お知らせ配信をkintoneに集約!通知設定で見落としも防止|教室運営業 株式会社チアリーさまのアプリ開発事例
複数の店舗・拠点を運営している企業さまでは、必ず本部と各拠点の連絡手段を確保しておく必要があります。
メールや掲示板ツール等方法は様々ですが、複数の連絡ツールを併用していて確認が大変だったり、自分に関係のないお知らせが多すぎて必要なものを見落としてしまったりといった課題が発生するケースも少なくありません。
今回の記事では、連絡ツールをkintoneに集約し、かつ通知設定により見落とし防止も実現した株式会社チアリーさまのアプリ開発事例を紹介します。
「連絡ツールが多くて現場が混乱している」「自分に関係のない通知が多すぎる」「kintoneの通知を便利に使いたい」とお悩みの企業さまは、ぜひご覧ください!
目次
複数の連絡ツールを1つに集約したい…抜け漏れを防ぐための通知機能もほしい
株式会社チアリーさまは、パソコン教室やプログラミング教室、英語教室、麻雀教室など全国で約100ヶ所の教室を運営されている企業さまです。
1973年に子ども向けの英語教室としてスタートして以来、分かりやすい教材システムと優れた講師陣が評判となり、全国に規模を拡大してこられました。
2001年以降は初心者向けのパソコン教室や子ども向けのプログラミング教室などにも領域を広げられています。
100ヶ所以上の教室を持つ株式会社チアリーさまでは、本部から各教室へのお知らせやタスクの依頼が日常的に発生します。
また、それらの配信は一律に全ての教室に送ればいいわけではなく「教材リリース」のように全教室に配信したい場合と、「タスクの依頼」のように教室を限定して配信したい場合等、内容に合わせて配信先の調整が必要でした。
配信には自社開発サイトやその他のツールを併用しており、ツールの使い分けと配信先の選択に手間がかかっている状態だったのです。
また、自社開発サイトではGoogleドライブ内の情報をiframeで連携して表示していたのですが、アカウント制限の関係で使える人が限られるため、メンテナンス性が悪いということも課題でした。
お知らせ等を受け取る教室側からも「複数のツールがあって、どのツールを見れば良いのかが分からない」「通知機能が無いため、お知らせに気づけない」という声が挙がっており、以下の4つのポイントを実現できるお知らせ配信ツールを探していました。
- 本部と各教室の連絡ツールを1つに集約する
- お知らせが配信されたら通知が届くようにする
- 自分の教室以外に向けたお知らせは見えないようにする
- 誰でも簡単にお知らせが配信できるようにする
「お知らせ配信専用のツール」で検討するとどうしても機能が不十分だったり、逆に不要な機能がありすぎたりと自社にぴったりなものを見つけるのは難しいものです。
しかし、kintone(キントーン)なら自社が欲しい機能に絞ったシンプルなアプリを作ることができます。
株式会社チアリ―さまでは、お知らせ配信を一元化しながら通知も自動的にできる環境を実現するべく、kintoneを活用していく方針となりました。
kintoneでお知らせ配信・通知設定に必要なアプリを作成しkrewDataで配信
kintoneには標準で通知機能やレコードのアクセス制限の機能がついていますが、株式会社チアリーさまが希望する形を実現するためには、ただ通知をするだけではなく、「通知がされる」「その教室に関係しないレコードは見えないようにする」という2点が必要になります。
単純に「そのお知らせを見ることができる教室」または「お知らせが見えない教室を指定する」だけであれば一つのアプリでも実現可能ですが、全国約100か所ある教室を毎回一つずつ、お知らせ内容に合わせて指定するのは現実的ではありません。
そこで、株式会社チアリ―さまでは「お知らせを登録するアプリ」と「お知らせを各教室が閲覧するアプリ」を分けて、自動的に「お知らせを見られる教室の分だけ閲覧用のアプリにレコードをつくる」ように設定することになりました。
お知らせ配信に必要なアプリを作成する
お知らせ配信の仕組み構築のために作成したのは次の4つのアプリです。
- 教室リスト
- ファイル管理アプリ
- お知らせ一括登録アプリ
- お知らせ配信アプリ
それぞれの役割と設定のポイントは、以下の通りです。
①教室リスト
教室名や住所、担当者などの基本情報を管理します。
教室ごとにkintoneアカウントを付与して、教室リストアプリ内で「この教室はこのkintoneアカウント」であることを指定することで、後述するお知らせ配信アプリで権限管理が可能です。
また、エリアを指定することで、「特定のエリアの教室にだけお知らせを配信する」ことが可能となります。
②ファイル管理アプリ
ファイルを保存するためのアプリです。
「④お知らせ配信アプリ」と連携させることで、ファイルがダウンロードできるようにします。
お知らせ登録用のアプリとファイル管理アプリを分割した理由は、複数お知らせで同じファイルを利用するケースがあり、ファイルの差し替え等が必要となった場合に更新する場所を一つにするためです。
③お知らせ一括登録アプリ
配信内容や配信先を指定するアプリです。
本部の従業員であれば誰でも登録できるようになっています。
配信先の設定は、個別の教室を設定することもできますし、前述のエリアで指定することも可能です。
ファイルを添付したい場合には、②ファイル管理アプリからルックアップで情報を参照します。
これは、後述のkrewData(クルーデ―タ)では添付ファイルをお知らせ閲覧用のアプリに移すことができないため、ルックアップでファイル管理アプリと紐づけて関連レコードとして表示するためです。
④お知らせ配信アプリ
教室がお知らせを受信(閲覧)するためのアプリです。
③のお知らせ一括登録アプリの内容を元に、後述するkrewDataで配信先ごとのレコードを作成して自動登録しています。
お知らせ配信アプリには、閲覧権限設定をかけることで自分の教室に関するお知らせしか見えない状態を実現しています。
閲覧権限の設定方法は以下の通りです。
- アプリを開き、管理画面から「アクセス権」の「レコード」を選択
