kintoneで給与計算はできる?できない?おすすめの方法もご紹介
せっかくkintoneを使うなら、バックオフィスの要である勤怠管理や給与計算もkintoneで実施したいとお考えの企業さまも少なくないのではないでしょうか?
kintoneにはエクセルのような計算機能が備わっているため、「今現在エクセルで給与計算を行っている」企業さまがその置き換えをする程度であれば実現可能です。
アクセス権を設定し、WEB給与明細のように活用することも可能でしょう。
しかし、各種保険料や税額の自動計算の点において、kintoneで給与計算を行うことはあまりおすすめできません。
この記事では、kintoneで勤怠管理と給与計算を行いたい場合のできることとできないこと、そしてkintoneでの給与計算をおすすめしない理由と一般的な給与ソフトとの比較をご紹介します。
この記事でわかること
- kintoneで給与計算を実現できる範囲
- kintoneでの給与計算をおすすめしない理由
- kintoneと一般的な給与計算ソフトとの機能比較
- 効率的に給与計算を実施する方法
こんな人に向いている記事です
- 給与計算を効率化したい方
- kintoneで給与計算ができるか知りたい方
目次
エクセルの置き換えならkintoneでも給与計算はできる
先ほどお伝えした通り、「エクセルで行っている給与計算の置き換え」、つまり勤怠の数字を入力し、それに基づく計算を行う程度であればkintone(キントーン)でも給与計算は可能です。
「まずはそれくらいで問題ないのでkintoneで給与計算を行いたい」あるいは「WEB上で給与明細を配布できれば良い」という会社さまに向けて、kintoneで給与計算を行う方法をご紹介します。
kintoneで給与計算を行うために必要な手順は以下の5ステップです。
- マスタアプリの作成
- 勤怠情報を元に給与計算を行うアプリの作成
- ルックアップ機能でアプリ同士を連携させる
- 勤怠管理アプリの集計結果を給与計算アプリに入力
- 設定項目にしたがって給与額が算出
ここからは、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。
給与・各種手当のマスタアプリの作成
まずは、給与計算に必要なマスタアプリをkintoneで作成します。
マスタアプリとは、この後作成する給与計算アプリで使用する従業員の基本給データなどを登録するためのアプリのことです。
今回作成するマスタアプリでは、給与計算に必要となる従業員ごとの基本給の他に、各種手当の額、社会保険料、住民税額等の「毎月一定額を支給・控除する項目」を登録できるようにしています。
勤怠情報を元に給与計算を行うアプリの作成
続いて、従業員の勤怠情報を元に給与計算を行うアプリの作成をします。
勤怠項目や基本給、各種手当に加えて、残業時間は1.25倍、休日出勤は1.35倍などの自動計算が行われるよう設定をしていきます。
この時、必要に応じて「ROUNDDOWN(切り捨て)」や「ROUNDUP(切り上げ)」の関数を設定してください。
ルックアップ機能でアプリ同士を連携させる
各種手当マスタアプリと給与計算アプリを作成したら、ルックアップ機能を利用してアプリ同士の連携を行います。
ルックアップ機能とは、別のアプリに登録されている情報を呼び出し、もう一方のアプリで活用する機能のことです。
今回は、各種手当マスタアプリに登録した各種手当の情報を給与計算アプリに参照する形でルックアップ機能を活用します。
これで、各種手当マスタから基本給等の情報が参照できるようになりました。
ルックアップ機能の詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています!
▼kintoneのルックアップ機能設定方法、よくあるご要望を徹底解説!
勤怠管理アプリの集計結果を給与計算アプリに入力
ルックアップ機能で連携ができたら、勤怠データを給与計算アプリに入力します。
このとき、勤怠管理をkintoneで行っているようであれば、プラグインの活用によって集計結果の自動連携が可能です。プラグインについては、後ほど詳しく解説します。
勤怠データを入力すると、あらかじめ設定した計算式や割増単価に基づいて金額が自動計算されます。
以上のような給与計算・明細アプリが出来上がりました!
