。
これにより、手作業でのスケジュール登録が必要なくなり、入力漏れも防げるようになりました。
▼kintoneとRPA(Coopel)を連携して時間のかかる定型業務を自動化!
書類作成をRPAで自動化したら、イレギュラーに対応できない?
kintoneとRPAを活用して、自動化できる部分は積極的に効率化していた株式会社クレーンメンテ広島さまですが、あるときRPAの新たな課題に直面しました。
RPAは、基本的に毎月や毎日、毎週等、定期的に実行されるように構築します。
株式会社クレーンメンテ広島さまでも、月に1回、決まったタイミングで点検報告書作成のRPAが実行されるようになっていました。
全てまとめて処理できるため効率はいいのですが、それは裏を返せば「毎月決まったタイミングでしか点検報告書を発行できない」ということです。
ある時、株式会社クレーンメンテ広島さまでは定期実行ではないタイミングで点検報告書が必要になりました。
しかし、RPAは定期実行の設定になっているため欲しいときにすぐ自動作成できなかったのです。
Coopelにログインすれば定期のタイミング以外でも実行することは可能ですが、誰もが簡単にログインできる環境にしてしまうと誤って定期実行の設定を変えてしまう恐れもあります。
そこで株式会社クレーンメンテ広島さまは、点検表の定期的な作成は自動化を維持しつつ、各スタッフがCoopelの設定を操作しなくても任意のタイミングで手動実行できる仕組みを構築したいと考えられました。
kintoneで「Coopel実行アプリ」を作って、Zapier経由でRPAを実行する
CoopelにログインしなくてもRPAを手動実行できるようにするため、今回はkintoneで点検データを登録するとまずはZapier(ザピアー)が起動されるように設定し、ZapierからRPAツールのCoopelを起動する、という流れで構築を進めました。
Zapierとは、ノーコードでワークフローの自動化を実現できるWEBアプリケーションです。
Gmailやスプレッドシート、Slack、Zoomなど、5,000以上ものツールとの連携が可能です。
表記が英語のみですが、Google翻訳のようなアプリを利用すればほとんど支障なく利用できます。
株式会社クレーンメンテ広島さまでは、次のような手順でアプリ開発を行いました。
① Zapierを起動するために、kintoneで「Coopel実行アプリ」を作成
② kintoneの「実績管理アプリ」で点検結果を入力し「点検表自動作成実行(Coopel)」というボタンを押すと、「Coopel実行アプリ」に自動登録されるよう設定
③ 「Coopel実行アプリ」にデータが登録されると、Zapierを起動するよう設定
④ ZapierからCoopelが実行されて、任意のタイミングで点検表が作成される
今回のアプリ開発では、kintone→Zapier→Coopelと複数サービスを連動させているのが特徴です。
そのため、正しく動作するか、うまくいかない場合はどの段階で不具合が起きているのかを丁寧に確認しました。
また、定期実行ではなく任意のタイミングでの手動実行となるため、RPAの動作時間をなるべく短くしたこともポイントです。
データを全件処理するのではなく、点検報告書を作成したい部分だけに絞るようRPAの設定を変更することで、処理時間を短縮しました。
これで、点検報告書は定期実行と手動実行の両方で作成できるようになりました。
作成状況はステータスで管理するので、手動実行で作成済みのものを重複して定期実行で作成してしまう心配もありません。
kintoneならRPAとの連携も自由にできる
株式会社クレーンメンテ広島さまでは、ZapierとCoopelを併用することで、RPAの手動実行ができるようになりました。
手動実行の方法も、kintoneアプリ上のボタンを1つ押すだけなので簡単です。
スタッフ自らCoopelを操作する必要がないので、誤って定期実行の設定まで変えてしまうというリスクも回避できます。
RPAは、日々のルーティンワークを効率化し、ミスも減らしてくれる便利なツールです。
一方で、自動化することによりイレギュラーに対応しにくくなってしまうという側面もあります。
そんなときkintoneなら、CoopelとZapierを連携することで、定期実行と手動実行の使い分けが可能になります。
コムデックでは、お客様のお悩みをお聞きして、その場でkintoneアプリを構築する「対面開発」を行っております。
社内にITに詳しい人材がいないという企業さまも、基本的な操作や設定方法から丁寧にご説明いたします。
業務フローについても、お客様と一緒に状況を整理しながらアプリ開発を行いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
⇧⇧600記事/250動画のコンテンツがあるコムデックラボから建設業に関する業務改善を学ぶ
コムデックでは業種にあわせた業務効率化の
支援を行っております!
お問い合わせはこちら
建設業に対応した業務改善機能をパッケージ化
ITツール導入の費用が最大450万円補助