- 「教室名」が未入力のレコードは誰にも見られない方が良いため、「レコードの条件」で「kintoneアカウント」フィールドを選択し、条件は「次のいずれも含まない」、対象者は「Everyone」グループを選択
- アクセス権はEveryoneのアクセス権を全て外す。
また、管理者のアクセス権は全てチェックして保存。 - ログインユーザーが自分の教室のレコードだけ見られるようにするため、「レコードの条件」で「教室名」フィールドを選択し、条件は「次のいずれかを含む」、対象者は「Everyone」グループを選択
- アクセス権にはEveryoneのアクセス権を全て外し、「フォームのフィールドを追加」で「kintoneアカウント」を選択し、「閲覧」にチェック。
管理者のアクセス権も全てチェック。
株式会社チアリ―さまでは、各教室毎にkintoneのアカウントを作成しています。
そこで、①教室アプリにて教室名とkintoneアカウントを紐づけ、お知らせ配信アプリ内で「教室名に対応するkintoneアカウント」を取得してくるように設定し、その上で取得してきたアカウントだけが閲覧できるように権限設定を行います。
ここでは、アプリ内の「kintoneアカウント」という項目が教室名に紐づけられたkintoneアカウントを自動取得してくる項目のため、その項目に対して権限を設定しているというわけです。
もちろん、「教室名が○○の時にはこのkintoneアカウントだけが閲覧できる」といったように個別に権限を指定することも可能ですが、その場合には全ての教室毎に設定を行う必要がある他、教室が増えたときにも都度設定が必要になってしまうため、今回のようにkintoneアプリ内の項目を指定するのがおすすめです。
krewDataででお知らせレコードを自動作成(配信)する
必要なアプリを作成したら、③のお知らせ一括登録アプリから④のお知らせ配信アプリにレコードを自動登録する設定をkrewDataで行いました。
krewDataとは、複数のkintoneアプリにまたがるデータを集計したり、今回のようにレコードを自動登録したりできるプラグインです。
お知らせ配信は定期ではなくランダムに発生する業務なので、今回は「リアルタイム実行プラン」を使用し、kintoneの「お知らせ一括登録アプリ」にデータが登録されると指定した配信先教室の数だけレコードが自動で作成されるように設定しました。
krewDataが動くのは新規のレコード登録時だけではなく、お知らせ一括登録アプリで情報が更新された時にもお知らせ配信アプリを自動更新してくれる仕組みです。
krewDataのリアルタイム実行プランの活用事例については、こちらの記事でも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
▼kintoneで予実管理!実績集計はkrewDataで自動化
条件通知で不要な通知は送らないよう工夫
kintoneアプリとkrewDataの活用で、お知らせ配信の仕組みが整いました。
次は、通知設定でお知らせの見落とし防止を実装していきます。
本来、kintoneはデフォルト機能でアプリの条件通知(レコードの新規登録や更新に対する通知)が可能です。
しかし、「レコードが新規登録された時」は問題ありませんが、条件通知で「レコードの更新があった時」の通知をオンにしてしまうと、一括登録アプリで編集保存がされるたびにkrewDataが動いて通知が届いてしまいます。
株式会社チアリーさまの場合、軽微な編集のたびに通知が届いたのでは、本当に必要な通知が埋もれてしまう恐れがありました。
しかし、軽微な編集で通知しないように編集時の通知をオフにすると、「通知したいレベルの情報更新」だった場合に必要な通知もされなくなってしまいます。
kintoneが通知の要否を自動で判断するのは難しいため、設定を工夫する必要があります。
今回は、通知対象判断用のチェックと、更新されるたびに値が変わる通知用項目を設置し、「レコードの条件通知」で通知設定を行うようにしました。
これにより、軽微な編集のみでは通知せず、通知対象にチェックをしたレコードのみ、自動で通知が届く仕組みを構築できました。
kintoneでお知らせ配信をするメリット
株式会社チアリーさまでは、kintoneでお知らせ配信をすることにより、教室側と本部側の両方に次のようなメリットがありました。
まず教室側のメリットは、本部からの連絡ツールが1つに集約されたことで、確認が楽になったことです。
また、自分に関係のあるお知らせのときだけ通知が届くので、業務で忙しい中でも気が付きやすくなりました。
本部側にとってのメリットは、kintoneの本部アカウントで誰でもお知らせ配信ができるようになったことです。
お知らせの配信先もエリアや教室単位など状況に応じて選択できるようになったので、配信業務が簡単になりました。
注意点として、kintone上で通知用と閲覧用のアプリを別々に作ってkrewDataでつなげているため、krewDataにエラーが発生すると配信できなくなってしまいます。
そのため、krewDataにエラーが発生したときに、メンテナンスできる人が必要になります。
自社で対応できるスタッフがいない場合は、kintoneに詳しい外部パートナーに定期的なメンテナスを依頼するのがおすすめです。
kintoneのお知らせ配信を活用して、社内コミュニケーションを高めよう!
株式会社チアリーさまは、kintoneのお知らせ配信を活用することで、連絡ツールを1つに集約し、通知設定による抜け漏れ防止も実現しました。
これにより、全国100ヶ所以上の教室を持つ大きな組織でありながら、確実に情報伝達を行い、質の高いサービスを提供することにつながっています。
今後は、各教室から集めている報告資料についても、現在のスプレッドシート管理からkintone管理に置き換えたいと考えているそうです。
株式会社コムデックでは、お客様のお悩みをお聞きして、その場でkintoneアプリを構築する「対面開発(開発支援・構築支援)」も行っております。
社内コミュニケーションに関するご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
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