レコードのアクセス権を設定してWEB給与明細へ
給与明細をkintoneで確認出来るようにしたい場合は、本人の明細のみを見られるように「明細の従業員=ログインユーザー」のレコードしか見られないように設定します。
※一人ひとつkintoneアカウントを持っている場合のみ設定可能
設定内の「アクセス権>レコード」から設定します。
「Everyone」の閲覧権限を外し、「フォームのフィールドを追加」から、「従業員」を指定し、閲覧権限のみ付与します。
ただし、この状態だと従業員本人しかアクセス権がなく、給与担当者も閲覧・編集ができません。
そこで、給与担当者は個別に権限に追加しておきましょう。
これで、給与担当者を除く従業員は自分の明細のみ見られるようになりました。
印刷した明細を従業員に渡す場合は、プラグインを利用すると「給与明細」らしい帳票で出力することが可能です。
プラグインを利用した印刷方法に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneで帳票を簡単に作成・PDF出力したい!便利なプラグイン5つを徹底比較!
kintoneの給与計算は勤怠管理システムとの連携も可能
前のセクションでご紹介した通り、kintoneの給与計算アプリはプラグインを活用することで勤怠管理アプリとの連携が可能です。
このセクションでは、勤怠管理アプリでタイムカードの運用から脱却した事例と、勤怠管理アプリから給与計算アプリに月の集計結果を連携する方法をご紹介します。
kintone勤怠管理アプリで脱タイムカード事例も
東広島市で1978年に創業された、クレーン設置・点検業の株式会社クレーンメンテ広島さまでは、勤怠管理をタイムカードで行っていました。
お客様の元でクレーンのメンテナンスを行うという業務の都合上、朝から社外にいることも多く、社内にしかないタイムカードは押せないこともしばしば。
そのため、締め日になると実際の勤務時間を確認したり、それらを集計したりするために数時間行っていたそうです。
この業務を効率化したいということでご相談いただき、「出退勤の記録ができれば問題ない」ということでkintoneでタイムカードアプリを作成。
ボタンを押すだけで出退勤の打刻の記録が可能となり、脱タイムカード化が実現されました。
事例の詳細はこちらの記事をどうぞ!
▼kintoneで勤怠管理!「社内外どこからでもボタンを押すだけのタイムカード」を実現|クレーン設置・点検業 株式会社クレーンメンテ広島さまのアプリ開発事例
勤怠の集計結果を自動で連携するにはプラグインの設定が必要
勤怠アプリで集計したその月の労働時間や残業時間。
せっかく同じkintone内にデータがあるなら、自動で参照していてほしいですよね。
しかし、標準機能の「ルックアップ」や「アクション」でできるのはあくまで「1レコードの内容を参照・転記する」ことだけ。
勤怠のように、「一か月分の勤怠レコードの集計結果を転記する」ことはできません。
勤怠の集計結果を給与計算アプリに連携させるには、「アプリ間集計プラグイン」と呼ばれる無料のプラグインが必要となります。
アプリ間集計プラグインの設定方法についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼予実管理をkintoneで行う方法は?標準機能・無料プラグイン・有料プラグインそれぞれで紹介!
それでも、kintoneでの給与計算をおすすめしない3つの理由
これまでご紹介させていただいた通り、kintoneでも簡単な給与計算を行うことは可能です。
しかし、冒頭からお伝えしているように、kintoneでの給与計算は基本的には推奨していません。
その理由は、主に以下の3つです。
- 複雑な計算は実装できない
- 保険料率等が自動更新されない
- 各種帳票やデータは自力で設定またはkintone外で作成する必要がある
それぞれ、項目ごとに解説します。
複雑な計算は実装できない
kintoneでは、社会保険等級の変更による保険料の変更や、扶養の関係する所得税を都度手動で計算する必要があります。
社会保険料については一度決定すれば月額変更がない限り暫くは変わりませんが、累進課税である所得税については、所得や扶養に応じて条件分岐させた計算式を組む必要があるため、kintoneでの計算は不向きです。
また、給与とセットで管理したい勤怠についても、kintoneの勤怠管理アプリでは限界があります。
kintoneでの勤怠管理は、同じ勤務時間の方が開始時間に打刻し、終了時間に再度打刻するというシンプルな勤怠管理には対応可能です。
一方で、フレックスタイム制を導入していたり、複数の雇用形態を採用している企業には向いていません。
kintoneでの勤怠管理をお勧めしない理由についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
▼kintoneで勤怠管理はできるのか?メリット・デメリットを徹底調査
保険料率等が自動更新されない
給与の計算に特化したツールであれば、年金制度の改正により社会保険の料率が引き上げられた際にツールベンダー側で料率の更新をしてくれます。労働保険や介護保険の料率が変わった際も同様です。
しかし、自社でkintoneアプリを利用して給与計算を行っている場合、制度の改正の度に手動で料率を変更する必要があります。
各種帳票やデータは自力で設定またはkintone外で作成する必要がある
また、kintoneでは給与の一括振込にも対応していません。
給与計算に特化したツールであれば、インターネットバンキングに振込データを直接送信したり、振込用のファイルを作成して、インターネットバンキングにファイルを取り込むことで、一括振込をすることが可能です。
しかし、kintoneではインターネットバンキングに直接送信はできず、ファイルの作成もインターネットバンキングに対応したフォーマットでは出力できません。
他にも、一般的な給与計算ソフトであれば出力可能な賃金台帳や支給控除一覧といった資料も、kintoneで出したい場合には自力で一覧設定の集計設定を行う必要があります。
kintoneの仕様では希望する形を満たせないこともあるため、その場合にはkintoneのデータを見て、エクセルに転記して作成、といった作業をしなくてはなりません。
kintone給与計算アプリと一般的なクラウド型給与計算ソフトとの機能比較
kintoneで給与計算を行おうとした場合、一般的なクラウド型給与計算ソフトではできることが難しいケースが多々あります。
よくある機能を比較表にまとめました。
機能 | kintone 給与計算アプリ |
一般的なクラウド型 給与計算ソフト |
給与・賞与計算 | 〇 ※複雑な計算が必要な場合にはできない部分もある |
〇 |
項目の追加 | 〇 | 〇 |
給与の締め | △ ※アクセス権等で疑似的に可能 |
〇 |
銀行一括振込データ(全銀形式)の作成 | × | 〇 |
自動端数処理 | △ ※計算式を設定すれば可能 |
〇 |
WEB給与明細 | △ ※一人1アカウントであれば可能 |
〇 |
紙の給与明細 | △ ※見た目を整えるならプラグインが必要 |
〇 |
所得税計算 | × ※kintone内で自動計算するのは難しい |
〇 ※法改正にも自動対応 |
雇用保険料計算 | △ ※料率を計算式として設定すれば可能 |
〇 ※業種に応じた料率で自動計算 |
年齢に応じた介護保険料の自動計 | × | 〇 |
保険料率等の自動アップデート | × | 〇 |
通勤手当課税・非課税区分自動計算 | × | 〇 |
勤怠との連携 | △ ※CSVでの取り込みは可能 ※プラグインでkintone内のアプリとも連携可能 |
〇 ※ワンクリックまたはCSVで連携可能 |
各種帳票出力 例)支給控除一覧表 賃金台帳 所得税徴収高計算書 住民税徴収額一覧表 賞与支払い届 |
× ※近いものを出力することは可能なものもある |
〇 |
会計システムとの仕訳連携 | × | △ ※同シリーズソフトであれば概ね可能 |
給与計算と勤怠管理をするなら「KING OF TIME」と「マネーフォワードクラウド給与」がおすすめ
ここまで解説した通り、kintoneではシンプルな給与計算や勤怠管理は行えますが、働き方が多様化している現代でkintoneによる給与計算、勤怠管理は現実的ではありません。
そこで、コムデックでは勤怠管理は「KING OF TIME」、給与計算は「マネーフォワードクラウド給与」の導入をおすすめしています。
KING OF TIMEは業界でNo.1の導入実績を誇っており、幅広い勤務形態にも対応できるソフトです。
さらに、従業員自身が残業や有給申請をするため、担当者が別途集計する必要がなく、ソフト内で全て自動計算してくれます。
その後、KING OF TIMEで集計した勤怠情報をマネーフォワードクラウド給与に連携することで、ワンクリックでその月の給与計算が実施されます。
給与振込についても、ワンクリックで銀行の形式に合わせたデータ出力をしてくれるため、そのままインターネットバンキングへ登録すれば給与振込ができます。
給与明細は、従業員それぞれにアカウントを付与することで、WEB上から時間・場所を問わずに確認でき、「賃金台帳」「給与支払い届」「所得税徴収高計算書」「支給控除一覧表等」などの帳票類も簡単に作成が可能です。
さらに、マネーフォワードクラウドシリーズの「マネーフォワードクラウド社会保険」や「マネーフォワードクラウド年末調整」を利用すれば、給与のデータを元に月額変更や定時決定、年末調整をクラウド上で行うこともできます。
「KING OF TIME」と「マネーフォワードクラウド給与」を導入して効率化を進めよう
今回は、kintoneの勤怠管理と給与計算の概要と、おすすめの勤怠管理・給与計算方法についてご紹介しました。
kintoneの給与計算は勤怠管理と組み合わせて利用できるものの、シンプルな勤務形態にしか活用できず、細かい設定も必要になります。
KING OF TIMEとマネーフォワードクラウド給与であれば、複雑な勤務形態への対応や企業ごとの設定が可能であるのに加え、ワンクリックで勤怠情報の連携から給与計算を実施できます。
勤怠管理と給与計算を効率的に実現したい方は、今回紹介したKING OF TIMEとマネーフォワードクラウド給与の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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